ディリー達に実力の片鱗を見せる 1
「ね~ぇ、デュア。ところで『自然』の力についてもう少し教えて~?」
気になってしょうがない事をピュテイアが聞きたくてしょうがない感じだった。ディリーが心中で彼女を応援する。
「え。ですから! 土と木と空の現象を引き起こせるといったところですよ」
「ふ~~ん……」
せっかくもう少し情報を知る事が出来ると思っていたのにとディリーが一人やきもきしている。でも興味なさそうな返事をしていたピュテイアだが、やはり興味あるのか実践してみせてよと頼んでいた。
「え!? 今……ですか? それはちょっと……」
「何よぉ、出来ないっていうの~?」
ピュテイアがまるで酔っぱらいの絡み酒のような絡み方をしていた。デュアは観念したようにため息混じりに言う。
「では……見せますよ。少し危険ですから離れていて下さいね」
――――地響きっ――――
デュアが土に手をつけて何かを念じるような動作をするとゴゴゴゴゴッと地面が揺れる。ふぅと息をついて……
「今のは『土』に協力してもらいました」
何、その力は……すごいとばかりにピュテイアが口元に手を当てていた。
「どう……でした? すみません。今はこれしか出来なくて……」
疑問を隠さず、感動している様子のピュテイアがすぐ問いかける。
「んーん。すごいよ~、なんでー? こんな事出来るんだろうね」
「さ……さぁ……? 私に聞かれても……。科学的にプレートがどうとかあるかもだけど詳しい原理わからないしな~(科学的~の所から小声)」
「それは神、または精霊からの贈り物だろう」
「まっ、そうだろうな」
トムが珍しくディリーの意見に同調する。もしかしたら同調したのは初めてかもしれない。
「あ……そういえばお2人はどんな力を持っているのですか?」
グレイが今度は2人に教えてもらえないか聞いた。
「俺は、あいにく剣技以外はどうだろうな……」
「あたしは補助系の術なら使えるよ~」
聞いたグレイが相槌をうっている。
「へぇ……そうなんですか~」
「だからお2人はお強いんですよね」
メイが出来るだけ敬語に近い言葉遣いで話した。
「……そんな事はない」
ディリーが内心でまだ『本当の強さ』にたどり着けていないからなと思う。
「どうしてです?」
「いや……まだ未熟だと思うからだ」
メイが余計な事にまで首をつっこんだ気がして、代わりにグレイが謝罪した。
「それは失礼しました……」
そんな彼らにピュテイアが明るく気にする必要はない事を強調する。
「なぁ~にそんな顔しちゃってんのー? だぁ~いじょうぶだって。アイツも気にしてないから。そんな顔しない―っ」
ピュテイアの底抜けな明るさにグレイは生返事するだけで精一杯だった。
「私達に遠慮しなくてもいいんだよー。でもディリーがどう思ってるか知らないや~」
「うるさい!! まったくお前はおしゃべりで適当な所がある!」
「なにさっ、別にいいじゃんっ。大体あたしはねー、敬語を使われるのは好きじゃないのーーっ」
まったくいい加減な部分はどうにかしてほしいが……と考えていつつも、好きにさせているのだからもうつっぱねるだけである。
「お前は~~っ、勝手にしろ!」
「ふーんだっ。勝手にするわよ! 言われないでも……っ!」
この2人の言い合いはまるで漫才のようだなと思いつつ、デュアが軽くからかう。
「仲が良いんですね、お2人は」
2人が声を合わせて「そんな事はない!!」と言う。ちょうど言葉がかぶったからか、2人して顔を見ないように顔を背けていた。
「フフフ……そんな否定では逆にアヤシサ倍増ですよー」
くだらん考えだとばかりに意地になったのか、ディリーがそっぽを向いたままピュテイアと距離を取ってしまった。トムも口元をにやけさせて「アヤシイ~~」と追い打ちをかける。
ディリーがからかわれているのか俺が!? とばかりにトムをにらみつける。トムは「お~怖っ」と身をひいた。
「もーっ、2人とも。何してんのよ」
デュアに言われてまずトムが軽く「悪い」と謝った。ディリーはパーティの輪には戻ってきたが、ピュテイアをまだ見れないらしくそっぽを向いている。
「そんな感じなら問題なし」とデュアは結論づけた。
「かなわないなぁ、デュアには」
メイが意味深な事を言うので問い返さざるを得ない。
「えー? どういう意味よ、それは?」
言ったら怒られそうだしとまず思い、考えていれば自分でわかる日が来るってとメイはごまかした。
「さーて、どういう意味でしょう?」
「もーっ、茶化さないで教えてよ~!!」
一度ごまかしたので、メイはずっとごまかし続けるつもりである。
「教えらんなーいってば」
「いじわる~~」と言ってデュアが頬をふくらませた。
「お前達だってじゃれているじゃないか」
否定の言葉を2人してハモらせる。
「そんな事ありません!!」
(あらら、さっきと同じ展開だよ)
「ま、まぁまぁ……ケンカはやめて。仲良くしましょうよ、ね?」
グレイが仲裁に入って堂々巡りになりかけの会話を止めた。