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プロローグ

むかしだれかがいった。


おまえがわるいと、

おまえがあくだと、

ばかはおまえだと、

だれかがいった。


むかしだ。


あめがふっていた。


かぜがふいていた。


そらはくらくて、

くももないのにつきがなくて、

どこまでもどこまでもまっくらだった。


だれかがいた。


たっていた。


たってみていた。


わたしをみていた。


ころされる、

わたしを、

みていた。


わらいながら、

おなかをかかえて、

たのしそうだった。


こわかった。


いたかった。


でも、

ふしぎだった。


いやじゃなかった。


みていた。


わたしはみていた。


だれかが、

ころされるのを、

きっとみていた。


いたい、

いたい、

いたい、

いやだ、

いやだ、

いやだ、

うめくこえをきいて、

わたしはわらいながらきえるところをみていた。


いたい、

いやだ、

いたい、

いやだ。


むだなのに、

くりかえし、

くりかえし、

むだなのにおかしくて、

わらった。


あめがふっていた。


かぜがふいていた。


みていた。


だれかが、

だれかを、

わたしが、

わたしを、

いたい、

いやだ、

くりかえし、

きいて、

みていた。


むかしだ、

むかしのはなしだ。


ばかみたいな、

はなしだ。


<昔だ>


<昔の話だ>


<思い出せ>


<お前を殺した男を>


<思い出せ>


<お前を犯した女を>


<忘れるな>


<お前の右目は>


<牝犬に抉られた>


<月の亡くした夜>


<篠突く雨と逆巻く風の夜だった>


<忘れたか>


<殺した>


<殺された>


<誰に>


<誰が>


<殺した>

<殺された>


<忘れるな>

<思い出せ>


<お前を殺した>

<お前を犯した>


<男を>

<女を>


<絶対に>


<――――!>

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