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水の味  作者: 鉄の男
7/9

六話

今回はとある名作ゲームの話を少しだけ拝借させて頂きました。

分かる人にはわかるかもしれません。

僕は今、頭に謎の機械の一部を付けられている。

先生がローレンさんに頼んで持って来させた道具なのだけど、ちょっと怖い。


「ではトルド君。今から君の魔力を少し調べさせてもらうよ。別に命を奪ったり魔力が消費するわけではないから安心したまえ。君は確か風属性だったね?」

「はい。もっと詳しく言うとバランスタイプの風属性ですね。」

「ふむ。情報ありがとう。では今から特殊な音波を君の頭についている装置に流し込む。君は恐らくその音波の影響により眠ってしまうはずだ。君が寝ているその間に、私が君の魔力を調べる。」

「はぁ。分かりました。」


そう言うと先生が本体の機械の中についているスイッチを押す音が僕の耳に届いた。

その瞬間、僕は激しい睡魔に襲われた。だがとても心地が良いと僕は思った。その睡魔に誘われる様に、僕の意識はそこで途絶えた。





「先生。どうですか?彼の持つ魔力に異常はありますか?」


そう言ったのは私、オーレント王国調査兵団所属のローレンだ。

私は今とても興味深い実験に付き添っている。なんでも、女神の伝説が伝わる森から生還したトルド君は、夢で女神から介抱を受けるという夢を見たのだそうだ。

それだけなら私も気には留めないのだが、ガルフ先生には気になる事があったらしい。

曰く、「トルド君の額から妙な魔力を感じた」とガルフ先生は語った。

その後先生は、トルド君にいくつかの質問をした後、私に『道具』を持って来させる様にお願いをした。

『道具』というのは、簡単にいえば調査対象の魔力を調べる事が出来るという言わば『魔力探知機』の様な物だ。私も過去に一回だけ使った記憶がある。

私の場合、私の持つ魔力が少し暴走した時だった。原因は第三者による毒殺未遂。その第三者は私の魔力を毒魔法で暴走させ殺すつもりだったらしい。理由は私が調査兵にあるのが原因と言った。

調査兵団というのは何かと目の敵にされやすい。調査兵団と言う名前ではあるが、実際は隠密任務を受け持ったりしているからだ。その任務は多種多様だ。

隠密任務の例を挙げると、『敵国に偽装亡命をした王国兵が彼の地でとある事件を起こした為、我が王国の無実を敵国に証明する為にその偽装亡命した王国兵を抹殺せよ』とかだ。その王国兵からしてみれば溜まった物ではないだろう。そして彼は結局王国から任務を受けた調査兵団に所属する潜入兵によって歴史から抹殺された。王国からは裏切り者とされ、敵国からは凶悪犯罪者としてその経歴が歴史に残った。

つまりそういうことだ。話を戻そう。


私が言った質問に先生は答えた。


「まだ始めたばかりだ。そんな直ぐに結果が分かる訳なかろう。」

「これは失礼しました。では後どれくらいで結果がお分かりになるのです?」

「そうだな…後一時間半と言った所だろう。それまで調査した事柄を纏めておくといい。」

「そうさせて頂きます。」


そう言って私はトルド君の机を借りて今まで調査した事を持って来た調査結果書に纏め上げる事にした。

丁度一時間半で終わるだろう。あぁ早く結果が知りたいものだ。

どうして彼が無傷で森から帰還できたのか。普通ならば体のどこかに小さな傷があるはずだ。

仮に無かったとしても、魔力の消費による疲労で森を歩けない筈。気にし始めたらキリがない。

私は大人しく先生の結果を待つ事にした。


もし…もし仮に女神が本当にいたとすれば、由々しき事態になるだろう。調査兵として何としても知らなくてはいけない事になる。調べなくてはいけない事になる。だが、女神がトルド君を助けたという保証はまだない。早く結果が知りたい。




_______________________




どうもです。私です。そろそろ名前が欲しいです。

いや、森に一人だけで居るなら別に名前なんて要らないのですけど、こうして森の外に人が居る事が分かると、やはり名前と言うのは必要だと思うのです。「私は私です!よろしくお願いします!」とか恥ずかしくて言えませんよ。なんですか「私は私」って。言葉遊びですか?

それはさておき、どうやらあの男性は無事に街へ連れて行かれたようです。次の日の朝…つまり今日地図を頼りにまた森の入口へ行くと、何もありませんでした。良い事したなぁ。お礼は美味しい食べ物でいいですよ!お腹いっぱい食べたいです!


………わかっています。それは叶わぬ事だって、百も承知です。あぁかすかに記憶に残っている『赤いご飯をトロトロになった卵で包んだ』食べ物が恋しいです。料理名を覚えていないのが悲しいです。

確か5文字だったはずです。あぁ変に記憶が残っているのが何とも言い難いです。

流石に毎日木の実ばかりだと飽きます。美味しいですけど、目が覚めてからずっと同じ木の実は辛いです。初め食べた時はとても感激しましたけど、慣れてくると舌は満足してくれません。人間と言う生き物はなんと強欲なのでしょうか。

叶わぬと知りつつも願ってしまう。出来ないと思いつつやって見てしまう。あ、後者は偶に成功しますね。

いけませんね。これではただ単に私がネガティブな思考を持っているだけです。

人間向上心が無くてはいけません。現に私は辛い辛い森の探索の結果、外に人が暮らしている事をしりましたし。早く外の人と触れ合いたいです。もう服はあるので外の人からは普通に見られるでしょう。

服が無ければ今も全裸だったはずですし。欲を言えば靴が欲しい所です。あぁなんて人間は(ry。

コホン。我儘わがままばかり言っていてはいけませんね。仮にも私は女です。女足る者、粛々としなければいけません。…偏見ではないですよ?

さてさて今日も一日森で木の実を集める事にしましょう。エイエイオー!


ドバシャーーーーーン!!!! 


……エイエイオーの掛け声と同時に右手を天高く突き上げると、水の手君が森の木々達が生やしている葉っぱを空目掛け突き抜けてしまいました。ぽっかり森に穴が空いてしまいました。ごめんなさい木々達さん…。

では改めて小さめに掛け声をしましょう。ェィェィォー!。


ピュー。


うんうん。ちょうどいい感じです。では行きましょう。何か新しい木の実が有ってほしい物です。



_______________________



こんにちは!私はアンリと言います。王国の配達屋です。私のモットーは『時間通りに配達をする』です!

今日も朝から空を飛びまわっています。私には少し珍しい空を飛ぶ魔法を持っています。

少しと言うのは、大陸を探せば意外と空を飛べる人はいるので、とても珍しいかと言われれば違います。

そして私は火属性のスピードタイプなので空と言う境目が存在しない道を使う事によって、素早く丁寧に配達物を皆様にお届けします!この特技を生かして、私は配達屋の店長から、歩けば遠い場所への配達を一手に引き受けています。私が配達屋で働き始めるとお店は少し忙しくなりました。私の特技のお陰で今まで時間がかかっていた配達が短縮されたのが原因の一因だと私は思っています。


そんな事よりもです。今日も空を飛んで配達していた時です。配達途中チラッと伝説の森の方を見たんですが、私が視線を向けた瞬間、森の中から水が噴水の様に噴出したのを見たのです!

今迄生きてきてそんな光景は見た事がありません。もしかして地下に溜まっていた水が抑えきれなくて噴出したのでしょうか。とても珍しい光景を目のあたりにして私は興奮しました!

もしかしたら誰かこの現象を知っている人がいるかもしれません。今日の配達を早く終わらせて聞き込み調査をしましょう!







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