表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言葉より大切なもの  作者: 結城麗漓
3/5

第3話





玄関を開けた先で見たのは、毎週末になると訪れる、妖怪のような奴ら。




「か、要。い、今、ドアの向こうにいたのって……」




「見間違いだ、気のせいだ、何もいなかった!」




「えらい否定のしようだな、おい」




ドアノブを握ったまま、歓奈に応えた要の現実逃避の有り様に、思わず剛が突っ込む。


だが、そこへ不吉を届けるように、呼び鈴が鳴り響く。



しかし、彼は絶対にドアノブを回さない。 



 

「開けないの?てか、なにやってんの?」 




「此処で開けたら、駄目な気がしてならないっ」




呆れた鳳音に、そう返した要の表情は、とても深刻だった。


そして、そんな彼をからかうように、再び呼び鈴が鳴らされる。




「あ、また鳴らした」



「諦めて出れば?」




呑気な哀と、呆れ顔の鳳音にせつかれる。


しかし、それに応えるより先に、閉ざした扉の向こうから、物騒な言葉が飛んできた。




「己嶋さーん。居留守使わないでよー?」




「居るのは解ってんだ。大人しく出てこいや」




「借りたもの返さないと、駄目だよー?己嶋さーん!」




何処の取り立て屋だ?! と、扉の内側では、要が撃沈してしまうが、『彼ら』 は構わず続ける。




「友情返して下さいよー、己嶋さーん。踏み倒しちゃ、駄目だよー?」



「ぃやっかしいわぁっ!! て言うか、友情の取り立て屋って、どんなだよ!! 」

 



「あ、出てきた」




堪らず出てきた要が怒鳴るが、彼らは至って呑気である。


人様の家の玄関先で、ほぼ嫌がらせな事をしてくれたのは、決してタチの悪い取り立て屋ではない。




(カイ)(ハルカ)。手前らは、毎週、毎週っ、普通に訊ねて来れんのかっ!? 」




「普通に訊ねて来ても、要くん入れてくれないんだもーん」

 



そうふてぶてしく応えたのは、女と見間違う、中性的で童顔な顔立ちに、V系の黒い服を着こなす池内(イケウチ) (ハルカ)


仔犬のような無垢な笑顔と瞳をしながら、その腹の中は真っ黒通り越して、純黒である。




「毎週ひっきりなしに、遊びに来られれば、居留守も使いたくなるわっ!だいたい、海。手前まで便乗するなよ……」




「うるせぇ、暇なんだよ。遊ばせろ」




「っだから、何で、そんな偉そうなんだよ!遊びに来てる分際でっ!! 」




遥同様にふてぶてしく応えたのは、190㎝越えの長身と、一本に束ねた背中までの髪は金髪で、すこぶる目付きが悪いヤクザではなく、普通の高校生・能登山(ノトヤマ) (カイ)




「たくっ、2人揃って俺様なんて、タチ悪すぎだろ……」




「ノンノン、違うよ、要くん。僕は俺様じゃないよ~」




呆れる要に補足した遥が、ニヤリと笑い告げた。




「僕は俺様じゃなくて、お・う・さ・ま!」




「尚タチ悪いわぁぁぁっ!! てか、帰れ、この腹黒馬鹿タヌキー!」




全力で突っ込んだ要が、荒い息を漏らすが、腹を抱えて爆笑した遥は、更に飄々と言う。




「取り立て屋シリーズ、今回は友情で攻めてみましたー。なかなか面白かったでしょ?」




「面白い訳あるかぁぁぁぁっ!! 近所迷惑で、ついでに言えば、読者にいらん誤解をさせるだろうがぁぁっ!」




悪びれる事なく、かえって清々しいくらい、ふてぶてしい遥の言い分に、要はツッコミパワーフル活動である。




「そんなにツッコミばっかりしてると、疲れるぞ」




「お前らが、突っ込ませてるんだろうがあああっ!!」




ごもっともな事を言うわりに、その原因の1人である海に、要がすかさずツッコミまくる。


つくづく彼はツッコミ体質なようだ。



今回、登場する遥と海は、ムーンライトノベルズで連載中の、『未来へのツバサ』(羽鳥月桜花・原作)に登場するキャラです。

ゲストとして、登場してもらっています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