俺は女の子 その2
設定などはあとから考えるため、投稿ペースは不定期。
まずは状況を疑ってこその人間だ。
しかし、現実であることを疑うことはもはやできそうもないということを先程俺は理解した。
鏡をつかんでよく見てみても俺は俺で、俺は女の子である。
……………。
「いや、どーするよ!」
どーするんだよ。おい。まじで。
なんでこうなってんだよ。まじで。
あれか?寝てる間になんか薬でも飲まされたか?
ないない。そもそも俺そんな奇怪な世界に身を投じてる訳じゃないし。普通の高校生だし。
じゃあ、入れ替り?
それも違うって。俺はべつにノートに「テメェの名前何だ?」とか書かないし。てかここ俺の部屋だし。
んー。じゃあ転生モノ?
それこそないな。俺まじ普通の高校生だから、成績もなんも平凡だし。死んだから死んだままがいい。巻き戻って生き返るなんて冗談じゃない。
あれ……?なんか悲しくなってきた。
「よし。たぶんあれだ。いま夢なんだよ…。うん。そうに違いない!そうとしか考えられない!」
よし!ねよねよ。
そうして再びベッドに体をするりと入れる。
なんか股間のそれがなくて、胸の膨らみがあるから動く度に違和感が半端ないけど気にしない。
目を覚ませばいつもの日常なのだから!
そうして俺は二度寝に興じようとした──
──が、しかし寝れない。
完全に目が覚めたのか夢の中で寝るというのは不可能なのかはわからないが寝れない。
いや、そういえば頬を叩いてみれば夢か現実かがわかるらしいじゃないか。
よし殴るか。そしたらその反動で夢から覚めるかも。
握りこぶしをつくり、勢いよく自分の頬に向けて放つ!
ファイトー!
「いっぱ──」
痛い。
言い切る前に殴ってしまった。
そして痛い。とてつもなく痛い。もう辛すぎる。
「……うぅ」
まじかよ。痛いってことはつまり……。
「これが現実ってことじゃん」
なんて現実だよ。地獄かな?
俺はべつに女の子になりたい訳じゃないのに。それどころか生まれ変わったら猫になりたいと常々思いながら生きてきたのに。
なんで生まれ変わってもないのに女の子になってしまうんだ!
「……ん?」
ふと気がつけばこの状況を受け入れてる自分がいることに気づいた。複雑だが自分の人間としての理性がこの状況を受け入れ、適応しようとしているようだ。さすが人間なだけはある。よくも悪くも僕は理性的であるようだ。
まあ、いいか。
とりあえず俺が女の子であることは受け入れよう。これはしょうがない事実であるらしいためだ。まったく致し方ないことであるが、いい。
それはもう許す。
問題は学校である。
俺はもちろん高校生であるため高校へ行かねばならない。べつに非行生徒であるわけでもない俺は目立たないために行かないといけない。それは絶対だ。
だが、どうする?
たしか明日から新学期とかいってナインで1年のグループが盛り上がっていた。
つまり今日はその新学期初日当日である。
ごまかせるか?
制服はきちんとクローゼットの中にある。
問題は髪と声だ。あと胸だ。もっと言えば股間も。
ばれないか?胸は結構あるんだ。いや、昔に空手をやっていた名残でさらしがあるはずだからそれでむりやり締め付ければいけるか。
髪は伸びたと言えばいいだろ。別段校則が厳しいわけでもない。
声は声変りで通すか。股間は見られないだろ。
トイレは洋式ですればいい。
「よし。じゃあ始めるか」
俺はそうして学校へ行かねばならないという現実に向き合うことにした。
もともと友達のいない俺からしたら誤魔化すことなど他愛もないことである。
余裕だ。余裕しゃくしゃくだ。
しかし、ひとつ。ただひとつ問題があった。
「さらし巻くのってやっぱり……裸にならないといけないよな……」
避けようのない課題が目の前に、いや胸にあったことに気づいてしまった。