何も残さないわけがない
スカイの能力で合流地点へとはすぐについた。
まだ、応援部隊と魔物殲滅部隊はまだ来ていない。静寂に包まれている夜の草原は、不気味だ。だが、魔獣が使う魔法の音が聴こえる、波動が視える。
ある種の目で視れば、応援部隊のいるほうは昼間のように明るい。
私たちのいるところから目視できるようになるほど近づいてきた、応援部隊と正魔獣師たち。
正魔獣師は私たちに気づいていないようだ。これに気づかないということはそこまで危険視する必要もない魔獣師ということだ。
私たちのところまであと500mというところまで来たとき、一言つぶやく。
「氷道草」
一瞬にして正魔獣師たちの動きが止まり、慌てふためく。同時に慶太さんが、召喚していた魔獣に精神干渉魔法を命令する。
慶太さんの魔獣はタツノオトシゴのような、小さい龍。その龍の名前は「ショウシン」。
精神干渉魔法は精神にある種の命令を下し、従わせるというもの。精神干渉能力は継続時間があるものがある。継続時間は、使う人と魔獣の力量によって違う。慶太さんは世界最長の5分間、継続できるのだ。
今回は「声を出さない」という命令をさせたようだ。
おかげで、実践に慣れていないらしい魔獣たちは戸惑っている。実践に慣れていれば、魔獣師が命令をしなくても勝手に何かしらの対処をする。それをしないということは慣れていないということ。今回はこちらが勝ったも同然だ。
正魔獣師たちは、学園にいたやつら同様に、スカイを見て驚いていた。
「炎の渦中」
フィノはすぐさま反応して、正魔獣師たちの近くに行くと、威嚇するように口を開いた。
それだけで驚いているなんて……と馬鹿にしながらも、フィノは容赦などしない。
『炎の渦中』は炎の中に自分がいて、焼かれている。と錯覚させる魔法だ。これは精神干渉魔法との合体魔法だ。相手は、自分たちが焼かれもしていないのに、「熱い!!」などと言ってわめいているが、気にせず慶太に次の魔法の行使を命令する。するとショウシンから「記憶操作」の能力が発せられた。こちらの記憶を一切残さないためだ。
「なかったこと」になるこの能力は、継続時間などはない。欠落するのだ。闇と戦った時の記憶が。
まだ、「炎の渦中」は継続している。この魔法は基本的に魔獣師か魔獣が魔法を解かない限り持続する。だが、体力が切れれば強制的に魔法は継続しなくなる。
私たちはそんなにやわな体の鍛え方はしていないので、ここから魔物殲滅部隊のところまで行くぐらいはできる。
その間、正魔獣師はわけがわからないまま炎の中で、焼かれていると錯覚し続ける。もう使い物にならなくなるかもしれない。だが、それはそれでこちらにとって好都合。むしろ、狙っているぐらいだ。
「慶太、殲滅部隊のところまで行くぞ。多分ここから1キロ離れたところにいると思う」
「御意」
少し進むと予想通り、前方にに殲滅部隊の波動が視える。私は速度を緩め、慶太には回り込むように指示する。回り込む距離は、相手から100m離れたところ、と指示をした。まあ、若干の警告という意味で派手なことをしようという意味だ。
なので、慶太には防壁魔法「絶対防御」を使うように言ったのだ。
私はその場にとどまり、殲滅部隊たちがこちらに来るのを待つ。もし、私の魔法で何かあっては大変なので、一応だ。
これから使う魔法はスカイの専門分野なので、フィノには殲滅部隊が、無事に帰れるように引率を頼んだ。「もし殺されそうになれば、殺してもいい」と言っておいたので、心配はない。
しばらくして、殲滅部隊は私の横を通りずぎた。殲滅部隊にはあらかじめ指示していたので、すぐにフィノのほうへ向かった。
にやっと笑うとあたしはスカイに命令する。
「星の光」
すると、ショウシンが作った防壁の内部に無数の光があらわれる。それは、まっすぐに地面を貫いた。正魔獣師たちは、立ち止まり、慌てた。光の筋に触れた髪や服が、焼けたのだ。焼けた……というよりは、触れた部分は何もなかったかのように分解された。というほうが正しい。あの光は、すべてのものを最小の粒子に分解していまうのだ。
光を自在に動かし正魔獣師の服を分解する。体以外のほぼすべてを。徐々に行われていったそれは、相手に恐怖を植えつけた。
それから、「恐怖」という感情だけを残して、今夜の「闇」と出会ってからの一連の記憶を消した。
前回から出ている能力の名前は頭に思い浮かんだかっこいいかな?と思ったものを当てているだけです。
正直テキトーです




