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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
友情の芽生え
11/112

トムの心 4.

 魔族ヴァルマーが指一つ鳴らして、トムの装備を空間転移で用意した。目の輝きを失ってしまってヴァルマーの忠実な部下に成り下がってしまったトム。命令を受けるまで待機中。

「わかった……けど、どの様に…………?」





  20%能力補正



心なきトム レベル11(10+1) HP95(79+16) 適応能力 不明 かしこさ 68(57+11) 戦士



 闇の通路で魔族の砦に戻るヴァルマーは面倒くさそうに、投げやりな命令をくだす。


"適当で構わん、適当で。とにかく私の邪魔にならないように相手をしていろ!"

 トムが抑揚のない声でヴァルマーの命令にうなずいた。

「マスター、了解しました」

 虚ろな目なトムがデユアに宣言。

「さて、この魔法の剣の威力でも試させてもらうよ、お嬢さん」

「そ……そんな……! ヤダ……」


トムと戦うなんて出来ないと、いきなりピンチに立たされたデュアはおろおろする事しか出来ない。心なきトムは剣の具合を試しているかのように素振りを始めていた。デュアはどうしたらいいか……戦う以外の方法…………と迷っていた。そんなのは心なきトムが知った事ではない。

「そんじゃそろそろ始めようか? お嬢ちゃん」

「いいえっ、まだ……時間を下さいっ。私も練習したいんです」

 デュアは何とか自分を奮い立たせていた。

(駄目よっ、デュア。トムは今は敵……敵なんだから)


 悪に支配されてしまっている以上、言う事を聞くはずがないとデュアは思っていた。だが、予想に反して心なきトムが何もして来なかったのでデュアも武器の調整をする。

「えいや――っ!!」

 ムチのしなり音が鳴り響いた。結構使いやすいムチのようだ。『グムリーのムチ』は。

「そろそろいいか?」

 意を決してデュアは心なきトムに戦いを挑む。


デュア レベル10 HP70 適応能力 30  かしこさ71 勇者見習い


「ええ、いいわ。やりましょう」

「ゲームスタート」

 まず先手を打ったのは心なきトムであった。彼の剣を少し受け流すのが遅かったのでデュアに剣先がかすった。が、怯まずデュアは反撃でムチを上にあげて勢い良くトムの体に絡ませて強くしめつけた。

「痛……っ」

「どう? 参った? あなたはトムじゃない!! 悪魔よ」


 闇の通路からわざわざワープして戻ってきた魔族ヴァルマー。心なきトムに悪の力を付加させる。

"ふふっ、悪魔? 仲間のはずな者をそう呼ぶか。ならば小娘ちゃんの望み通り、悪魔らしくなるように黒い翼でもつけようかねえ?"

「なっ……ヴァルマー、あんたね。あたしはあんたのこと一生許さないから!!」

"ふっ、いい顔するねえ。お前にも天使の翼でもやろうか?"

 怒りや悲しみ、そして恨みは悪魔にとって喜びにしかならない事実を今のデュアは考えられないでいた。気分の良くなったヴァルマーはさっさと彼らに恩恵を与えて去っていく。かと思ったら、高みの見物で遠くから趣味悪く見物している様だ(しかも、テレパシーで返答する悪趣味まで)


"ほらよ、小僧。悪魔の翼だ。ホレッ"

「う……いつつ……。くそ……油断した」

 悪魔の翼を付加されて身が軽くなった心なきトムはムチを取ろうとあがくまでもなく、簡単に抜け出した。

"小娘、このままだと力に差がつきすぎるから天使の翼をくれてやろう"

(こいつ、フェアな精神なんて持ちあわせてんのね。意外だわ)

 デュアはどうでもいい事を考えつつも気を引き締め直す。


「そんじゃま、空中戦と行くかね」

「望むところよ」

 "まっ、せいぜい仲間割れをしていると良い。小僧に小娘ちゃん。あっ! 言い忘れていたけどこのゲームに小娘が勝ったらこいつの『心』を返してやる。が、もし負けたら"

 デュアは不安に思いながらも聞かずにいられなかった。

「も……もし負けたら?」

 ヴァルマーが驚くべき条件を言い放った。

"お前の心も頂戴する"

「ふざけないで。そうそう人の心をいいように使われてたまるもんですか」


"一度館に戻ってバラス様に確認したのだが、どうも小僧一人の『心』じゃ足りんらしい。真の『やさしい心』の持ち主でなければなぁ。そうそう、バラス様といえば貴様の父親を殺したのを伝えておけと言われていたなぁ"

 更にデュアの気持ちを逆なでする魔族ヴァルマー。こんな事もいけしゃあしゃあと言ってのける。

「んな…………!?」

"まあ、そう怒るな。胃に良くないぞ。まだ話は途中なのだから"

「~~まぁいいわ。んで続きは? 何よ?」

(ん……? 胃に良くないってなんか聞き覚えがある気がする。あっ、そうそう。私がトムを怒っていた時に双子ちゃん達がそんな説明の書いてある本を見せながら言ってきたのよね、たしか)


"小娘、私の話を聞く気はあるのか? 貴様が聞いていなくても勝手に進めるぞ。貴様の心の方が怪しいと我が魔族界一の占い師マーヤ様のお告げがあったからだ。どうなんだ? ん?"

「あたしに聞かれても困るんだけど」



 毎月下旬は別小説投稿中心

今月は投稿 後1~2回かな?

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