バス―move―
日差しがまぶしい。太陽が輝いていて、かなり暑い。しかし、季節は春。まだまだ桜も残っていて、歩道がピンク色に染まっていた。
7時11分。少年の時計は、そんな風に時を刻んでいた。それを見ると、少年はため息をつき、制服の内ポケットからケータイを取り出し、メニューを開いた。
『なあなあ、蒼?』
『何?』
『俺たちってさ…おんなじ、高校に…行けんだよな?』
『当ったり前じゃん』
ケータイの画面には、少年と同じぐらいの歳の、男の写真が写し出されていた。笑顔、ピース、モデル立ち。この三点セットが、この写真の少年のお決まりのポーズだった。
『お前、どこ高行くの?』
『○○高校かな…』
『えっ!俺と一緒じゃん!お互いがんばろうぜ!』
『別に…いいけど』
仲が悪かったわけではない。ただ単に、話さなかっただけだ。クラスは3年連続同じ。だけど、向こうは体育会系、こっちは文系と、話す機会がほとんどなかった。
ケータイの画面に雫が一滴、滴り落ちた。このケータイに防水機能はついていない。そんなことはお構いなしに、少年の眼から出た雫は止むことがない。
少年は、ケータイの画面にわずかに反射されている自分の顔を、見て我に返った。辺りが騒がしい、体が揺れる。
『次は「広陵森林公園前」、「広陵森林公園前」です。お客様にお願いです………』
アナウンスが聞こえると、目の前にいた老人が、近くにあったボタンを押した。
『ピンポーン。次、止まります。バスが止まるまで、席を立たないでください』
又もアナウンスが流れ、そして、ゆっくりと揺れはおさまっていった。老人は揺れが完全におさまったことを確認して、車両の進行方向によたよたと歩いていった。
『俺、403…あるよな…』
『うん、あるね』
『そんでもって…お前、何番だっけ』
『404だよ』
『じゃあ…2人とも…合格?』
『そうだよ。合格さ!』
『よっしゃ~~~!!!』
『ご乗車ありがとうございました、まもなく、終点、「陸奥乃宮文化高校」です。…』
もうすぐつく、あの学校に…
『何で…急にそんなこと言うなよ…どうして?何で入学できなくなった?』
『…』
『何とか言えよ……おい!!』
『ごめん』
真は、そのことを聞いて以来、目を合わせなくなった。
本当は、俺だって入学したかった。大きく揺れるバスの中で、少年はそう思い、唇を噛んだ。
『何で!?何で行かせてくれないのさ!!』
『これは、母さんと父さんが決めたことだ。お前は今言った通り、陸奥乃宮文化高校に行きなさい』
『なんで、そんな勝手に…!!!』
本当はこんなとこ来ることなんてなかった、普通の学校に行きたかった。真と一緒に、勉強に部活、いろいろなことをしたかった。
『終点、終点、「陸奥乃宮文化高校」です。お忘れ物をなさいませんよう、お願いします』
少年はアナウンスが聞こえると、ケータイをしまい、上のネットにおいてあった大きめのかばんを下に降ろした。
少年は顔をびしばし叩くと、前を向いた。顔にはすでに、雫は流れていなかった。
皆さん、こんにちは!『ハードボイルド探偵』です。
一話目を読んでもらえば分かるとおり、話が…飛んでます(すみません…)。しかし、これはいつもの書き方なので、必要以上に心配はしないでください…
今回は「名前」について語らせていただこうと思います。僕は、普段からノートなどを使って小説を書いています(もちろん趣味で)。そんなときに悩むのは、もちろん「名前」。考えるのが苦手というのもありますが、そのキャラの個性を前面に出したいので、そのキャラのイメージと合致するものを探さねばなりません。そこで至る答えがこれです、「かぶってもよくね?」。もちろん、他の作者の作品から拝借するわけではなく、自分の他の作品から持ってくるわけです。ですので、今、ノートに書いている作品にも、蒼君が出てきます。皆さんも、煮詰まってしまったら、ぜひ使ってみてください。
作者の皆さん。こんな半人前の意見で申し訳ございませんが、ぜひ応用してみてください。
それでは皆さん、また次話、お会いしましょう。