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拒否―fermata― (鋭意改編中)

 なんと言うか変なおっさんである。べつに、外見がというわけではない。真っ白なスーツを着、真っ赤なYシャツを身に着け(この時点でもだいぶ変なのかもしれないが)、金色のネクタイもちゃんと(?)締め、黒縁めがねで、髪も多少白くなってきてはいるが、別分変なところはない。

 変なところ。テンションだ。

 三十路をだいぶ通り越しているであろうおっさんが、壇上にて小指を一本上げてマイクを持ち、真剣な表情をして大声で上手いとは言えない英語(下手ではない、が、上手いとは言いたくない)を言い放ち、少々の間、相手の反応を待っているというのは恐らく変である。

「今から入学式、始めたいとは思うのだが……」

 そう言い、男は壇上から飛び降り辺りをうろうろと歩き始め、最終的に涼平が座っている席のすぐ横に止まり、

「どうやら……欠席者がいるようだな…」

 涼平の席の向こう側、空いた三つの席を見据え、不意に男は右手を軽く上げ、指を三回鳴らした。

「連れてこい」

「御意に」

 隣にいた男は、変人に一礼すると体育館の出入り口に向かい、去るように出て行った。

「………………………ん?」

 いや待て。今、何かおかしくなかっただろうか。あの男は本当にあそこにいたのか?さっきまで壇上に上がっていた変人ではない。今、たった今ここを出て行ったあの男、あの男はいつからあそこにいた?

「何か質問かな、笹川 涼平君?発言の際には、挙手を」

 完全な名指し。見透かされていると考えても過言ではないだろうな。そう思い、涼平はゆっくりと手を挙げた。

「なんだね?何か質問でもあるのかね?笹川 涼平君?」

「今出て行った、あの男は…一体、どこから湧いて出たのですか?」

 少しきつかっただろうか。周りも引いたような目で俺を見ている。しかし、やりすぎたとは思っていない。この男は底が知れない、俺の直感がそう感じ取っている。

 危険だ、危険だ、危険だ。

 そう叫んでいるのを無視して、今この発言をした。

 それに対して、この男は、高笑い。長く長く響かせてそして、

「うん、なんというか実に、虫酸が走るほどくだらない質問だな。だがまあいい、簡単であるからこの私が直々に答えて進ぜよう」

 この変人はそう言い放ち、又も指を三度鳴らした。

「この男の名は『M』。こいつは……時を止められる、のだ」

 横にはいつの間にか、あの男がいた。扉から戻ってきたような気配は無い。しかし、

「信じるしかなさそうだな」

 『M』と言われた男の手には、先ほどまでなかったあるものが捕まれていた。

「いったいなぁ!!離してよ!!」

 勝ち気な声の女子の襟元。ちらりと辰巳の方を見ると、

「あ……アスカ?」

 どうやら知人らしい。

「おっ、たっちゃん!」

 隣からはその声に乗じて、大きなため息が聞こえた。

 アスカと呼ばれた女は、『M』の手を振りほどき、急ぎ空の横に座る。

「たっちゃん……これって…やっぱり、運命?」

「いや、今そういうギャグ要らないから」

「何言ってんの?当然本心に決まってるじゃん」

「じゃあ回答はこれでいいな?ごめんなさい」

「うわ〜、逆接的な愛情表現!!さすがたっちゃん!!余裕で予想を越えていく!」

 限りなく間に挟まれている空がかわいそうに思える。だが、涼平はそれを見なかったことにして、変人に向き直り、

「あと二人もお願いできますか?」

「当然そのつもりだ」

 指を三度鳴らしたあと、『M』を見る。その手には、一組の男女の襟首が捕まれていた。身長にあまり差が無いような二人は、一人は反感の目を、もう一人は冷静に周囲を観察するかのような目をし、しかし、黙って男にぶら下がっていた。

「さて、役者が揃ったようだな」

 変人はめがねを外し、蒼を睨み付け、

「君の運命はここから変わる」

 それに対する答は無言であった。

「よし………それでは改めて」

 思いきり息を吸い込み、そして、

「ご機嫌如何かな?皆さん?」

 対応に困るような小さな声が、スピーカーを通じて聞こえる。当然、周囲の反応は薄い。その様子を静かに変人は見届け、そして、何を考えたのか、いきなり閃いたような顔でガッテンした。

