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『不死者の告白』Ⅰ

第1章『不死者の告白』は不死者の説明と主人公の今まで受けた話が登場します。

あなたは不死者になりたいですか?

それとも...不死者を殺したいですか?

私がいつから不死になったのかはわからない。

不死とは生まれつきのものではない。

神の恩寵とも神の慈愛とも言われ、後天的に獲得することの出来る能力の一つだ。

古くは英雄ペルセウスや、不完全ながらアキレスなどにも語られている。

不死者という名前だが、実際に死なない訳では無い。

不死者はおよそ200年ほどで死ぬ。

原因は老衰とも細胞の自壊とも言われているがそれは定かでない。

ただ、老化自体は20歳前後で止まるのでその真相は定かではないのだが。

しかし、その寿命を全うすること以外ではいかなることがあっても死なない。

たとえ火で焼かれても、四肢を切断されても、酸で焼かれても、海に沈められても、息を止められても、粉々にされても、病気になっても、爆破されても、失血しても、脳が破壊されても、心臓がくり貫かれても、拷問されても、肉を食われても、、動物に全身を飲み込まれても...性的欲望を満たすために弄ばれても。

不死者は英雄だった。

戦乱でも死ぬことがなく、故に死を覚悟した特攻を以てして、主君の命を救うことが多々あったからだ。

古代の王と呼ばれる人物は常に身の回りに不死者を最低4人は置いていたという。

その中で不死者は一般人よりはるかに優れた特権を得ていた。

更に、不死者は神の恩寵と思われていたので、不死者は神に最も近きものとして崇拝の対象となることも少なくはなかった。

もしかしたら王も不死者を近くに侍らせることで、神の恩寵を得たものから敬われる自分は仁君であるということを表明する狙いもあったのかもしれない。

だが、そんな輝かしい不死者の歴史は今は見る影もない。

不死者は、一般人とは、人間とは違うものとして、物として扱われるようになった。

不死者の厚遇を妬んだ王の側近から始まった不死者の弾圧が、何をしても死なないその不死性を妬んだ民衆にも広まったからだと言われている。

それはともかく、不死者に今、人権はない。

当然のことだ。不死者は人間ではないのだから。

故に何をしても許される。

そんな絶望的な世界に私は不死者として生まれた。

いや、これは私の、人外の視点からだ。

人間からすれば今の世界は争いもなく平和で、人権は守られ、誰も飢えることなく、誰も罪を犯すことなく、福利厚生が行き届いている。

私は今年で人間と同じ年の数え方をすると120歳になるのだけれど、こんなに平和な世界は知らない。

平和で平和で退屈した世界。そんな平和は通常の手段じゃなかなか続かない。

だから政府は考えた。

不死者の人権を法的に、正式に剥奪することで一部の人々の暴力的な欲求を不死者に向けようと。

どう?

実は不死者もこの平和な世界を保つのに役立ってるんだ。

役立ってるはずなんだ。

凄いとは思わない?

だからさ...

人権まで欲しいとは思わないけどさ...

こんな不当な扱いはやめて欲しいなぁ...なんて、これはそんなに豪華な望みなのかな...?








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