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29  作者: 葵 しずく
最終章 卒業
119/155

第9話 卒業旅行 act 5 ~記念~

 翌朝 6時過ぎ


 神山がセットしていたアラームで目を覚ますと、嫌な予感がした。

 原因は部屋の明るさだ。

 妙に薄暗いのが気になり、恐る恐る部屋のカーテンに手をかけると、嫌な音が聞こえてくる。


 まさか……


 意を決してカーテンを一気に開くと、神山の目に飛び込んできたのは大粒の雨だった。

 かなりの勢いで部屋の窓を叩く雨に、神山の表情も一気に曇る。


 神山は曇り切った顔で、まだ眠っている瑞樹と加藤を起こしにかかる。

 起きた2人も窓の外の様子を見て、神山と同様に表情が曇った。


 隣に泊っている間宮達も、窓からの景色を無言で眺めていた。


「……これは降り過ぎだろ」

「これじゃ、楽しみにしていた絶叫系が乗れないですよね」

 松崎と佐竹が肩を落とす。


 今日は早々に旅館を出て、そのままUSJに向かい一日遊び倒して、間宮の実家に向かう予定だった。


 間宮はスマホを取り出して、僅かな可能性に期待して実家にいる父親に電話をかける。


 ――オッス! オラ悟空!――

「あ、親父? おはよ」

 ――なんやねん! とうとう無視かい! スルーかい!――

「親父もネタがないんやったら、普通に応答したらええやん」

 ――何言うとるねん! そんな事したら大阪人失格やんけ!――

「だからそんな決まりなんか、全くないからな」

 ――そんで? どうしたんや? こっちに来るのは夜やったよな?――

「それなんやけど、そっちも雨降ってるか?」

 ――雨?起きた時から大雨やぞ――


 京都と大阪で天気が違う事がよくある。

 間宮はその可能性に期待して、実家に確認をとったが、はやり大阪も大雨らしい。

 父親と話をしている最中に、隣の女性陣が間宮達の部屋に訪れた。

 瑞樹達が雨が降っている事を残念がっている声が、電話越しに雅紀の耳に入った。

 そこで雅紀が間宮にいくつか確認をとるようにと話し出した。

 確認とは、受験生である高校生達の受験はもう終わっているのか?

