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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
新幹部 現る
29/112

魔物退治再開 1

「だめよ、ほらっ」

 グレイは右腕をひねられる。

「いで~~っ!!  痛いよデュアっ! ひねった意味わからないし、そうされたら痛いに決まってんだろ!」

「あはっ、ゴメーン。じゃ、触ってみるね」

 どんな状況にせよ、グレイは痛いところを触られたら痛いに決まっていると思っていたが

「あれ? 痛く……ない? よかった(今頃)薬草が効いてきたんだろう」

 痛いとは感じたくなかったので、グレイは安心感からか胸をなでおろした。


「それならあたしの手は必要なくなったわね。後は一人で残さず食べなよ?」

 ついついデュアの方に目をやってしまっていたトムもまだ、スープを飲みきっていなかったと気付く。

「おっと、俺のもまだ残ってるじゃん。食わねえとな」

 メイとデュアはいつの間にか食べ終わっているみたいなので、今は男二人で黙々と飲み干す。

「いやーー、食ったなぁ……。おい! グレイ終わったかー?」

「もうちょっとだ。先に行っててくれていいよ。僕はもう少しばかりかかりそうだから」

 トムは少し迷ったが、一人でも平気そうなのでグレイを残して一足先に部屋に戻ることにした。

「う~~ん、わかった! じゃあ先に行ってるな」

「うん!」

 静けさが宿屋の食堂を支配していた。やはり食事というものは一人でより、複数人で食べた方が美味しいかもしれない。


「はーー、一人の食事って何かな……」

 どうやら手が空いた料理人の一人(四十歳前後くらいか?)がグレイの元にやってきた。

「よう兄ちゃん。どうだい? うちの料理は?」

「美味しいですよ」

 特にウソをいう必要もないので、これはグレイの本心である。笑顔で答えたので、料理人としても自信がつくといえるだろう。

「そうかい、嬉しいねえ。何が美味かったかな?」

「そうですね……。このヤギのミルクのスープ……手が込んでいる感じがしました。すごく美味しいってみんなも喜んで食べていましたから」

「冒険者さんに好評なんだよ。ここらへんに住んでいる人は食べ飽きているかもしれないけどね」


どうやらこの町の名産料理という事なようだ。

「そうなんですね。僕はちょうど食べ終わって休めたのでそろそろ失礼しますね。ごちそうさまでした」

「お兄ちゃん、意見ありがとうね。それじゃ!」

 おじさん料理人が会釈をして去っていった。グレイもデュア達みんなが待つ部屋に戻っていく。

「グレイ、来たな。お前がもう一休みしてから、また魔物退治に行こうと思うんだよ。どうだ? 問題ないか?」

 負傷したグレイは、自分がもっと気をつければいいと思って快諾した。

「うん、いいよ。行こう」



 準備を整えるのに約十分後……

「そろそろ行こうよ?」

「そうだな。二人とも、いいかー?」

 メイとグレイに聞くトム。返事からしてどうやら準備は終わったようである。

「うんっ。いいよ~、行こ行こっ。スカーッとしたいしね」

「僕ももう平気だよ。食後の運動をしよう」

 町の外に出てしばらく歩いていると、魔物が現れる。その魔物がいきなり襲いかかってくる。ウオーム(イモムシ科)が糸を吐き出してきた。しかし! 誰にもかからず失敗した。


(うう……ちくしょー、糸の長さが足りなかったか) ウオームに意思があるとしたら、そんなことを思っていそうな変な動きをしていた。さすがにデュア達は意表をつかれて驚いたり気持ち悪がったりする。

「なんだ? こいつ糸なんか吐き出してきてオレたちの動きを封じようとでもしたのか!?」

 特にメイはこういうタイプの魔物に嫌悪感を覚えたようであった。

「げーーっ、気持ち悪いよ~。こんなのが数体いるってだけでもあれなのに。きっとうじゃうじゃいるのよね、できるだけ出現してほしくないな~」

 メイの全身に寒気が走った。グレイが冷静に分析する。

「とっとと倒すに限るな」


 攻撃までの下準備として、トムが剣に炎を宿した。

炎剣フレイムソード

 そして、ウオームに剣で真っ二つにする勢いの斬り方で攻める。

「てぇーいっ!」

 ウオームの体に覆う皮膚の硬さに剣が跳ね返されてしまった。

「なに!? こいつ硬いな!? くっそーっ、これじゃあジリ貧になっちまう。どうすっか。何か良い手はねえもんか」

「守備力が高いみたいだね。どうしようか?」

 それをみて、グレイもその皮膚の硬さをどうにかしなければと考え込んだ。結局みんなで方法を模索している。


「あまり話しあっていたら敵に付け入るチャンスを与えちゃうし、こうなったらムチで腹の方を狙ってみるね! ムチの方がこういう時は便利」

 デュアが地面スレスレにムチを動かして、ウオームの腹にムチを潜り込ませる。「えーい!」三本あるむちがすべてヒットして苦しんでいる。どうやらそちらの守備はそんなにないらしく、大ダメージに見えた。

(うぐぐ……これまでか……) そんな感じがする緩慢かんまんな動きで、ウオームはほぼ動けなくなってきていた。

「メイ、水の弓矢ウォーターアローでトドメさしちゃって!」

「OK! クイーン(意味不明)任せて! 水の弓矢ー!!  いっけー!」



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