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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
105/112

またデュアの父親から通信!? 2~ゴーレムなど魔物出現 1(挿絵追加)

「おい、デュア。そのロザリオは通信用にもなるのか?」

「あ……はい、そうです」

 その声に聞き覚えがあったらしく、デュアの父親が反射的に尋ねる。

<……!? お前、ランス……!?>

 実はあの世で何の偶然か出会っていたりするので、ディリーの父親に呆れられているようであった。

<なんだ……? 俺ならここにいるだろうが>

「ランス……!?」


 その名前にディリーが鋭い反応を見せる。

「ランス……!?」

 事情を知らないデュアは当然質問してみるしかなかった。

「あら? 私、知ってるわよ」

 デュアと同じように気になったトムがそう言ったピュティアに話の続きを促そうとする。

「何なんだよ!?」

「だって『ランス』っていったらディリーの父親だもの」


 いちいち教える事でもないだろうとディリーがピュティアをとがめた。

「ピュティア……。余計な事を言うな!」

 別に隠す必要もないんじゃない? とピュティアは思っているので「ゴメーン」程度の軽い謝罪で済ます。

<ディリーか……。久しぶりだなー>

 そのディリー達親子間に何があったわからないが、彼は静かに怒気を含んだ声を届けた。

「貴ッ様……! よくまぁヌケヌケと出てこれるもんだな!」

<まあ、そんなに怒んな……。俺だってお前を置いて行く気はなかったんだけどよ……あの時は仕方ね~じゃねーか>

 

 ディリーはその時の状況をぼんやりとしか覚えていなかった。それでも彼の望まない状況であり、展開だったのだから今までの苦労を考えろ! と、文句の一つでも言いたくなったのである。

「仕方ないだと……っ!? 俺がヒネくれたのはお前のせいだ!」

そんな文句なんぞどこ吹く風といった感じのディリーの父親。

<ハン。俺の知ったこっちゃねー。テメーが勝手にひねくれたんだろ>

 血管がピキピキと音を立ててもおかしくないくらい浮き出始める。わなわなと怒りから拳を握りしめた。

「いい歳こいて、やれ冒険だの何だのって俺を置いていきやがったのは貴様だろーが!」


 妻がいようと子どもが出来ようと関係ないようだった。ディリーの父親ランスは自分のやりたい事を犠牲にせず家族の大変だとか迷惑を考えない人だったようだ。

<いーじゃねえかよ。俺の人生は俺の人生、お前が意思疎通できるまでは見守ってやったんだ。それからはお前はお前の人生をってだけなんだからよ、もういーじゃねえか?>

「もういいっ!! 貴様は~~っっ。何を言ってもわからん奴め」

 怒りをぶつけているのだが、軽く受け流されている気がする、生活資金はちゃんと母親に出していたみたいなのでディリーはやり場のない怒りも混ぜざるを得ないでたちが悪かった。

<一応俺だって親だからな、お前の身は案じていたんだぜ? それじゃあな>



挿絵(By みてみん)



一方的に通信が切れた。

「あんのクソ親父ィ~~シメてやりたいぜ!!」

 感情を表に出す事の少ないディリーの様子をピュティアが面白がる。

「アハハッ、ディリーが感情をあらわにしてるー。めっずらし~」

 デュア達はしばし無言――

(あいつがこんな人の多い場所で表情の変化を激しく見せるとは予想外だったぜ)

 トムが思った様な事をデュア達も思ったのではないだろうか。呆気にとられていた彼女らは我に返った。

「あっ、あの、どうしましょう? これから」


 デュアが恐る恐る尋ねてみると、ディリーが魔物に怒りをぶつけたいと言う。

「ムカムカするからもういっちょ暴れてえなぁ……」

 くっくっくっとディリーが怪しげに笑う。ピュティアが棒読みで怖いとつぶやいている。ディリーが発している雰囲気は恐怖心を覚えるくらいのものだった。

岩陰に隠れた雑草を踏んだかのような物音、ディリーがそちらの方に目を光らせる。明らかに獲物を狙っているかのような……そんな目をしていた。その彼が早く出てこいと叫んだ。

「出てこ―いぃ、魔物どもぉぉ~~。たたっ斬ってやるぅ~~!!」


 自分で戦う気のない魔導師が土人形ゴーレムをディリーの元へ送り込む。

(血の気ノオオイヤツダ。コノゴーレムニ挑戦状ヲオクッテクレルトハ……! ヨシ、相手ヲシテヤロウ……)

 準備を整えて声だけでディリーの注意を引いた。

「オイ、ソコノ剣士ヨ。コノゴーレムガ相手シテヤロウ」

 ヤル気の強くなっているディリーが鼻を鳴らす。

「はははは、こいつはいいな……相手にとって不足はない!」

「ソレハコチラモ同じダ」


「こっちから仕掛ける!」

 そんな状態の中でも今までの戦いの経験が生きていて、実は戦闘経験のあるゴーレム相手にはこうしないと厳しいというのがわかっている。瞬間的に疾風のような突きを放ってゴーレムの身を削っていった。連撃をやめず、風を切るような音がしたのに気づいたディリーはゴーレムのそばまで行って剣の柄をもろくなり始めた場所にぶつけた。

「グゥ……ナカナカヤルナ……」

 

ゴーレムに大ダメージを与えた彼はクールな笑みを浮かべる。


 今月中に第一部の改稿が終わりそうです。

最後までお付き合いくださいますように。

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