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異世界を巡る  作者: 秋野伊月
入学編
17/24

授業の後

遅くなりました。


どこで切ろうか迷っていたら、長くなりました。


では、どうぞ

「2人とも、あれだけのことに時間かかりすぎ」

「緋水が頭いいだけだ。それぐらい自覚しろ」

軽く頭を小突かれ3人でくすくすと笑う。


 外に出ると、暑すぎず寒すぎず、春らしい気候だった。

別館にはまだ誰も来ておらず、司書の先生が1人カウンターに座っていた。先生は一瞬驚いたように目を開いたが、すぐに興味なさそうに手元のコンピューターをいじり始めた。

 私たちは、軽く頭を下げ何も言わず奥へ進んだ。

 今日の目的の資料は、学園外持ち出し禁止の貴重な資料や、内部機密がたくさん書いてある資料、そして、今現在進めているプロジェクトの内容が書いてあるデータ。この3つを3人で手分けして探し、覚え、帰ってからデータにして保存する。今日の目標は1人100ページ分の資料。

 それをほぼ毎日繰り返し、ここにある資料全てをデータとして保存し、こちらの力にする。いわゆる「スパイ活動」「諜報活動」のようなものだ。

ダーク」の人たちは幼いころから諜報活動に役立つスキルを一通り習う。もちろん全員が一流とまではいかないが、そこそこの実力はつく。

 幸い、杏と梓は闇の中でも20番以内に入る実力を持っており、これぐらいのことならできるのだ。


 本のページをめくる音が、別館に響く。3人しかいないここは、世界から隔離された場所のように感じられた。


 「終わった~!」

伸びをしながらあくびをする杏は、嬉しそうに笑っていた。杏にとってこの作業は一番苦になるものだったので、よく頑張ったと言えた。

「こっちも終わったよ」

梓も本を片手に小さく伸びをしている。

「2人ともお疲れ」

手元にある本をパラパラとめくりながら、予定以上の情報を暗記する。最後のページまで読み終わると、「パン」と本を閉じ、2人に目を向けた。2人とも少々あきれた様子で私を見ているような気がするが、気のせいということにしとこう。

 それからしばらくすると、チャイムが鳴り、2時間目の始まりを告げた。

「あ、始まっちゃったね。どうする?緋水」

「どうするって、今日の課題は全部終わらしたから、でなくてもいいだろ」

「そうだよぉ。今からまた戻るなんてめんどくさいよぉ」

普通科目は、授業と説明したが全てが課題制だ。1日の課題を一時間で終わらせることも可能であり、許可もされている。そして、1日の課題が終われば、そのあとは好きにしていいのだ。私たちはその制度を大いに活用して、こういうことをしているのだ。

「じゃぁ、ちょっと寮に戻って、データ化しようか」

「そうだね。忘れても困るし」

 魔獣を通しての会話。普通にこんなことを言っていると、証拠隠滅にはならない。ここの様子はすべて、録画されている。監視カメラがいたるところにあり、会話だってしっかりと聞き取れるのだ。


 私たちは別館を出ると、それぞれの寮に向かった。

「ねぇひぃ」

「なに?」

しばらくの沈黙の後、言いにくそうに口を開いた。

「桐原先輩は、緋水にとっての、何………?」

茶色がかった瞳が不安を背負い、怯えを混じらせ、なにかを心配するように私を見上げた。

一言一言、言葉を選ぶように、区切りながら。

いきなりの質問に、「何?」と言う問いに瞬時にこたえられなかった。桐原先輩は、先輩だ、と言ってしまえば早いのだが、あの出来事の後では信じてはくれないだろう。眠かったけど、鮮明に覚えている。2人の表情の、一つ一つを……。

「あぁ、ごめんね!やっぱり何でもない。なんか親しそうだったから、ひぃを取られたらやだなぁって思って……」

かわいらしく、眉を下げ、少し頬を赤らめて笑った。「ホントだよ?」とさっきの質問の本当に聞きたかったことを隠すように、私の瞳を覗き込みながら笑った。

 そうすれば、私が困らないってわかっているから。そうすれば、もう何事もなかったかのようにしてくれると、わかっているから。だから杏は、寂しそうに、悲しそうに、悔しそうに、そして少しの嫌悪・・を滲ませながら私に笑いかけるのだ。

「大丈夫。杏からは離れないよ。何もない限りね………」

最後の言葉は本当に小さくて、吹いてきた強い風に揉み消された。「え?」と尋ねてくる杏に「何でもない」と返しながら、杏の頭を一撫でした。くすぐったそうに首をすくませ、恥ずかしそうに笑った杏の顔をすかさず、BBC(携帯端末)のカメラに収める。

「あ~、ひどいぃ。恥ずかしいでしょ~!」

「杏に送っておいてあげるよ」

冗談交じりに言い合いながら歩いていたら、部屋についた。


「ねぇ、緋水。自分で入力しなきゃダメ?」

「魔獣使ってて、これが後でばれたらすぐに特定されるから……さ?」

「はぁい」

渋々と言った様子で、パソコン型の端末を取り出し、一つ深呼吸する。そして閉じていた眼を開けた杏はいつもとは別人で、ものすごいスピードで入力し始めた。

まぁ、仕事の時はスイッチが切り替わるっていうことだけど、切り替わりようが半端ないのでいつみても少し笑ってしまう。

 私も負けていられないと思い、伸びをする。杏よりも少し大きめのパソコン型の端末を手元に寄せ「さて」とつぶやくと、データを入力し始めた。

今回もあまり話の進まない回でしたね……

進めようと思っていたんですが、次回になります。


誤字・脱字や感想・アドバイス等がありましたら感想ください。

(切実なる願いです)

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