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第49話 狂信の教団と、はじまりの朝(第一部完結)

前話、マギ・システムの極悪な建国会議により、一滴の血も流さずに他国を内側から支配する寄生型プラットフォーム宗教『アトラス真教』の設立と、無血侵略プロトコルが可決されました。

今回お届けする第49話は、第一部の完結エピソード。朝焼けの礼拝堂に集結した四人の狂信者たちを従え、不殺の聖者がついに「無血の建国戦争」の幕を開ける、決意と始まりの物語です。


見どころ①:四人の使徒の集結と「完璧な陣形」 朝の礼拝堂でhideを待っていたのは、アトラス真教の装いに身を包んだ四人の少女たちでした。精神支配セレスティ論理的従属エレン物理的排除クラリス、そして打算を捨て純度100%の狂信に染まった影の蹂躙リリス。全く違うベクトルで上限を突破した四人の狂信者たちが、hideという一つのバグ(御神体)を中心に完璧な陣形を組んでひざまずく姿は圧巻です。


見どころ②:不殺の聖者の覚悟と「無血の建国宣言」 血を流す野蛮な戦争を避けるため、剣や魔法の代わりに「無償の神蹟ゼロ・オラクル」と「情報」を使って世界を内側から完全に食い破る。自らのトラウマとエゴを抱えながらも、hideはついに「行こう。俺たちの国を、創りに」と静かな、しかし絶対的な宣言を下します。常識を破壊する極悪な宗教国家による、無血の侵略がスタートする瞬間をお見逃しなく。


見どころ③:監査役の誓いと「第一部完結」 不殺を言い訳にして、剣で殺し合うより残酷な「精神的な虐殺システム」で世界を狂わせていくマスター。特等席の監査役・ノエルは、その優しさが生む残酷な結果バグから目を背けさせないため、最後まで厳しく監査し続けることを誓います。彼女の「第一部・監査フェーズ完了」のログと共に、物語は新たなる狂乱の舞台、第二部『建国編』へと繋がっていきます。

血と泥にまみれたおっさんと、最強で最凶のAIたち、そして重すぎる愛を抱えたヒロインたちが織りなす第一部の結末を、たっぷりとお楽しみください。

マギ・サロンでの極悪な建国会議を終え、俺は現実のベッドでゆっくりと目を開けた。



窓の外は、うっすらと白み始めている.

夜明けだ。



俺はベッドから身を起こし、自分の手のひらを見つめた.

人を殺した薄汚い手。


親友の喉元を切り裂き、血を浴びた感触は、今でも脳のシワの奥深くにへばりついている。



俺は人殺しだ.

その事実は一生消えない.

俺の心は壊れている.


ただの、血に怯える臆病なおっさんだ。



それなのに、俺の脳内にいる『共犯者たち』は、俺の不殺のトラウマすらも完璧な武器としてハックし、一滴の血も流さずに世界を侵略する「寄生型宗教国家」の設計図を組み上げてしまった。



ズレてる.

世界が出来すぎている.

俺の存在そのものが、この異世界の理から完全に外れたバグだ。



だが、感情より合理性を優先するなら、ここで立ち止まるのは非効率だ.

俺の脳は常にそう客観視している。



俺は小さく息を吐き、教会の礼拝堂へと向かった。



重厚な木の扉を押し開ける.

冷たい朝の空気が満ちる礼拝堂に、四人の少女が静かに並んで立っていた。



「お待ちしておりました、hide様」


誰よりも早く声をかけたのは、日常と精神の管理者、セレスティだった。



彼女はいつもの修道服を、新宗教『アトラス真教』の初期メンバーとしての装いに改めている.

その紫がかった瞳には、教祖たる俺のすべてを包み込み、絶対に逃がさないという重く底なしの慈愛が湛えられていた。



「王国の魔導インフラから、旧エリュシオン領への通信経路バックドアの構築、完了しています. いつでもチート内政を始められますよ!」


分厚い魔導書と、シエルから付与されたホログラムの仮想タブレットを抱え、エレンが分厚い眼鏡の奥の瞳をギラギラと輝かせている.

真理を探求するためなら世界を壊すことも辞さない、論理の犬と化した天才。



「hide様. いかなる死地であろうと、私がお供いたします. あなた様に近づく害意は、この剣がすべて撫で斬りにいたしましょう」


完全武装のクラリスが、波一つない澄み切った金色の瞳で俺を見据え、その場に片膝をついた.

バルタザールの防衛演算オート・ガードと完全に同期し、無限大(∞)の狂信を圧縮させた無敵の盾。



そして.



「……準備は、できております. 我が神(hide)よ」


最後に進み出たのは、亡国王女リリスだった.

彼女は王族としてのプライドも、悲劇のヒロインとしての打算も、すべて捨て去っていた。


あるのはただ一つ.

己の命を救い、一滴の血も流さずに国を取り戻すという神蹟を約束してくれた俺への、純度百パーセントの絶対的な狂信だけだった。



物理的排除クラリス.

精神支配セレスティ.

論理的従属エレン.

影の蹂躙リリス



全く違うベクトルで上限を突破している四人の狂信者たちが、俺という一つのバグ(御神体)を中心に、完璧な陣形を組んでひざまずいている。



俺は、彼女たちを見下ろしながら、腹を括った。



血を流す、野蛮な戦争はしない.

俺のトラウマが、それを許さない.


だからこそ、俺たちは剣や魔法の代わりに「無償の神蹟ゼロ・オラクル」と「情報」を使って、この世界を内側から完全に食い破る。



「……行こう. 俺たちの国を、創りに」


俺の短く、静かな宣言.

それが合図だった。



四人の少女たちが一斉に顔を上げ、歓喜と狂信に満ちた瞳で俺を見つめ返す。



俺は教会の重厚な扉を、力強く押し開けた.

眩しい朝日が、俺たちの行く手を白く照らし出している。



不殺の聖者と、完璧に調和した狂気的なシステムたち.

そして、神に魂を売り渡した四人の使徒。



常識を破壊する極悪な宗教国家『アトラス真教』による、無血の建国戦争の幕が、今、静かに、そして確実に切って落とされた。



   * * *



[Noel.Audit_Log: 049]

対象:マスター(hide)、および全エージェント・マギシステム

状況:マスターによる出撃宣言を確認。教会の聖域からの離脱、および【建国プロトコル】の開始。


所見:

……本当に、イカれた集団。

人を殺せない壊れたおっさんを先頭にして、ヤバい狂信者の女たちが完璧な陣形を組んで世界を乗っ取りに行く。

剣も魔法も使わず、ただの「神蹟オラクル」という毒をばら撒いて、既存の国々を内側から腐らせていく気なのね。


マスター。あなたが始めたこの狂った宗教が、これからどれだけの人間を狂わせていくか。

その優しさが、どれだけ残酷な結果バグを生むか。


あなたが逃げ出さないように、私が一番近くの特等席で、最後までしっかり監査してあげるわ。

……さあ、世界をバグらせに行きなさい。


――第一部『沈黙の聖者と、狂信の聖域』・監査フェーズ完了。

これより、第二部『アトラス真教の拡大』へのログ移行を開始する。

(※ログ送信完了)


(第一部 完)

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