 その高校生達の明後日の予定の確認だった。

 受験は終わっているので問題はなかった為、間宮は言われた通りに明後日の予定の確認をとると、全員特に予定は無いとの事だった。


 ――そうか。じゃあ、後はお前とお前の同僚次第なんやけどな。お前らもう一日休みを延ばせんのか?――

「は?」

 雅紀の提案とは、大阪にもう一泊してUSJには明日行けばいいという内容だった。

 天気予報によると、今日の夕方から雨は止んで明日は一日天気がいいらしい。

 勿論、宿泊先は間宮の実家を使えと言われたから、旅費を圧迫させる心配もいらないと提案を持ち掛けられた。


 雅紀の提案をこっそり松崎に告げると、一瞬厳しい表情を見せたが、残念がって表情が曇っている加藤を見て、分かったと返事が返ってきた。


「なぁ皆! これは親父からの提案なんだけど、明日は天気がいいらしいから、実家に連泊してUSJは明日にしないかって言ってるんだけど、どうする?」


 間宮が全員の確認をとる為、雅紀の提案を話した。


 勿論、この提案に瑞樹達は大喜びで賛成したのは言うまでもない。

 その事を雅紀に告げると、それなら慌ててチェックアウトせずに朝風呂に浸かって、ゆっくり朝食を食べてのんびりこっちに来るようにと話して、電話を切った。


 間宮達は早速朝風呂に入り、今日の予定を話し合いながら食堂に用意された朝食を摂って、チェックアウトする為にロビーで間宮と松崎が手続きを済ませた。


 旅館を出ようとすると、番頭や仲居が見送りに来てくれていた。

 その先頭に女将である松崎の母親の姿もある。


「本日はありがとうございました。お気をつけて」


 笑顔でそう挨拶する女将に、間宮達が各々に挨拶をして車へ向かおうとしたが、間宮は松崎と加藤に急ぐ予定もないからと、女将と少し話してから来るように伝えた。


「今日はありがとうね」

「こ、こちらこそ、素敵な部屋に美味しいお料理に気持ちのいいお風呂で、本当に楽しい時間をありがとうございました」

 加藤が恐縮しながらも、前日に少し話が出来たせいか、しっかりとした挨拶が出来てホッとした。


「母さんこそありがとな。色々と気を使ってくれたみたいで」

「何言うてんの。当たり前の事やないの」


 松崎は個人的にここを利用していたが、今回は特に思い出深い訪問になった。

 ずっと心配をかけていた。

 実家に住んでいる父親や義理の母親には、心配かけまいと振舞ってきたが、自分を生んでくれた母親には以前から、離婚してからの悩みを打ち明けていた。


 だからこうして、加藤を彼女だと紹介出来た事が、何より嬉しかったのだ。


「愛菜さん。今度は2人でいらっしゃいね」

「はい! 是非お邪魔させていただきます。ね! た、貴彦さん」

「え? お、おう! そうだな」


 付き合い始めてからも、彼女にずっと苗字で呼ばれていた。

 それが急に顔を赤らめ名前で呼ばれて、思わず松崎も動揺したが初めて加藤に名前で呼ばれて温かい気持ちになった。


 まだ本格的な春の訪れには早い時期の京都。

 今度ここに来る時は、この旅館まで続いている桜並木に、桜が満開に咲き誇る風景を見せてやりたいと松崎は加藤が喜ぶ姿を思い浮かべながら、旅館を後にした。


 雨の中旅館を後にした間宮一行は、再び京都駅に戻りそこを拠点として、京都のお土産散策をする事にした。


 皆、思い思いに買い物を楽しんでいると、一人でぶらぶらと散歩していた間宮が、小物売り場で真剣な表情で考え込んでいる瑞樹を見かけた。

 昨晩の事があって、朝から微妙な距離を取る事になってしまっていたが、いつまでも引きずっている場合ではないと、思い切って声をかけてみる。


「何を真剣に悩んでるんだ?」

「ふぇ!? あ……間宮さん」


 やはり俺に声をかけられるのは、微妙だったようだ。


 ふと瑞樹が手の取っている物が視界に入る。


「あれ? それって」

「……うん。あのキーホルダーに似てるなって思って」


 瑞樹が手に取っていた物が、以前岸田から貰った幸せを呼ぶキーホルダーによく似ていた。


 そのキーホルダーを眺めていると、気になる事があった。

 それは瑞樹がそのキーホルダーを二つ握りしめていたからだ。


「そんなに何個もいらないんじゃないか?」

「だ、だから、これは……その」


 歯切れが悪い返答を返した瑞樹は、よしっ!と声に出して立ち上がり、間宮の目の前に握っていたキーホルダーを突き出した。


「あ、あのね……これお揃いで買わない?」


 何故こんな物をお揃いで欲しがるのか間宮には理解出来なかったが、これで昨日からの微妙な空気がいくらか和らぐのならと、瑞樹の提案を受け入れて財布を取りだした。

「いくらだ?」

「580円だけど、いいよ! これは私が払うから」

「は? 何でだよ。別にこれくらい気にする事ないぞ」


 間宮はそう言って、瑞樹が持っているキーホルダーを二個とも手に持ち、会計に持っていこうとしたのだが、間宮の手から逃げる様に持ち直した瑞樹がそのまま会計を済ませようと歩きだした。


「お、おい!」

「いいの。私なりに理由があって買いたいから、これは私に買わせて」


 そんな言い方をされたら、間宮にはこれ以上何も言えずに、ただ瑞樹が会計を済ませるのを見つめる事しか出来なかった。


 会計を済ませた瑞樹は、別々の紙袋に入れられた片方を間宮に差し出す。


「はい。今回の旅行記念って事で受け取って」

「あぁ、ありがとう」


「おーい! 志乃!」

 間宮達がいた店の隣から出てきた加藤が、瑞樹を呼び掛ける声が聞こえた。

「うん! 今行くね!」

 瑞樹はキーホルダーが入った片方の紙袋を、大事そうに鞄に仕舞って間宮に「大切にしてくれたら嬉しいかな」と呟いて加藤達の元へ向かった。


 間宮は手渡された紙袋を、ジャケットの内ポケットに仕舞いこみ、楽しそうに買い物をしている瑞樹達を少しだけ目で追ってから、一足先に集合場所へ歩き出した。



 予定していた時間に全員集合して、荷物を車に積み込み間宮の実家がある大阪へ車を走らせた。


 道中は悪天候だった為か、少し渋滞に巻き込まれたが、無事に間宮の実家周辺まで差し掛かった時、前日から騒ぎっぱなしだったせいか車内にいる殆どのメンバーが眠ってしまっていた。