「そうか…そういえばそうだな」

 何がだ。

「『S』!例の物を持ってきてくれたまえ。それから『M』、今手元にある小さいのを、二体とも座らせろ」

「御意」

 その言葉に反応して、蒼はぶら下がりながらも変人を睨み付ける。大方、数え方が二人ではなく二体になっていたことか、身長のことだろうとは思うが、ここはあえてスルーする。

「では…」

 『M』という人物がこちらに移動していくなか、話は続行される。

「ここにいる日本人の諸君。おはよう」

 ちらほらと周囲から返事を返すバカがいる。ここはどこかの団体が行うヒーローショーか。そういう場合、最初の挨拶はきれいなお姉さんが出てくるのが当然のはずだが。その前に『S』って誰だ。

「どうだね?バスから眺めたここの様子は?」

 質問に回答はない。しかし、

「ん?なんだね?笹川 涼平くん?」

 挙げた手をさげ、口を開く。

「結構な広さだとは思いますが、なぜここまで広くしたのですか?」

 変人は薄気味悪い笑みを浮かべ、得意気な顔をする。

「校舎の広さはおよそ東京ドーム一つ分ほどしかない。加えて校庭も、その約三倍ほどしかない。その他諸々の施設などを入れればそこそこの広さとなるが、私はこれで満足はしていない」

「回答になっていません。なぜ広いのですか?」

「この広さは人員分相応だと考え、作らせた、なにか問題が?」

「では、なぜ満足していないのですか?相応ならこれ以上増築する必要もないかと」

 変人の顔が険しくなる、そんなこと知ったこっちゃないが。

「たっちゃんって、どこにエロ本隠してるの?」

「なんでそれを今ここでお前に暴露しなくちゃいけねぇんだよ」

「だって、恋人の趣味を知っておくことは大切でしょ?」

「いつから俺はお前の恋人になったんだよ。幼馴染みだろ?ただの」

「…ケチ」

 はっきり言ってうざったい。横でそんな風にピーピーギャーギャーなっているこちらの身にもなれというか、その間に挟まれて、静かに読書を始めてしまっている宮園さんの身にもなれというか……

「それは追々話していこう」

 変人の言葉が耳に入り、今まで会話をしていた人物が他にいたことを思い出す。

「良いかな?」

 無言を応として、会話は終了した。

「『J』!持って、きたぞー」

 不意に壇上から声が響く。見るとそこには、目の前にいる変人と同年代の金髪の男が立っていた。

「ああ、ご苦労だったな『S』」

 金髪の男は大きくため息を吐くと、どこから取り出したのか、マイクを手に取り、

「どーも、皆さん、『S』です」

 落ち着いた口調でこちらに話しかけてくる。

「えーと、今から、あるものを、皆さんに、配りたいと、思い、ます」

 指を一度鳴らす。しかし、

 ……なにも起きない?

 否、そうではなかった。壇上の上座の奥のほうから地鳴りとも地響きともとれるような音が響いてくる。

 これは、

「これは、今、僕の力によって、君たちに、配布すべきものが、移動している、音です。少し、五月蠅いかもしれないですが、そのうちに、気にならなくなるでしょう」

 何かが押し寄せてきている音にだんだんと聞こえてくる。雪崩とも土砂崩れとも、津波ともつかないような音。しかし、誰として耳を塞いではいない。うるさくないわけではない。少し不安げに付近の人に話しかけている者もいるが、それでも不安という名の恐怖を抱いている者はいなかった。

「そして、これは、僕たち、教師から、君たち、生徒への、プレゼント、です、大事に、使ってください」

 『S』と名乗る人物が話し終わると同時に、大量の物体が宙を浮遊し、こちらのもとへと渡ってきた。茶封筒だ。無数の茶封筒が、空中を泳ぐようにしてこちらへとやってくる。

「うわーーーー、キモ」

 なぜそんなに最後の二文字だけ力を入れる。そんなことを思いつつ、涼平は自分のもとへと漂流してきた封筒を手に取った。

 何か小さなものが二つ入っている様な感触はあるが、しかし重さが感じられない。

「ねえ、たっちゃん?取るべき?これ取るべき?」

「取るべき」

「わかったそうする」

 はっきり言ってうざい。いや、待て。だとすると、俺にはまだ『うざい』という感情が残っているのであろう。だがなぜこの感情が存在しているのだ?俺は感情を忘れた。しかしなぜこれは残ったのだ?もっとどうでもいいものや、もっと重要な感情はあるはず。なぜこの感情が…………………そうか、理解した。奴らの仕業か。あのバカップルのせいに違いない。よし、そうとわかれば、男の方は後で殺処分だな。

