まだまだこれから……
学園のセキュリティを難なく潜り抜けると、待っていたのは正魔獣師だった。
そいつらは学園の生徒であると、あなどってのことだろう。見た限りでは正魔獣にしなってまだ3年ぐらいの新人だった。だが、さほど弱いわけではないらしく、すぐに私の存在に気づいた。黒ずくめの服の右腕に施してある『闇』の象徴である白いマークを見て、戦闘態勢に入った。
「氷道草」
一言唱えると正魔獣師たちの足元が凍り、地面から離れなくなった。うろたえるやつらを後目に悠々と横を通りすぎる。
ある一人の男は冷静になったのか、魔獣を召喚した。
「炎弓」
炎が残像を残しながら私の近くまで迫ったが、それは私にあたることなく消えた。スカイが羽ばたいただけであろう。強風により炎は消え、魔獣師と魔獣は驚いたように声を上げた。
「あれは……ドラゴン……!?」
「あーあ。何してるの。ちゃんと闇にまぎれていてって言ったよね? 」
「すまないな。ゴミが向かってきたからつい気が散った」
「嘘をつけ。わざとだろ? 」
そんな会話をしている私たちの横を次々と、魔獣たちの攻撃が通り過ぎる。難なくかわし続けるが、長く伸びた髪はたなびき、炎が髪をかすめる。炎によって、髪が少し焦げたようなにおいがした。
息をのむ2匹の魔獣と、私たちが止まったことにより、嬉々としてとどめを刺そうとする正魔獣師たち。
そこに私の低く小さな声が響いた。
「小爆発」
所要時間わずか0.5秒以下。スカイとフィノが狙いを定め、爆発を起こした。正魔獣師たちの叫びが夜の闇の中に響くことなく、消えた。正魔獣師たちの叫びはスカイの超音波によってかき消されただけで、死んではいない……やわじゃないから。
「危ないんじゃないか? 」
「大丈夫だと思う。力は出さないように命令した」
「心配しすぎだ、スカイ。自分が出した力ぐらいわかっているんだろ? 」
「お前の力の出し方が、心配なだけだ」
「ひでぇな」
「あんまり無駄口をたたくな。そんなことどうでもいい」
スピードをさらに出して、慶太さんのいる支部へと向かう。
数分もすると、あわただしく動いている支部が見えた。
「2キロ先で、正魔獣師がこちらに攻撃してるな」
フィノは北東を向いてそうつぶやいた。
乱暴に扉を開き慶太さんを探す。一番奥の部屋にいるのか、どこにもいなかった。
あわただしく動く人々。ここにこんなにも人がいたのかと驚くほどだった。響く声は今、戦闘している人たちの現状を報告するものばかりだった。その中には「1名重症の可能性あり!! 」といったものもあった。ますます募る怒りを押えながら、奥の部屋に行く。
「慶太!!現状の正しい状況を報告しろ!! 」
「緋水。よかった、間に合って。……現状を報告します。魔物殲滅に行っていた1名が重症。応援部隊に向かっていた2名も重症。その場にとどまりながらも、守っている様子です」
3名の重傷者か……。これ以上の負傷者は出せない。むしろ、出したくない。それに、私がぶっ飛ばしたい。正魔獣師を。
「今、戦闘を行っている者たちに、帰還命令を。多分、正魔獣師はこちらの情報欲しさに近づいてくるだろう。そこを私と慶太で迎え撃つ。殺さない程度だ」
「御意」
いい加減、御意って言うのをやめてほしいが、相当気に入っているのかやめてくれない。
そんなことに気が向けれる程度は、落ち着いたのだろうと思う。
慶太が帰還命令を出し終わると、慶太と私は戦闘している者たちのもとへ向かった。
次の回では、本格的に戦闘を入れようと思います。
なので、時間が少々かかるかもしれませんが、気を長くしてお待ちください。