 起きているのは運転している間宮と、話し相手役で助手席に座っている瑞樹だけだった。

「ねえ、間宮さんの実家ってこの辺なんだよね?」

「あぁ、もうすぐ着くよ」

「何だか通り過ぎる家が、全部大きな家ばかりなんだけど」

「この辺りはそんな家ばっかりなんだよ」


 キョロキョロと窓の外を見渡している瑞樹の顔が、まるで初めて電車に乗って窓から景色を目を輝かせながら眺めている子供の様に見えて、間宮は思わずクスっと笑った。


「うしっ! 着いたぞ!」

「こ、ここが間宮さんの実家!?」


 到着してすぐに車から降りた瑞樹の第一声が、その台詞だった。

 呆然と立ち尽くす瑞樹の前に、和風の佇まいの大きな家、いや、これは屋敷と言っても差し支えない程立派な一軒家が建っていた。

 瑞樹は隣に並んで立っている松崎達に視線を移すと、彼らも瑞樹と同様にポカンと口を開けて固まっていた。


「おかえり! 良兄!」


 正面の門から少しだけ引き戸がカラカラと乾いた音を奏でて開き、間宮の弟である康介が出てきた。

「おぅ! 久しぶりだな」

「そやな」


 康介は固まっている瑞樹達を出迎える為に、ニッコリと微笑みながら近づいた。


「瑞樹ちゃんも久しぶりやね! 良兄から聞いたで! K大に現役で受かったんやってな! おめでとう!」

「え? あ、はい! ありがとうございます。えっと、お久しぶりです。お世話になります」

 放心状態だった瑞樹は、慌てて康介と挨拶を交わした。

 相変わらず人懐っこい性格で、相手に警戒心を抱かせないのは流石だ。


「皆さんも、遠い所お疲れ様でした」

「松崎です。大人数で押しかけてしまって申し訳ない。お世話になります」

「全然ですよ。ゆっくりしていって下さいね」


 松崎達は康介と簡単な挨拶を済ませると、早速車から荷物を降ろしにかかった。


「康介! 車庫の扉開けてくれないか?」

「ん? そうやな! ちょっと待ってや」


 康介の誘導で、車を車庫に停めて皆揃ったところで、家に入ると間宮の両親である雅紀と涼子が出迎えた。


「よう来たな! 俺がイケメン俳優の間宮雅紀や!」

「悪人面で何言うてんの!」


 初見からこのノリで出迎えられた松崎達は、呆気に取られてしまい愛想笑いすら出来なかった。


「間宮さんのお父さん、お母さんお久しぶりです。二日間お世話になります」


 だが唯一、2人と面識がある瑞樹は、来客の代表として雅紀のノリに動じずに、きちんと挨拶をした。


「おぉ! 瑞樹ちゃん!久しぶりやな! またベッピンに磨きがかかったんちゃうか?」

「瑞樹さん、久しぶりやね。自分の家やと思ってゆっくりしていってな」


 瑞樹の対応に、松崎達も慌てて2人に挨拶を済ませた。


「いきなりスベってんじゃねぇか」


 間宮は忠告を無視して、ボケてスベリ倒した雅紀に溜息をつきながら、高校を卒業するまで住んでいた実家を眺めた。

 約7年ぶりに帰ってきた家だったが、7年前とそう変わらない玄関の風景と匂いが間宮を出迎えてくれた。


「こんなとこじゃなんやし、とりあえず一旦荷物置いてきたら? 良兄案内したってよ」

「そうだな。それじゃそうさせてもらう」


 康介が仕切り初めて、間宮の案内で瑞樹達の部屋が用意されてある二階へ向かう事になった。


「女子達はこの部屋を使って。男共は隣のこの部屋な。どっちも誰かの部屋を空けたわけじゃなくて、元から来客部屋だから好きに使ってくれていいから」


 間宮は二階に上がって、それぞれの部屋を案内した。

 部屋に入ったメンバーは想像以上に広い部屋に驚きの声をあげる。


「素敵なお部屋だね。あ! 窓から庭が見えるよ」

「ホントだ! 綺麗な芝生じゃん!」

 瑞樹達が早速部屋ではしゃぐ姿を見て、間宮は気に入ってくれた事に安堵した。


 瑞樹達は荷物を整理してから、お茶を淹れているからと全員で一階のリビングに降りていく。


 リビングに全員揃うと、母親の涼子が珈琲とケーキを並べた。

「美味しい!」

 瑞樹達がケーキを口に入れると、壊すのが勿体ないと思えるケーキを絶賛した。

「あら、ありがとう」

 涼子が嬉しそうに微笑んで、美味しそうにケーキを食べている瑞樹達を眺める。

「美味いやろ! こう見えて嫁さんは結婚するまで、結構有名なパティシエやったんやで」

「えぇ!? そうなんですか!?」

「有名かどうかは分からへんけど、昔はプロでやってたんよ」


 涼子は中学の頃からパティシエになる夢をもって、その夢を実現させた。

 だから瑞樹達は折角掴んだ夢を、何故手放したのかと聞いた。


「そう思うやろ? 俺も辞める事はないって言ったんやけどなぁ」


 涼子はいろいろあったんよとだけ話して、苦笑いを浮かべた。

 ただ、洋菓子作りは趣味で続けたいからと、結婚当初にオーブンだけは拘った物を買ってもらったんだと話した。