「なんか善からぬこと考えてね?」

「問題ない」

 席に着いた蒼ともう一人の女子も茶封筒を手に取り、何が入っているのかと封筒を振ってみたり触ってみたりしている。

「開けてみたまえ、諸君」

 律儀にきれいに開けようとする者、中身が吹き飛ぶくらいの勢いで開けようとする者、周囲の状況を判断して恐る恐る開ける者。涼平はそんな中、一人ゆっくりと封筒を開ける。

 周囲の反応はない。こんなとき、普通の高校生ほどの年齢なら「うおー、すげぇ!!」だとか「なにこれ!!」みたいな雰囲気のざわつき感があったとしても、別分、おかしくはない。

「ん………」

 中身を確認する。それは、

「…?」

 耳をスッポリと覆い被せるヘッドホンのような物が、茶封筒の中に一組入っていた。

「『補聴器』だ、笹川 涼平君。丁度いい、耳に付けたまえ」

 『郷に入っては郷に従え』ということか、と思いつつ涼平はヘッドホンのような形の物を耳にかける。周囲を見渡せば、自分の行動に釣られたのか、一人また一人と疑心暗鬼ながらも両耳にかけていく。

 何も変わらない。だが逆に違和感もない。普通であれば、耳にはヘッドホンをつけているという、ある種、独特の重みやら感覚があるはずだ。しかし、今はそれが感じられない。それどころか、下手をすれば、耳に何かがついていることさえ、忘れてしまいそうな勢いである。

「これは…」

 その言葉を聞き変人の顔が歪む。

「その補聴器はいわゆる…」

 その瞬間、涼平は全てのことを察知した。この補聴器の意味、使い道、そしてなぜ全員に支給されたか。なぜなら、

「いわゆる『自動翻訳機』だ」

 変人が語る。

「それを耳に入れれば、あーら不思議、他人の言葉が英語だろうが、中国語だろうが、アラビア語だろうが、火星語だろうが関係なしに母国語に翻訳してくれるという優れものだ。防水、防火、絶縁、東京タワーが上に乗っても壊れない頑丈さ」

 最後のはさすがに飛躍しすぎだと思う。それに火星語って何だ?

「しかも、お値段たったの0円!」

 それも余計だ。

「お買い得だろう?なぁ、笹川 涼平くん?」

 知るか。

 しかし、随分と良質なものだということは理解できる。質感、良。

 周囲のざわつきは確認できる。それも、日本語(・・・)でだ。左を見れば、辰巳とアスカとか言う奴は予想以上に(端から予想などしてもいないが)はしゃぎ、蒼は拒絶しながらも戸惑い、後の二人は……静かに状況を確認している。

 さてどうしたものか……


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 自分の状況が把握できない。自らが置かれている現状、受け入れ難いものだということは判断できる。しかし、

