プロローグ
王道冒険ものと考えてもらっていいと思います。
長編の予定ですが、どうなるかわかりません
「バラスッ! 一番『優しい心』の持ち主は見つかったかッ!」
この世界にある人達が恐れている暗闇の岩城という建物に獣人幾名かが会議中。
「ははッ、 申し訳ありませぬ。 まだ見つけられておらんのです」
「なにっ!? まだだと? いつまで待たせるー」
ダイヤモンドに匹敵する程といわれる黒い魔石の机を最強獣人が苦もなくへこませる。バラスという獣人が驚愕していた。が、気を取り直す。
「今、占い師のマーヤが占っております」
最強獣人は不気味な笑みを浮かべ――
「ふっ! マーヤの占いは良く当たる。貴様が適任だそうだ……今回は失敗を許さぬぞ!」
「はは―――っ」
バラスはひざまずき、頭を下げた。バラスはその後で早速地下室に行く。マーヤに占いが終わったか聞くため階段を下りて占い師の部屋にたどりつく。
「マーヤ! 占いは終わり申したか!?」
「これはこれはバラス殿。占い結果が出るまでもう少し部屋を出て待っていておくれ」
年齢不詳のマーヤ(若作りしているにしてはという謎の若さに見える占い師)に退室するよう言われた。
「早くし…………いや、わかった」
バラスは急ぐあまり、マーヤに怒りをぶつけようとした。しかし、マーヤの冷淡な目つきを見て思い出す。彼女がへそを曲げると占いなんてしなくなるという事を。そのため素直に従ったのである。
そしてドアの向こう側ではマーヤが占いの結果を出しているところだった。
「わしは聞こう。『一番の優しい心』の持ち主を見せよ!!」
水晶玉が輝き出すと次第にはっきり人の顔を映し出す。
「ほっほう。この娘か? やさしさが人のためになっておる。慈悲の心を無自覚に使っているのう」
占い終えたマーヤは一息つき、
(バラス殿を呼んでやらんとのう)
外側にいるバラスへ声をかけた。
「おおっ、占いに写し出されたものは誰か? 今行くぞ」
バラスが少し古めの扉を開けて、マーヤの部屋に入ると彼女が水晶玉を間近に寄せてくる。
「この娘だよ、バラス殿。よく見たかの」
「ふむ…………こんな子どもが……特徴だけでも覚えておくか。川上村出身、薄緑色のセミロング髪に十字架のペンダント……? まぁ、これだけ情報があれば十分よ。マーヤ……ご苦労であった。私はお前を部下に持って幸せに思うぞ」
マーヤがうやうやしく頭を垂れた。
「そう思われて光栄です」
バラスはマーヤに背を向けて感謝の言葉を告げた。
「では私はゆくぞ。本当にご苦労であった」
「いえ……。またお役に立てて本望ですぞ」
バラスがマーヤにだけ見せる笑顔をする。マーヤはあえて、ただ見送った。
「行って参り、成功する予定のバラス殿に幸あらんことを」
明日も予約投稿予定