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五話 よく考えるとこれって3P?

「助けてくれ…殺さないで…頼む…頼むよ。」


先ほどまでの威勢はどうしたのだろうか?大学生と思しき男は、這いつくばりながら涙ながらに俺に訴える。

まったく、男ならしゃんと立て。相手の顔色を窺ってどうするんだ!いやまあ立てないだろうけどね、俺思いっきりフルスイングしたからね。ゴルフクラブを頭めがけ。

おかげでゴルフクラブは見るも無残に真っ二つ。あれ?被害状況を考慮するとこっちの方がもしかして損失が多い?

もしやこちらの物資を削る作成なのか?くそ、見かけ体育会家なのに、意外に策士だな。見直したぜ。ツヨシ(仮名)やるじゃない。


「と言っても、俺の女に手を出したわけだしね。ほら、例えチョコから誘って、疑いもせず。ノコノコついてきただけだとしてもさ。ほら、俺の気分が悪いじゃん?」


そう言って俺はチョコの肩を抱き寄せる。え、何嫌そうに顔を歪めているの?

俺に触られるのがそんなにいやなの?

ま、まあ、所詮演技だし、俺、別にこんな女のことをなんとも思っていないし、…別にいいし。

うう…どうしてよ。理性ではなんともないと思っているのに、どうして涙が出るの?

人体って不思議だね!!!


「金なら払うよ…だから」

「それが望みね。OK。わかった。それだけか、アンタ、意外と謙虚なんだな。いいね倹約は日本人の美徳。欲しがりません勝つまではってやつ?」


ツヨシ(仮名)は呆けた様子になる。ふふふ、俺の気前の良さに驚いているな。

俺の女に手を出した屑をも許す俺の慈悲の心はマジ仏陀を超えてるね。


「それじゃ、互いに同意したことだし、始めますか。」


俺はカバンの奥底にしまっていたハサミを取り出すとツヨシ(仮名)君の目の前でそれこれ見よがしにチョッキンチョッキン動かしてやる。

それを見たツヨシ(仮名)たら急に顔色が悪くなる。まったくいったいどんな想像をしているんだ?失礼しちゃうな、まったく。



「実はさ、最近散髪に凝っているんだ。それでさ、専用のハサミが欲しくて買っちゃったんだ。そしたらさ、その日から切りたくてたまらないんだ。」


現金なものだ。ツヨシ(仮名)君たら、急に顔色がよくなる。だが、俺のテクを無料で味わえることによる反応だと思うと、俺の中でツヨシ君(仮名)の好感度が急上昇。

ち、違うわよ!そんな急に好感度が上がるわけないじゃない。私そんな安い男じゃないんだから。

別に私、ツヨシ君(仮名)のことなんか…なんか…あれ?

私さっきから涙が止まらない…もしかして私…ツヨシ君(仮名)のこと本気で…?


俺は涙を拭うと、ツヨシ君(仮名)に向き直る。スキなことは、早めに済ませるとと決めているんだ。ずっと昔から。


「それじゃ始めようか。」


そう言って、俺はツヨシ君(仮名)の右手を取ると、おもむろにハサミで彼の親断ちを促して上がる。両親から引き離すなんて、俺の良心が痛むけど、大学生だしそろそろ自立はしなきゃね…なんちゃって。


ツヨシ君(仮名)も感動したのか、床をのた打ち回り全身で喜びを露わにする。マジか?コイツ頭大丈夫?もしかしてそう言う性癖なの?

やだ、コイツ怖い。引くわ…。


「…っざけんなよ。」


ツヨシ君(仮名)はそう言うと、なぜか左手で殴りかかってきた。

ふ、その程度か…。そんな腰の入っていないパンチでは避けるまでも…ってイッテぇえええ!!?

しまった!不意打ちが成功したから忘れていたけど、俺基本、すげぇ弱いんだった!

やべ、どうするのこれ?もしかして負けイベントだったの?


俺は動揺したのか、床をのた打ち回り全身で喜びを露わにする。マジか?俺頭大丈夫?もしかしてそう言う性癖なの?

やだ、俺怖い。引くわ…。


って遊んでいる場合じゃない!こうなりゃやけだ。いいぜ、ツヨシ君(仮名)!勝負だ。キミが壊れるまで俺は殴るのを止めない。


悲壮な覚悟を胸に立ち上がった俺を待っていたのは、チョコに片腕で首を絞めなれながら、弱弱しく抵抗するツヨシ君だった。

ああ、そういえばこいつがいたのか…。すっかり忘れていた。

くそ、ようやくバトル展開に突入だと思っていたのに。


「おい、あんまり首を絞めるな。ツヨシ君(仮名)が可愛そうだろ?暴力反対!」

「あなたがいつまでも。もたもたしているから助けが必要かと思ったのですが…。」

「余計なお世話だ!」

「できるんですか、一人で?」

「…。意識は飛ばさないように気を付けてね。」

「それは、必要なんですか?」

「殺さないって約束したからな…判断が難しんだよ。意識がないとどこまで切り刻んでいいかが。人間は丁寧に扱えば頑丈だけど、ちょっとしたことで壊れちゃうし。」


青ざめるを通り越して、色白美人に変貌したツヨシ君(仮名)は突如、ズボンから液体が滴る。

…よほど、この暴力女が怖いのだろう。わかる。わかるよその気持ち。痛いほどに!


「あなたの好みに付き合うように命令されていますので、それは別にいいですが…私たちの詳細を他人にしゃべられることが、まずいのは理解していますね?」

「あいかわらず、難しい注文を…でも、ハードルが高いからこそ、俺の職人魂は燃え盛るのであったとさマル。…とりあえず、止血用にタオルを用意してあげますか。あとは痛み止め?市販の奴だけど大丈夫かな。まあ、無いよりはましか。」


そういって俺はカバンの中をあさる。何焦ることはない。時間ならたっぷりあるんだから。

俺とチョコとツヨシ君(仮名)の長い夜はこれから始まるのであったとさ。




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