「さて、君たちに渡したその器具。どういう意味で渡したか、理解はできるね?」

 壇上にて変人が、一人でワルツらしきものを踊っている。

「………わかんない…」

 そうだ、わからないことだらけだ。

 空中を浮遊した紙袋にせよ、それを普通に受けとる行動にせよ、壇上で踊る変人にせよ、全て理解不能だ。

「何か質問があるのかね?夜空 蒼くん?」

 答えるつもりはない、こんなのを相手にしているとこっちまでおかしくな

「自分までおかしくなりそうかね?こんな男を相手にすると?」

 この学校には妖怪しかいないのか。

「まぁ、そんな顔をするな。君は今、たった今から、ここの生徒なのだよ。それを自覚し、それに対応できる柔軟な人間に成長してくれることを私は望んでいるよ」

 激励の言葉。しかし、表情には一切出ていない。

「なんだ?何がそんなに変なのかね?夜空 蒼くん?」

 取ってかかろうという気持ちは微塵もない。こんな、人間としてどうしようもなさそうな奴を相手にしたところで、無駄なことは今までの経験上、瞬時に判断できる。しかし、

「聞きたいことがある」

「敬語。敬語を使いたまえ、夜空 蒼くん」

 構わず言葉を出す。

「ここは何だ?」

「夜空 蒼くん、人の話はきちんと聞きたまえ。敬語を使いなさい、敬語を」

 問題児になるつもりはないし、なりたくもない。だけど、自分の意思はそれとは真反対に動く。こんな男に従いたくはないと。

「使え、夜空 蒼」

 『威圧』。凄まじいと言っても過言ではないほどの『威圧』。

 自分に対する敵意なのか。それとも教師としての本分なのか。いずれにせよ、

「……聞きたいことがあります」

 耐えきれなかった。

 顔が下に下がる。前を向けない。変人本人はピクリとも表情を動かしていない、筈だ。

「追々話すことにしよう。まだ、本来話すべき重要事項が残ってしまっている。………焦るな」

 別に焦ってなどいない………などとは、到底言い出せなかった。別分、焦燥に駆られているわけではない、それは事実だ。しかし、自分の知らないことが目の前にあって、それが自分にはわからないように進んでいることには、どうしても納得がいかなかった。

 強攻策をとろうか、などとも考える。しかし、

「無意味だよ?力で門をぶち破ろうとしたって、夜空 蒼くん?」

 すべては見抜かれてしまっている、この変人に。

「そしてそこ」

 ふらふらと生徒の周りを移動していた変人は、館内の最奥部まで進み、そして自分の後方に指をさした。

「何か疑問があるのかね?ヴォイド・シュヴァイツァーくん?」

 誰のことを言っているのか、後ろを確認するが、この位置からではよく見えない。

「………」

「聞こえんぞ?ヴォイド・シュバイツァーくん?

 おお、そうだ。確かこの自動翻訳機には小型のマイクが附属されている筈だ。右側の下、そこにあるでっぱりを摘まんで引き抜いてみたまえ。ちょうどいい機会だし、一度試してみてはくれまいか、ヴォイド・シュヴァイツァーくん」

 その言葉に誘導され、周囲の大多数は次々にマイクを摘まみだしていく。蒼もその一人だった。しかし、

「止め!!!!!!」

 変人の大音量の声が館内に響き渡る。

「誰が、ヴォイド・シュヴァイツァーくん以外で、この機能を使って良いと言った?

 …すまないが、ヴォイド・シュヴァイツァーくん、その場に立ち上がってほしい」

『…わかりました』

 自らの両耳から聞こえてくる男の声。恐らくは、あのヴォイドなんちゃらのものであることは、九割九分わかりきったことだ。マイクを出す手を止め、注意深く後方を確認する。

 妙な緊張感からか、静まり返る場内。

 パイプ椅子のずれる音がして、一人の男が立ち上がった。ロングなので身長はわからない。髪は金、ゴールドだ。引き締まった顔立ちに、とても東洋人には見えそうもない骨格(あくまで『見た目』的にだが)。透き通るような白い肌、千人がすれ違えば、千人ともそのオーラによって振り返るような、そんな男が、変人の呼びかけに応じ、席を立った。

『……一つ…』

 静かに口を開き、言う。

『質問があります』

 館内は飲まれていた、その男の声、挙動、そして迫力によって。

「一つどころじゃねえけど」

 脇の辰巳から漏れ出た声。なぜこいつはこんなにも余裕なんだ、と思いつつ、視線をあの男に集中させる。

「いいぞ、何でもこの私に聞きなさい」

 高慢ではない。

 尊大でもない。

 しかし、なにやら気に入らない。

『この施設を作った意義をお聞かせ願いたい』

 眉一つ動かさず問う。

 大きく咳払いをし、変人は口を動かした。

「そんなこと決まっているじゃないか、君たち能力者のためだよ。何と言っても、君たちが持つその『人ならざる力』は、この人間社会を生きることにおいて、不便きわまりない。だからこそのこの施設だ。君たちが、社会間にて不都合なく生きていくためには、まず、己が力を制御できなくてはならない。そのためのサポートをするのがこの学校だ。多くの者を一括して教育していくことにより、よりスピーディーに君たちに社会というものを教えることができるのだよ。

 そして、この分野において日本は最前線を走っている。だからこそ、この地に、この日本に世界各国から君たちを集めた。これ以上何か訊きたいことがあるかねヴォイド・シュヴァイツァーくん?」

