第17話 想い act 1
バスが施設へ到着して、3年生の生徒、講師。スタッフが降りてきた。
生徒達は祭りを堪能して満足顔で、講師達は酒が入って少し顔を赤くして上機嫌で、スタッフは参加者全員をまとめるのに気苦労が絶えなかったのか、少し疲れ顔だった。
全員揃って1、2年生が待つ花火を行う広場へ向かった。
一番後方で歩いていた間宮が、その前方を歩く女性スタッフに声をかけた。
「祭りの引率お疲れ様でした。我々も一緒になって遊んでしまってすみませんでした。」
「あ!間宮先生お疲れ様です。いえいえ!これが我々の仕事で、間宮先生達は講義をするのがお仕事なんですから、気にしないで下さい。」
そうスタッフは笑顔で応えた。
「そうは言っても、やはり申し訳ないので、何かお手伝い出来る事があれば言って下さいね。」
そうスタッフに柔らかい笑顔で申し出た。
「フフ、優しいんですね。女子生徒達が騒ぐのも分かります。」
手を口元に当ててニッコリと笑みを浮かべながら返した。
「え?いえいえ!そんな・・・」
苦笑いでそれを否定した間宮は後頭部を掻いた。
そんな2人の更に前方で、
ふん!また違う女の人と仲良くしちゃってさ!いいもん!
私にはこの先生がプレゼントしてくれた「ぴよ助」がいるもん!
わがまま言って無理やり取って貰ったぬいぐるみだけどさ・・・
その2人の会話を耳がダンボ状態で盗み聞きしていた、瑞樹は1人でブツブツと呟いた。
するとスタッフが思い出したように
「あ!そうだ!では1つお願い出来ますか?」
手を「パン!」と合わせて、そう言ってきた。
「はい、なんでしょうか?」
「花火を始める前に簡単な注意事項を一応皆さんに伝える事になっていまして、それを間宮先生にお願いしたいのですが、引き受けてもらえませんか?」
「なるほど!全然構いませんよ。了解しました。」
「ありがとうございます、では、後で注意事項の内容をメモしてお渡ししますね。」
スタッフとの会話を終えて広場に到着した。
1,2年生が迎えに集まってきた。
特に浴衣組の周りに集中して集まってきた。
「わぁ!浴衣だ!いいですね!」
「藤崎先生!綺麗!大人っぽくて素敵です!」
各々浴衣を着ている参加者に感想を述べていた。
そこでもやはり一番反響が大きかったのが、瑞樹の浴衣姿だった。
「み、瑞樹先輩!何ですか!?その格好は!可愛すぎるんですけど!」
ーーーーーー何ですかって言われても・・・ーーー
「先輩!一緒に写真いいですか?」
ーーーーーーじゃあ後で皆でね。ーーー
「瑞樹先輩!年下の男ってどう思います?例えば俺なんてどうですか?」
ーーーーーーえぇ!?か、可愛いんじゃないかな?・・・ーー
「ほ、本当ですか!?じゃあ!是非!俺と付き合って下さい!」
ーーーーーーあ、いえ・・その・・ごめんなさい・・ーー
「先輩!握手して下さい!」
ーーーーーーいや、それはちょっと・・ーーーーー
「瑞樹先輩、私たちと一緒に花火してくれませんか?」
ーーーーーーあ、うん、後で行くね。ーーー
「先輩!一度だけでいいので、ハグさせて下さい!」
ーーーーーーはぁ!?無理!無理!ーーーー
「瑞樹先輩!手に持ってるぬいぐるみどうしたんですか?
超可愛いんですけど!」
ーーーーーーでしょ!でしょ!可愛いよねぇ!ーーーー
「これって露店の景品ですか?瑞樹先輩が取ったんですか?」
ーーーーーーうん!そうだよ!私が取ったんじゃなくて、
取ってくれたのは通りすがりのバスケットプレイヤーの人wーー
「そのぬいぐるみ、ちょっと触らせてくれませんか?」
ーーーーーーいいよ。はい!どうそ。ーーーーー
「ありがとうございます!あぁ!いい香りだ!瑞樹先輩の香りがする!」
ーーーーーーしまった!それが狙いか!ーーーー
「ぬいぐるみもう名前つけたんですか?」
ーーーーーーうん!ぴよ助って言うの。モフモフで気持ちいいから、
早速今日から一緒に寝るんだ。ーーー
「添い寝ならお・・・・」
ーーーーーーけ、結構です!!ーーーー
自分が褒められたりするのは、慌てたり否定的だったりしたのだが、
ぬいぐるみを褒められると、自分が褒められてるように喜んでいた瑞樹だった。
その間にスタッフは水を張ったバケツをあちこちに置いてまわり、準備が完了すると、中央に間宮が呼ばれた。
スタッフからメモを受け取り内容を確認すると、拡声器を構えて話しだした。
「皆さんお疲れ様です。1,2年生は肝試しいかがでしたか?3年生はお祭り楽しんでいただけましたか?