 その甲斐あって、今でもお菓子作りは続けていて来客をもてなす時は、腕を振るっているそうだ。


 色々な話で賑やかにお茶をしていると、雅紀がこれからの事を話しだした。


「そういえば、自分らは大学入試を合格したんか?」

「はい! 全員志望校に合格出来ました」

 加藤が胸を張って、元気にそう答えると雅紀は嬉しそうに笑った。


「そうか! なら晩飯はおっちゃんがお祝いに御馳走するで!」

 そう言って胸をドンと力強く叩く。


「出前で寿司でもとるんか?」


 間宮が祝いの席でのメニューが気になり、そう聞くと雅紀は不敵な笑みを返した。


「それも考えたんやけどな! でも金を出せば東京でも食えるわけやから、大阪ならではのやつがええやん」

「またお好み焼きか?」

「それもええけど、瑞樹ちゃんには一回食べて貰ってるから、おもろないやろ」

「いや、別に面白さなんて求めてないけどな」

「で! 外食する事にした! ワシがずっと通ってる店やし、大阪ならではってもんを用意できるしな!」

「それってもしかして、辰さんの店か?」

「お! よう分かったな! 正解や! もう予約して座敷を確保してるで!」


 雅紀は得意気にわっはっはと笑い飛ばした。


「てか今更なんだけど、親父仕事はどうしたんだ?」

「は? 息子が友達引き連れて帰ってくるんやぞ? 仕事なんてしてる場合ちゃうやろ!わっはっは!」


 明るくそう言って笑い飛ばす父だったが、目の下に僅かだがクマが出来ている事を間宮は見逃さなかった。

 チラリと母親をみると、困った顔つきでコクリと頷いて合図を送られて、間宮は瞬時に大体の事を把握した。

 父は昔から照れ屋だった。

 だから、頑張っている所を見られるのを人一倍嫌う。

 俺達の前では、いい加減な事を言って笑い飛ばしているが、本当は一人になった時に人一倍頑張っている事を、家族は全員知っている。

 だが、皆に知られている事が分かったら、父に気恥しい思いをさせてしまうと、暗黙の了解で家族全員知らないふりをしていた。


 恐らく今回もこの時間をつくる為に、相当無理をしたのだろう。

 そんな不器用な父だが、働く一人の男として間宮は尊敬していた。


「経営者がそんないい加減な事で、大丈夫なのか?」

「問題ないわ! ウチの人間は皆優秀やからな! ワシなんておらん方がええねん。わっはっは!」


 無理しやがってと苦笑いを浮かべていると、店まではタクシーを予約しているから、迎えに来る時間までゆっくりしてるように告げる。

 珈琲を飲み干した雅紀は、少し用事があるからとリビングから姿を消した。

 恐らく書斎で仕事をするつもりなのだろう。

 変に気遣うと知られている事がバレる恐れがある為、間宮は何も言わずに部屋を出ていく父を見送った。


「さて! タクシーが来るまで2時間程あるんやけど、その間に東京での良兄の事とか聞かせてもらってええですか?」


 黙って間宮達とお茶していた康介が、突然妙な事を言い出した。

「あほか! 突然何を言うてんねん!」

「あ! やっと大阪弁になったやん! 別にええやんか。何かおもろそうな話聞けそうやし」

「何もおもろい事なんてないわ」

「そうなん? じゃあ、松崎さんと加藤さん、佐竹君と神山さんの馴れ初めとか聞きたいなぁ」

 ニヤリと笑みを浮かべて、松崎達に矛先を変えてきた。

 そう言われた松崎達は、顔を赤らめて挙動不審になる。

「皆を困らす事言うなや! つか、そんな事言うんならお前が先に話せよ。付き合ってる子いるって言ってたよな?」

「え? あぁ、その子なら最近別れてん」

 康介は後頭部をガシガシと掻きながら、気まずそうにカミングアウトした。


「は? 一か月前位に電話してきた時、順調でラブラブやって言うてやん」

「そうやな。別に嫌いになったとか、喧嘩したとかで別れたんちゃうで」

「え? じゃあ、どうして別れたんですか?」

 間宮と康介の会話の内容が気になった瑞樹が、思わず2人の会話の割って入り込んだ。

「ほら! 俺もうすぐ東京に引っ越すやん。だから遠距離になるからお互い合意して別れる事にしてんよ」


 ブッ!!


 まだ熱い珈琲が入ったカップに口をつけた間宮が、突然吹き出して太ももから膝にかけて珈琲をぶちまけてしまった。


「あちち!」

「良兄何してんねん!」

「間宮さん! 大丈夫!?」


 康介や瑞樹達が、慌てて零してしまった珈琲をおしぼりなどで、間宮の足元を拭き始めた。

 神山や佐竹も身を乗り出して状況を見守る中、松崎だけは微動だにせず、慌てている間宮をジッと見つめているのを、隣に座っている加藤が気が付かないわけがなかった。


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