 早口で捲し立てるだけ捲し立てて、唐突に話を終わらせた。

『……いえ。ありがとうございました』

 その場で軽く頭を下げ、そして席に着く。

「…よろしい」

 どこがどうよろしいなのか、疑問には感じるが、ここは黙っておく。

「どこがどうよろしいなんだよ……」

 辰巳と名乗ったやつがそう呟く。

 辰巳君、君は少し自重しよう。

「他に無いかね?」

 館内のスピーカーから変人の声が響きわたる。

「……ん?何だね?笹川 涼平くん?」

 声から判断し隣をふと見ると、確かに涼平と名乗った人物が手を高くとは言えないが、それでも遠くから判断しやすいようにと、真っ直ぐ挙げていた。

『……最後に、貴方の役職と名前を教えてください』

 いつの間にか、涼平と名乗った者は翻訳機なるものからマイクを抜き出し、その口から言葉を発していた。

「おやっ?何だ何だ何だまだ言っていなかったかね?それはそれは大変失礼した。私はここの校長だ」

 ん?今何か変な単語が聞こえなかったか?校長?あの変人はそう言ったのか?

「そして名前はだな……ふむ、何と言えば良いものか。私達は普段の会話の中で名ではなく、呼称を、渾名と言った方がわかりやすいかな。ニックネームを使う。例えば、そこのさっき夜空 蒼くんを連れてきた巨漢が『M』、そして金髪のあいつが『S』、そしてその法則に則って名乗るとすれば、差し詰め私は『J』といったところだ。間違っても私とすれ違ったとき、「あ、校長先生だ!」何て声をかけるなよ?「あ、『J』だ!」ぐらいの軽い乗りで良い」

 そこは重要なのか?目上の人との会話の際、敬語を使うのは当然と言うか、当たり前のことだ。しかし、この変人校長は、敬語なんて必要ないから気軽に呼び止めろと言っているようなもの………ん?待て。じゃあ何だ?さっき俺が頑なに敬語を使わなかったときのキレようは?

「何も、私は『敬語を使うな』と言っている訳じゃあない。ただ単純に、私を呼ぶときは『J』と呼べ、と言っているだけだ。勘違いしないでくれよ?」

 即答。

 なるほど、納得。今まで何一つとして理解できなかったあの変人の……ではなく、あの『J』の言葉に素直に納得できた。しかし、この言い方のほうが面倒だと思うのは自分だけなのだろうか。

「…さて、かなり時間をかけてしまったな。手っ取り早く終えるつもりだったのだが、どうやらまた私の『おしゃべり』と言う名の悪い癖が出てしまったようだ」

 そうか?と思い、携帯をさりげなく起動し、時間を見る。

 おおよそ十分も経っていない。

「それではこれで入学式を閉式する!!その他、まだまだ訊きたいことがあるやもしれんが、ここでそんな塵の様なことをいちいち答えていては、時間がいくらあっても足りん!」

 なんか塵とか聞こえた気が…いや、さすがに気の所為だろう。

「細かいことはリーダーに渡したデバイスに入っている。もし!もしそれでもわからないことがあれば、私の所、つまりは校長室もとい『Jroom』に来なさい!納得のいく答えを、これでもかと、君たちが嫌がるほど教えてあげよう!」

 ほとんどいじめではないか?と言うか、『Jroom』って何だ?

「以上!解散!!終了後、リーダーはこの場に残り、その他は自室で待機せよ!!!」


 そうして僕の波乱万丈な入学式は終わり、波乱万丈な高校生活の幕が上がった。

作者(以下、作)「え〜とですね、今回から後書きは『主要人物への質問コーナー』と銘打ちまして、色々なことをキャラクターに質問してみたいと思います!

 まずはこの人、この物語の主人公、夜空 蒼くんです!」


夜空 蒼(以下、蒼)「あ、えと、夜空……です…」


作「時間も押してるのでぱっぱと行きましょう!」


蒼(適当だ…)


作「ん?何か?」


蒼「い、いえ…」


作「質問!『蒼くんは暇なときいつも何をしているんですか?』……と言うことですが、いかがですか?」


蒼「え…えと、べ、勉強、です、かね…?」


作「………ん?別にいいんですよ?嘘つかなくても?」


蒼「え、あ、その……嘘じゃ…」


作「はい、今日の所はここまで!作者はもう既に半目の状態です(現在AM4:00)。まだまだ時間がほしいところですが、また次回お会いしましょう。

 主要人物への質問を大募集してます!何か訊きたいことがある人は、気軽に感想を書いてください!

 それでは夜空 蒼さん今日はありがとうございました!」


蒼(まだあんまししゃべってない気がするけど…)


蒼「ありがとうございました。また呼んでくれるとうれしいです」


作「以上、ハードボイルド探偵でした。次回も請うご期待!」

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