これから花火を皆さんで行うわけですが、この大量の花火は天谷社長が皆さんにと、ポケットマネーで用意してくれたものだそうです。」
そう伝えると歓声があがった。
「マジか!?こんな大量に買ったらいくらするんだよ!」
「10万でも足りなくね?」
その歓声を聞きながら、間宮は続けた。
「本当に凄いですよね!僕の給料ではとても無理な量ですよ。」
あははははは!
「笑いましたね!。失礼な生徒達ですね。」
あははははは!
「当たり前の話なのですが、終わった花火は必ずバケツの水で鎮火させて下さい。絶対に地面に捨てないように!いいですね!
それから打ち上げ花火は、芝生が生えていない所定のスペースであげて下さい。そこ以外では上げないように!
それと花火がなくなり次第終了なのですが、無くならなくても、明日も午前中まで最後の講義があるので22時には終了します。
と言っても最後の夜だからと遅くまで起きているんでしょうけどね。
ここは学校ではありませんから、その事を止めさせるつもりはありませんが、
明日の講義に寝坊だけはしないように注意して下さい。わかりましたか?」
「はい!」
生徒は元気に返事を返した。
「僕からは以上です。解らない事があれば、スタッフさんまでお願いしますね。それでは皆さん合宿最後の夜を楽しんで、また明日から頑張って下さい!」
間宮の話を聞き終えた生徒達は各々で花火に火を付け出して、あちらこちらでいろんな炎の花を咲かせた。
拡声器をスタッフへ手渡して
「それでは、後は宜しくお願いします。」
そう言って間宮は施設の方へ歩き出そうとした。
「はい、あれ?間宮先生は花火しないんですか?」
「ええ、今日中に仕上げないといけない仕事がありまして、先に戻らせてもらいますね。」
「そうですか、お疲れ様です。」
見送ってくれたスタッフに笑顔で会釈して、間宮は施設へ歩いて行った。
花火を始めて暫くして、下級生達に誘われてた瑞樹は、芝生に座って後輩達に囲まれて、打ち上げ花火を見ながら色んな話をしていたところに、加藤がやってきた。
「志乃~~!間宮先生見かけなかった?」
「ん?ううん!そういえば花火が始まってから見てないよ。」
「そっか、間宮先生にもかなり強引に祭りの事で、迷惑かけちゃったから、謝りたかったんだけどなぁ・・」
顔をポリポリと掻きながら、困り顔で加藤はそう言った。
「ほんとよ!愛菜が無理矢理、私と2人でお祭りに行け!なんて、間宮先生に言うから、先生達の約束をドタキャンして抜けてくるの大変だったって言ってたよ!それに!私だって驚いたし、寂しかったんだからね!」
「はは!それについては本当にごめんね!怒ってる?」
加藤は心配そうな顔で聞いてきた。
「ううん!愛菜のおかげで、嬉しかったし、楽しかった。
愛菜の宣言通り、本当に私が望んでいる事に気付けたよ。ありがとう。」
笑顔でそう返した。
「そっか!よかった!私がしてあげられる事はここまで!後は志乃次第だよ!」
人差し指を瑞樹に向けて得意気に言った。
「うん!わかってる!頑張るよ!私!」
そんな二人の会話を聞いていた後輩達が
「瑞樹先輩、お祭りで何かあったんですか?」
興味津々とゆう顔で聞いてくるので
「うん!私が親友の掌で踊らされてたってお話だよ。」
加藤の方を指差しながら意地悪っぽく言った。
「ええぇぇ~~!?加藤先輩ヒド~~い!」
後輩達は加藤を非難した。
「ちょ!ちが!言い方!志乃!言い方!」
あははははは!
