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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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ディリー達と戦闘訓練? 1 挿絵あり

 もどかしそうに体をムズムズさせるトム。

「早く話してくれよ、なぁーっ」

「じゃあ早速話すけど準備は良いかしら」

 何度もトムはうなずいた。

「何か、変な声が聞こえたじゃない」

「そん時の話からか、おう。それで?」

「その声の主……って誰だっけ? あ、そうそうルシファーとか聞いたわね影の薄いやつ」


 状況を思い出しながらトムが話の続きを促す。

「ああ。そいつがどうかしたのか?」

 デュアはこれくらいなら話すのに問題ないでしょと自分基準で決めて、ディリーがあの魔族と対峙していた時に様子がいつもと違って見えたから彼に尋ねたという所まで教えた。

「……私、それでディリーさんに質問したのよ。その声の主と関係が深そうだったから……」

 ワクワクしながらキラキラした目で続きを促す瞳をしているトムにデュアは少し汗をかく。

「それで、それで!?」


 デュアが気を取り直してその後で何をしたのかを語る。

「ん……ちょっと問いつめちゃったのよね~、ディリーさんに……」

「うん、うん」

 その話題を振った時のディリーの表情についてまず教えた。

「悲しい顔……してたのよ。過去の人らしくて……」

 トムも気づいたようである。

「……ってあのルシファーってのが?」


 デュアがこくりとうなずいた。トムは「ふぅん」といった感じで鼻をならす。

「ま、それだけなんだけどね」

「そーかそーか。なら安心だ」

 寝ていた所を起こしてしまったことをデュアが改めて謝罪した。

「ごめんね。起こしちゃって」

「いやいや、気にすんなって」

 気にすんなというのを手のジェスチャーで表すトム。どんな手の動きかは想像に任せよう。


「おやすみ……」

「ああ。おやすみ……」

 全員が眠りについて、しばらく時間が経過するとだんだんと夜が明ける。宿屋の窓から朝日が差し込み、スズメを中心にした鳥のさえずりの合唱が聞こえてきた。

「ん~~……」

 まだ眠いからか景色がぼやけて見えていた、徐々にハッキリ見えてきた。デュアは一度起きようかなとアクビをしながら目をこする。

「ふあぁ~。目ェ覚めちゃった……。トムと話して、えーとそれから寝たからそんなに寝れてないじゃ~ん、もぉ」

 またベッドに顔をうずめて眠気に逆らうことなくデュアは寝ようとする。しかし寝る直前、デュア以外で起きていたピュティアの姿をたまたま見て気まずい思いを味わった。


挿絵(By みてみん)



「!!??」

 目を背けてデュアが見ていないアピールをした。その白々しさが良くなかったのか、ピュティアが近づいてくる。

(わ~~ん。そんな格好で近寄らないでぇ~~)

 一応といった様子でピュティアがデュアの耳元でささやき声を出した。

「起きてるの? デュア」

 わざとらしく思いっきり「グーッ」といびきをかいているフリをする。


 デュアのバレバレの行動がおかしくて笑い声をあげたピュティアが改めて確認してベッドの毛布に手をかけた。

「デューアッ、起きてるんでしょ~?」

「ぐぉ~っ、んごー」

 ピュティアは仕方のない子ねという瞳で彼女を見つめた。それから嘘のいびきをかいているってバレてるのにと勢いをつけてデュアがくるまっていた毛布をはぐ。

「もう~~、何をするんですかー。っていうか何つー格好をしているんですピュティアさん!」

 大多数の人がそういう事を言ってくるのよねとピュティアが軽くデュアをいじった。


「え~~、ただのネグリジェ代わりじゃない? いいじゃない寝る時くらい下着に近かろうとmどんな服でもぉ……。お姉ちゃんと同じ事を言わないでよね」

 自分は気に入っている事を他人に指摘される、それは指摘されたくない話と同義な気がして彼女は歯切れ悪く謝罪した。

「え……あ……すいません……」

 結局起こされてしまったので眠気がないといえば嘘になるが、デュアは寝るのをやめる。

(目ぇ冴えてきちゃったよ……おかげで。もう少し眠ろうと思っていたのにぃ)


「着替えるからね、こっち向かないでよ」

 同性でそんな事言われても……見ても見なくてもそんなに違いはないよねとは思う。でも、デュアも着替えようとしていたのでお互い背中を見せる感じで逆方向を向いた。



「私も着替えるのでお互い様ですね」

 さて、いつもの身を守る装備は別として動きやすい服にしようかなと考えてデュアが軽装をチョイスする。

(久しぶりに軽い格好をしようっと!!)


 早起きの2人が着替えた後でまったりしている間に続々とみんなが起き始めた。「おはよー」という挨拶がここでいろんなところからかわされる。

 そしてみんな集まったので朝食を食べることにした。その朝食の席でトムがこれからの指針を聞く。

「なぁ、今度の出発はいつにすんだ? ここに長居するのも悪かねえけど宿代もバカになんねーしよ。やらなきゃいけねえ事もあるだろうし」

「トムの言う通りよね。どうしようか?」

 お金がかかろうと一つの場所に戻れる場所がある、それは安心感が高くなる要素だ。しかし、いつまでもここにいるというのも――。

メイだけでなく、いろんな場所に行こうと提案するものも出てきた。



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