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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
新幹部 現る
27/112

魔物退治中断中 2

 もう少ししたら物語が大きく動き出す!?

 メイのやつ寝たかなと思って、トムが見計らったように振り向いてつぶやく。

「余計なお世話なんだよ。じゃお・や・す・み~~!」

 目をつぶりながらもトムの声が聞こえていたメイは心中で毒づいた。

(なーによ、トムったら。せっかく忠告してやったのにカンジわるっ。バッカみたい。ずーとやってりゃいいじゃない。フーンだ、寝よっ」

 恋愛話がほんのわずかこじれた感じで就寝前の話は自然と終わった。きっと明日にはそういう話をしていたというのはなくなっているだろう。そのうち再燃することはあるかもしれないが。


みんなが寝静まった夜中、何者かが宿屋の窓越しからデュアを覗きこむ。

「ふむっ、この娘だな。(タイミング良く寝返りをうつ)うわっ、こっち向いた! うわっ、くっは~~~~カワイイ。あの娘にあんな事やこんなマネをしろというのか。ヴァルマーめ! この娘にああいうマネが出来ないから私に任せたんだな。クソ~、あのバカ……! こんなカワイイ娘にあれやこれが出来るとは。うわわ~、ここはずらかった方が身のためだ。行くぞシーオン」

 妄想をして自滅した感じのヴィアン。鼻を抑えながらベガサスのシーオンに命じた。

(はいご主人、かしこまりました。お乗りください。鼻血が出そうというヤバさが増す前に行こうではありませんか)

「おう……すまんな、シーオン。行くか。どんな娘かわかっただけで収穫だ。mysweethomeに帰るぞ」


 相変わらずの家loveのご主人を連れて

(ハイハイ速く参りますよ。行っきま~~す!!)

 シーオンが大空に飛び立っていく。



 そして次の日――


「ふわあぁぁ……良く寝たぁ~~」

 一番早く目が覚めたデュアが全員に声をかける。

「みんなぁ~、起きてよぉっ。あ・さだぞぉ~~!!」

 メイが寝ぼけ眼で、デュアに尋ねた。

「んん~? なぁにい? 朝ぁ? もう次の目的地を決めるのぉ?」

 ほんのわずか早く起きたトムが、何言ってるんだという感じで応えた。

「何寝ぼけてるんだよ。早く出るっていっても今日なんて行ってねえよ。ここらのフィ―ルドでレベル上げって決めたろ?」


 トムに聞かされて、メイはハッとする。

「そっ、そうだったわ。忘れてた。でももうちょっと寝かせてよデュア~~」

「……そういえばまだ眠気が残ってるよな~、オレも、もうちょっとくらい寝るか」

 頭をかきながらトムはベッドに入り直した。

(……そういえばグレイのやつ大丈夫なのか? ちょっと気になる)

 グレイのことが心配になったトムは目が冴えてしまう。

「おーい? グレイ大丈夫かー?」

グレイの状態を確認したトムは、かさぶたになっている傷口を目にして気になった。


(うわ~……、傷口が固まってかさぶたみたいに。予想以上に傷口が深かったんだな。さ……触ってみようかな? 痛そ~だ)

 好奇心に勝てずトムが傷口をそっと触れてしまう。

「……痛!」

 グレイが肩を抑えて痛そうにした……けど、すぐにまた眠ってしまった。悪いことしちまったかなと、トムは驚きのポーズでわずかの間だけ体を硬直した。

「は~、焦った。全く! 脅かすなよ~。完全に眠気が覚めちまったな。ちょっと散歩にでも行こ」

 

 しばらく町をぶらついていると遠くから声が聞こえてくる。

「トムーっ? どこに行ったの? あれぇ、いないのか……みんな起きたのにな~」

(なに!? そんなら早く戻らないと叱られちまうかもな)

 急ぎ足で宿屋に戻って来たトムは、ドアを開けて言った。

「おう、みんな! やっとお目覚めかよ。オレより一時間も遅いんだぞ。装備品は装備しとけよ」

 トムが早起きしたのがわかったが、デュアはそうするのはまだ早いと答える。

「いーんじゃない? まだそこまでしなくても。フイールドに行く時に装備するし。そんなことより朝ご飯を宿屋の人が用意して待ってくれてるから行こっ」


 同意しかけたグレイだったが、まだ普通に食事を楽しめる余裕がないようだった。

「そうだね……って僕食べられないよ! 傷がまだ痛むから……。トム~、僕の肩を触ったろ? 誰かに触られた気がしたんだよね。さっきの時間に起きていたのお前だけじゃん! ったく……」

 申し訳なさそうにトムが謝罪する。

「ははっ、ごめんごめん。つい好奇心に勝てずに。つい触っちまったよ」

「へらへらすんなよバカ! 痛かったんだからな」

 グレイの怒りがヒートアップしそうなので、トムがジェスチャーでおさえるように表現した。

「だから悪かったって言っているだろホントマジ悪かったって。おさえておさえて」

「ふう……バカの相手は疲れる」

 小声でトムに聞こえないように言う。


「なんだと!?」

 つい殴りかかりそうになったがトムは自分が悪かったのだからと怒りを鎮めた。

「な~んでもな~い」

 口笛を吹きながらグレイがごまかす。

「ま、まあまあ。食べる前に怒ったりしたらメシ……じゃなかった。朝ごはんが美味しくなくなっちゃうし」

 部屋にやってきたデュアとメイが似たようなことをほぼ同時に言ったが、偶然声が重なることはなかった。

「まーったく、その通りよ! 見てるだけでまずくなっちゃいそうだからやめて!」

「わかったよ。悪うござんした」


 今月の投稿は後1~2回。

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