慌てる加藤を見て皆で笑った。
「もう!間宮先生見かけたら教えてね!」
「うん。わかった。」
そう言って
加藤はまた間宮を探しに動き出した。
加藤にそう言われると自分も間宮の行方が気になりだしたが、
後輩が楽しそうに話をしてくれているので、動くわけにはいかないなと、諦めて談笑を続けた。
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間宮は施設の前に到着した時に、講師達に渡す物があった事を思い出した。
「あ!そうだ!このメロンパンを奥寺先生達に渡すの忘れてたな。
また戻らないと駄目かな・・・」
そうため息混じりに呟いていると、施設の物陰に人影があるのに気づき、その人物を目で追いかけると、奥寺と藤崎だと確認できた。
これは好都合だと、そのまま2人の後を追っていくと、2人は施設の外周にある遊歩道の方へ向かって行った。。
遊歩道へ入り、暫く進んだ所で奥寺と藤崎は立ち止まり、何か話していたようで、もうすぐ間宮が追いつける所まで進んだ時に、2人の会話が耳に入りだし、その内容を知って間宮は思わず物陰に隠れた。
「藤崎先生!俺は今はこんな半端な状態で、偉そうな事なんて言える立場ではないのは、重々承知しているんですが、恐らくこのまま順調に合宿を終えたら、正規の講師としてこのゼミで働けると思うんです。」
「ええ!奥寺先生なら採用は確実だと思いますよ。でも、それが何か?」
「はい!本当は採用が確定してタイミングを計ってと思っていたのですが、
祭りでの間宮先生を目の当たりにして、彼の行動力を知って、なんだかチマチマと計算なんてしている自分が恥ずかしくなってきて、もう!今日言ってしまおうと決心したんです。」
奥寺は極度に緊張している為か、この涼しい高原に気候に似合わない汗を額に浮かべていた。
そんな奥寺を藤崎は何も言わずに黙って、奥寺の目を見つめている。
「あの、この合宿で始めて会った時から、藤崎先生の事が気になっていまして、皆でここで生活するようになってから、色んなあなたを知る事が出来て、その度に気持ちが大きくなっていきました。
俺は、藤崎先生!あなたの事が好きです!絶対に後悔させません!だから俺と付き合ってもらえませんか?」
奥寺の藤崎への告白を聞いていた間宮は、この告白の返事まで聞いてしまったら、2人に失礼だと思いすぐに見つからないように、この場を離れて花火会場へ戻って行った。
藤崎はすぐに返事をせずに、困った表情を浮かべて、申し訳なさそうに口を開いた。
「ありがとうございます、お気持ちは嬉しかったです。」
奥寺は目を見開いて
「そ、それじゃあ・・・!?」
奥寺は一瞬期待したが、
「でも、ごめんなさい。奥寺先生とはお付き合い出来ません。」
見開いていた目がすぐに下を向いた。
「初日に彼氏はいないって言っていましたが、やっぱり彼氏がいらっしゃったんですか?」
「え?あ!いえ、本当に付き合っている人はいないんですが・・・・・
気になっている人がいるんです。だからこんな気持ちでは奥寺先生とお付き合いするのは失礼だと思うので・・・」
「その気になっている人って・・・」
奥寺は誰の事か分かったが、言葉を途中で切った。
その言葉に藤崎は黙って頬を赤らめて、視線を逸らしながら頷いた。
「もし!藤崎先生の今の気持ちでも気にしないって言ったら、考え直してもらえますか?お付き合いしていけば、気持ちが変わるかもしれませんし!」
奥寺は必死に粘ったが、藤崎は目を閉じて顔を横に振り
「そんな卑怯な事出来ません。奥寺先生が気にしなくても、私がすごく気にします。本当にごめんなさい。」
藤崎はそう言って、両手を前で組み頭を下げた。
「そうですか・・・わかりました!」
そう言って奥寺はニカッと笑みを作った。
「でも本当にお気持ちは嬉しかったです。ありがとうございます。」
藤崎も笑みを作って応えた。
「いえ!でもね!藤崎先生!もうこれ以上この件で付きまとうことは絶対にしませんが、諦めたわけではありませんよ。もし藤崎先生がその気になっている方との事が、望まぬ結果になってしまったら・・・待っています!俺ってガキの頃から諦めだけは人一倍悪いんですよ!はははは!」
「ふふふふ、縁起悪い事言わないで下さいよ。残念ながら私もこの件に関しては、相当諦めが悪そうですよ。」
手を口元に当てながら悪戯っぽく笑いながら言った。
「それは困ったなぁ!」
あはははははは!
