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腐食世界のガーデンテイマー  作者: 時雨オオカミ


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6/11

ガーデンを整えよう!


「はじめての生産品の取得、おめでとうございます」


 隣で乾いた音がして顔を上げると、シーちゃんが相変わらずほぼ無表情でパチパチと拍手をしていた。

 アニメとかでこういうキャラクターが出て来たら真っ先に『胡散臭い』と言われてしまうやつだけど、可愛いから全然そんな感じはしない。


「生産品はご自身で消費することも、納品箱に入れて出荷することも可能です」

「納品箱?」

 

 聞くと、彼女は拠点を示して続ける。


 「拠点の入り口付近にあった木箱のことです。空中都市の食料の一部はガーデンで賄われていますので、余剰分があれば納品を行っていただくと良いでしょう」


 なるほど、あれは納品箱だったのか。

 生産品を納品してお金も稼ぐ。牧場ゲームものあるある要素だけど、そういった部分もあるんだね。

 というか、納品箱でお金が……ってことは、人類が住んでる空中都市とやらの食料供給がガーデンテイマーに結構依存しているってことになるのだろうか。いや、さすがに空中都市にもちゃんと農場くらいはあるよね? もしないんだったらヤバすぎるけど……っと、世界観考察はあとにするか。これも私の悪い癖だ。考えだしたら止まらなくなってしまう。


「さて、ワームースが住民となりましたが、ガーデンではこのようにモンスターを住民にしていき、少しずつ環境を整えていきます」

「千里の道も一歩から……」

「はい」


 そして、ほんの少しだけ声の調子が変わった。


「汚染された地上が回復するかどうかは、ガーデンテイマーの皆様にかかっています」


 おおう、責任重いなあ。


「ユウ様は、とても手際がよろしいので期待していますよ」


 それを聞いて、私は思わず照れ笑いを浮かべた。


 「……褒められた」


 ワルフルは、私たちのその様子を見て「わふ?」と首を傾げている。可愛かったので首元を撫で回したら、ふかふかしているけど、ほどよくサクサクなワッフルボディの感触がおもしろかった。


「それから、こちらもプレゼントです」


 シーちゃんが追加のアイテムを表示して、私が受け取る。


「ワームースにはチョコレートを。ワルフルにはミルクを、与えてみてください」

「ご飯タイムだ」


 まずは、ワルフル。ミルクを差し出すと、くんくんと匂いを嗅いでから勢いよく口をつけた。


「わふー!」


 興奮気味にあっという間に飲み干して、尻尾をぶんぶん振っている。とってもご機嫌だ。その様子を見るだけでこれが大好物だったんだろうなって分かる。

 実際にチラッと図鑑を見た感じ、好物の欄に『ミルク』が増えていた。

 元になった食べ物にちなんだものが好物に設定されているんだろうか? それともそういうのは関係ないのか……ますます気になってくる。


「と、その前に」

 

 次はワームースだ。

 キラキラとした目で私を見てきている。放っておいて図鑑をあれこれ眺め回すのは可哀想だ。すぐにこの子にも渡されたものをあげてみよう。


 チョコレートを近づけると、ぴくりと体を揺らしたあともにゅもにゅと吸い込むように取り込んだ。


 すると、透明だった体の内側がじわじわと色を変え始めて目をみはった。


「……うん?」


 ワームースの体の色が、レモン色のゼリービーンズからから深い茶色のゼリービーンズへ変化しきっている。

 シーちゃんに言われる前に即座に図鑑を開く。片手でメニューをいじるのもすでに手慣れたものだ。



 No.001 ワームース


 好物:チョコレート


 ――亜種情報が追加されました。

 【チョコムース】



「亜種……」


 そんなのもあるんだ!?


「このように、観察と試行錯誤によって図鑑を埋めていきましょう。情報は随時『C』がアップデートしていきます」

「……楽しいね」

「なによりです」


 さらに、シーちゃんは続ける。


「住民一覧から、お気に入りのモンスターに印を付けることができます。初めて来訪したモンスターには、ロックをかけておくことを推奨します」


 なるほど、これもソシャゲでよくあるロック機能だね。同じ種類でも最初の一匹はやっぱり大事だからこういうのは助かる。


「それでは――」


 私があーだこーだと考えたりしていると、シーちゃんはいつのまにか少し距離を取っていた。


「しばらく、見守ります。自由に、色々とお試しください」


 その言葉を合図に、私は作業に戻った。


 ワームースの襲来で中断していた荒れ地の整備。

 掘って、埋めて、叩いて表面を整える。


 ……そういえば。


「浄化、って」


 ふと、ワームースを見る。


 ワームースは、綺麗にした地面にもぐったり出たりを繰り返している。その上に三本並んだゲージのようなものが表示されていた。ゲージの一番上の部分がキラキラと輝いているから、あそこを今減らしている最中なのかな……?


 作業を続けながら、ちらりと見る。


 しばらくすると、土が露骨に綺麗になった。


 ゲージの一本目がすっと削り切られる。

 キラキラエフェクトが出ている間は特に減っている様子がなかったし、ちょっとずつ削るというよりは時間経過で一本確実に削れるみたいな感じだろうか。図鑑の『表層浄化』が多分こういうことなんだろう。

 ……にしても。


「……早いな」


 まだ、五分も経っていない。すごいじゃん。


 ワームースは次のタイルへ移動してまたもぐり始めた。

 視線を上げると、ワルフルは私のそばをいったん離れてガーデンの外縁を歩きながら周囲を警戒しているように見える。役割分担、この時点で結構完璧じゃない?


 ――その後。

追加でワームースが二匹ガーデンに仲間入りした。


 そして。


 【ワームースの群れボーナスが発動しました】


 ワームースが表層浄化を完了して次のタイルへと向かうスピードが、かなり早くなった気がする。


「……楽しくなってきた」


 コツコツと綺麗になっていくところを見ると、やりがいを感じる。


 私はスコップを握り直し、もう少し作業しようと空を見上げた。

 

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