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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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ゴーレムなど魔物出現 2

「今度ハコチラカラ行くぞ!!」

 重力を乗せた振り下ろし、大きな拳がせまって来る。かわしきれず少しばかりヒットしてしまった。少しかすった程度でも威力が絶大だ、岩に激突!

「グッ……いてて……。くそぉ……!」

 戦況を見守っていたが、結構なダメージを食らったっぽいディリーにピュティアが走り寄る。

「大丈夫? ディリー! それじゃあまともに戦うのがきついでしょ、治してあげる」

「バカ! お前までこんな所に来ては……!」

「文句を言わない! 傷を癒したまえ」


 大チャンスにも関わらず、敵の魔導師はゴーレムに指示を出さない。その理由はすぐにわかった。

「オイ、コラ。モウイイカ?」

 魔導師の性格的の物なのだろう。

「お前……魔物のくせに律儀なヤローだな」

「ソンナコト……ナイゾ。続キヲヤロウ剣士ヨ」

「フッ、そうかもな」

 こんな大型の魔物相手にも怯えも震えも見せずに戦っているディリーの姿に、トムは今の自分では全く敵わないと悔しい思いを味わっている。


(こ……怖ェ~、笑ってやがるあいつ……! あんなでかい図体にひるみもせず……。う~っ、くそぉ。やっぱまだこいつには勝てねえ……!!)

 その間にも1人と1匹の激しい戦闘が続いていた。

「チョコマカ動クナ!」

「そんな事を言われようと俺に聞く理由はない」

 攻撃を当てられてしまっては大ダメージだが、基本的な速さはディリーが勝っているようで魔導師はやきもきしている様子だった。魔術制御で普通のゴーレムよりスピードがあるはずなのだが、それよりも彼の動きが素早いのであろう。


「オノレ……モウ怒ッタ!」

「俺を捕まえればだろうが、そうはいかん」

 そんなにスピードに差はない。後は駆け引きの勝負だ。ディリーはギリギリまで引きつけての雷系剣技を狙っていた。

「オノレェ~~ゴーレムヲ馬鹿ニスルナヨ」

 相手がこっちの隙をついてきた瞬間が最大のチャンスだ、その瞬間が今ここに!

「ライトニング~~~~スラッシュ!!」


 ゴーレムは砂になってその場から消え去る。魔導師の魔術式辺りに影響が出て消し去る事が出来た。そうなれば少し脅してやれば魔導師は逃げ帰るだけである。戦闘が終わったので剣を鞘におさめた。

「う~ん、さすがディリー! やるぅ~」

 ハートマークでもつけそうな言い方のピュティアに

「バーカ、当たり前だ」

 お遊びな感じで軽くピュティアのおでこにデコピンした。おふざけでそういう事をしたんだろうと彼女もわかりはしたが、おでこがヒリヒリするので「痛~い」と抗議のようにふくれる。


 あまりに凄くて見習う所だらけのディリーの強さに嫉妬してしまいつい憎まれ口を叩いてしまう。

「怪我はしたクセに……」

 小声でそんな事をいってしまうトムは自己嫌悪してしまうのだが――

「なんか……言ったか?」

 トムは慌てて「いや、別に」とごまかした。

そんなトムにディリーが「追いかけて来い」とそっけなく言う。

(くぁ~~ムッカ~!! 俺の事なんか眼中にないってぇ~のかぁ~~!!)


 勝手にエキサイトして八つ当りをするトムをディリーは軽くいなしていた。

「フン。ろくに戦ってこなかった報い……か?」

 トムがどうでもいい事を気にする。

「何で疑問形な聞き方なんだよっ」

「まっ、まぁまぁ。喧嘩しないでっ」

 仲裁にデュアが入ってきたので、トムが八つ当たりをやめた。

「デュ……デュアに言われちゃあな。か……勘弁してやらぁ」

「フン……俺は最初から相手にしていない」


「なっに~~!?」

「もう喧嘩しないでってデュアに言われたばかりだろぉ? ハイッ」

 トムの手をディリーの手に乗っけて「ごめんな」って言いなよホラッ!

2人ともボー然

(ピュ……ピュティア……。本領発揮し始めているぞ『男勝り』の)

 

 そんな3人に遠慮がちにグレイが声をかける。

「あ……あの~~言いづらいんですが」

まずピュティアに尋ねられ、重ねてトムにも早く話すよう急かされた。

「何!? どうしたの。どうかした……?」

「んだよ、ハッキリしろよ! グレイ」

 そんなに強くもない魔物がトムに不意打ちを狙っているかのような動きを見せている。

「魔物が後ろから狙っているぞトム……」

「なっにぃぃ!」


 トムが前衛に入って改めて戦闘開始した所、魔物も少し増えてゼリーム5匹とドラキュー2匹が対峙していることになる。

「ゲッ、魔物ゼリーだわ! 気持ち悪~い」

 ピュティアが見た目を気持ち悪がっていた。

「ファイヤーブレード!」

一気に2匹同時に横一閃。燃え尽きて消える。


 トム達が見ていない間にドラキューやゼリームが襲いかかって来なかったのには理由がある。基本的な習性はドラキューは目線を合わせていれば奇襲が好きなので機をうかがう様子(魔物なのでたまには例外な存在もいるので注意)になるのだ。ゼリームには先に動いた魔物に合わせるという習性があるため、先制攻撃をして来ない魔物だったりするからであった。

「負けてなんかいられないわ! ドラキューに血を吸われてたまりますか!!」


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