2人で顔を合わせながら笑った。
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間宮は花火会場に戻ると、すぐに英語担当の村田を見つけて声をかけた。
「村田先生!」
「あ!間宮先生!どうされたんですか?」
「これ!飲み歩きをドタキャンしたお詫びのお土産です。よかったら先生達で食べて下さい。」
間宮はそう言って、メロンパンカステラが入った袋を手渡した。
「そんな事気にしなくて良かったのに。」
「それ凄く美味しかったんですよ。でも皆さんは飲んでたので、甘い物はアテにならないから、食べてないだろうなって思いまして!美味いので是非食べてみてください。」
「それじゃ遠慮なく頂きますね。後で他の先生方と食べてみます。
ありがとうございました。」
村田はそう言って礼を述べた。
間宮は村田に会釈して急いで施設へ向かった。
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施設へ戻り浴衣から私服に着替えて、部屋からノートPCを持ちだし、祭りの時に飲めなかった缶ビールを買って、お気に入りの中庭のデッキチェアにリラックスな態勢で座り、テーブルのうえに置いていた缶ビールを喉に流し込み、一息ついて両手を上で組み、上半身を思いっきり伸ばした。
「う~~~~~~ん!・・・・よし!やるか!!」
気合を入れて太ももの上に立ち上げたノートPCを置いて、カタカタと打ち込み始めた。
そう、一旦全消去した最終日に使う予定だった物語を、改めて最初から作成しだしたのだ。
また作成を始めたのは、祭りの帰り、駐車場に向かっている時に、瑞樹が合宿の感想を聞かせてくれたから。
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「前に聞かれた合宿の感想なんだけどさ・・・」
「あ!いや!その話はしたくなかったら無理しなくても・・・」
間宮はオロオロしながらそう言ったが、瑞樹は顔を横に振って
「ううん!話したくないわけじゃないんだよ。
あの時は逃げちゃってごめんね。前に聞かれた時はちょっとショックな事があって、まぁ、そのショックだった事も自分が原因なんだけれどね。
私の中で決着をつけないといけない事があって、その決着から逃げている私に偉そうに合宿の事を語る資格がないって思ってたんだ。でも!もう絶対に逃げない!必ず決着をつける!ってこのお祭りで決心出来た。
まだその時ではないのだけれど、その前に先生が知りたがっていた、合宿の私の感想を話そうと思って・・・・・今更なんだけれど・・・聴いて貰えるかな?」
瑞樹は自ら一度拒否してしまった事を、今更で、明日使う物語なのにその前日の夜に話たりしたら、絶対間宮に迷惑をかける事は百も承知の上で、間宮に聴いて欲しいと頼んだ。
すると間宮は少し驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうな表情で
「是非聞かせて下さい。時間は気にしなくてもいいので。
もしバスの時間に間に合わなくても、この規模の祭りだからタクシーも周りを流しているはずなので、タクシーを捕まえて施設へ帰ればいいんですからね。」
間宮良介ではなく先生として聞かせて欲しいと返答を返した。
それから本通りの端へ移動して、間宮は瑞樹が話し出すのを待った。
「私にとってこの合宿は単に偏差値を上げる為に、参加しただけだったんです。もちろん参加してる人も皆、そうだと思うんですけど。
実際すごく効果があった合宿でした。
特にどうしても結果が出なかった英語が、飛躍的に伸ばせたのは講師として参加してくれていた間宮先生のおかげです。私行きたい大学があって、その専攻は英語が必須科目なのに、成果があげれなくて正直諦めかけていたんです。
でもstory magicのおかげで何故英語がこんなに苦手だったのか、理解できました。
story magicと間宮先生には感謝してもしきれない思いです。
そんなドライな考えで参加した合宿だったけど、受検勉強の他に大切な事も沢山ありました。
その中で特に大きな出来事が2つあります。
1つはこんな生意気で可愛くなくて、自分に嘘ばっかりついてる私なんかを、親友と呼んでくれる友達が出来た事です。
その女の子の前でだけは、自分を守る為に着飾った物を脱ぎ捨てて、話し合える存在なんです。勿論この合宿が終わってもずっと友達で、親友でいて欲しいって思ってます。
2つ目はショックな再会をした人がいた事です。
初日にその人がこの場所にいると知った時は、力が抜ける位ショックでした。
本音を言うとこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだったんです。
でも!その人は私に気付いていなかったから、そのまま正体を打ち上げずにいたんです。
日にちが経つにつれ、その人がどんな人なのか解ってきて、解る度に正体を隠している罪悪感と、始めて会った時にしてしまった過ちの後悔が大きくなってしまって、泣いてしまう事もありました。
もうこれ以上後悔を重ねたくない!そう決心して全て話して謝ろうって決めました。許してくれるか分かりませんが、たとえ許されなくても、これ以上逃げたら、私は私を本当に嫌いになってしまう。そんな事になってしまうなら、どんな罵声を浴びせられようと受け止める覚悟が持てました。
私にとってそんな風に自分を変えてくれた、大切で素敵な合宿だったと思います。」
瑞樹は一気にこの合宿で感じた事、経験した事、そして悩み抜いて結論が出せた事を話しきった。
間宮はその話を一切途切れさせる事なく、静かに聞き終えた。
「ありがとうございます。瑞樹さんにとって、この合宿で色々な事があったんですね。その問題に逃げないで立ち向かって行く姿勢は今後社会に出た時に、必ず武器になります。なのでこれからも逃げないで、周りをもっと頼って頑張っていって下さいね!勿論僕もお役に立てるなら、協力を惜しむつもりもありませんから、いつでも相談に来てください。
凄く参考になりました。ありがとうございました。」
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PCのキーボードの叩く音が軽快に響く。
間宮もこの合宿の事を振り返りながら、物語を紡いでいく。
時折、クスクスと思い出し笑いをしながら、物語は急激な早さで形になっていく。この早さが間宮がどれだけこの合宿が楽しかったかの証明なのかもしれない。