ユウの生態観察レポート【キャロキャット・コウィラ・フィッシュサトウ】
お次はキャロキャットかな。
比較的新入りなほうだけど、この子も夜の探索でついてきてくれたり、防衛で役に立ったりしてくれているので印象深い気がする。
ふと窓の外を見てみると、キャロキャットはガーデン内を跳ねるようにして移動しながら見回りをしていた。活動時間だ。お仕事を真面目にこなしてくれているようで助かる。
あの子は猫ではあるものの、尻尾の先がニンジンになっているのでしなやかな猫の尻尾のようには動かない。その代わり、尻尾の短い猫みたいなシルエットで大変可愛らしいんだけどね。
あと、ジャガイヌみたいに変な習性があるようだ。
尻尾を突き刺してくるというか、尻尾で小突いてくる? ことがよくあり、なんだろうと思っていたんだけど、あれも愛情表現の一種らしい。ガーデンのルーティン作業中にシーちゃんが言っていた。
ただ猫ちゃんらしく機嫌が悪いと素っ気なくなってしまうので、そういう雰囲気を察したらあんまりしつこくしないほうがいいと思う。しつこく構おうとすると逆効果でご機嫌ナナメな時間が増えてしまうので。
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【公式生態観察】
夜間活動を主とする小型哺乳系モンスター。
畑周辺を縄張りとし、夜間の防衛行動に優れる。
昼間はほとんど活動せず、刺激にも反応しにくい。
気分や満腹状態によって行動が変化する不安定さを持つ。
農地管理においては補助的な役割を果たす。
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【キャロキャットの生態観察レポート】
【観測者:ユウ】
尻尾がニンジンのようになっている不思議な猫。図鑑で見るような猫のあのしなやかな尾はどこへやら。
ニンジンの尻尾をゴツゴツぶつけてくるのは嫌がらせかと思ったがどうやら愛情表現らしい。痛いが許せる範囲だろう。あの可愛い尻尾を引っこ抜いてニンジンスープやサラダにしたなんてそんなこと……じゅるり。
夜間は起きているモンスターが少ないため、オリウルが主な周辺ログの拾い主だったが、キャロキャットが住民となったことで畑を荒らされることが減った。縄張り意識が強いらしい。特に畑の周辺は用心深く見守ってくれているような気がする。ご自慢の尻尾と同じく、ニンジンが好きなのかも。
ただ、気まぐれなところがあるので撃退に出てくれるのは五分五分といったところだろうか。
撃退を失敗して不機嫌なときは近寄らないほうがいいだろう。
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次にユーカリの木を植えてからやってきたコウィラだ。
実際に見る機会なんてとんとないけれど、昔は普通に動物園とかで見られたらしい? 今じゃ研究施設としての側面がより強く、高額になっちゃっててなかなか見に行けるような機会は巡ってこないんだよね。密閉された専用施設内じゃないといけなくなっちゃったから……だからこそ、ゲームでモンスターに出会うことをモチベーションにしている人も多い。
その点で言えば、このゲームはかなりの需要を満たしていると言えるだろう。
ただ、環境汚染的なものをテーマにしているならすごく挑戦的だなとも思う。社会風刺が多大に混じっているんだろうか。おもしろいから思想が強くても、押し付けてこない限りは別にいいけれど。
調べてみたところ、実際のコアラも毒のあるユーカリを食べて消化できるらしい。すごいなあ。人間も毒のあるものを食べるためにいろいろと工夫して技術を発展させているけど、実際の生態でそうなるように進化していくのってものすごい時間がかかるはずだ。その辺はさすがに教育課程にあるから知っている。
……人間以外を見ることなんてほぼないから実感なんて湧かないけれど。
毒のある植物は、成熟すると基本的に勝手に種を蒔いて周囲に伝播していく。そのため、柵で囲んで外に種が撒き散らされない環境にしていなければならない。
普通の植物はこんなことしないのに、毒性のある植物だけこういう生態? になっているの、すごく悪意があるよね。毒性があると知らずに放っておくと、どんどん増えてモンスターが誤って口にして病気になってしまう……ということが引き起こされかねないらしい。
まだその状態に陥ったことはないけれど、シーちゃんから注意事項として聞くだけでかなり危機感を覚えた。
モンスターたちの病気や怪我には十分に注意をしよう!
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【公式生態観察】
毒性植物への耐性と識別能力を持つ草食系モンスター。
ユーカリ等の毒性植物を摂取し、他個体の誤食リスクを低減する。
毒性植物が柵内にある場合、その区画を縄張りとして防衛する行動が見られる。
腐敗食材は摂取対象外であり、腐食対策には直接寄与しない。
種子の安全判定にも利用できるが、未指示の場合は即時摂取することがある。
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【コウィラの生態観察レポート】
【観測者:ユウ】
毒を好んで食べるなんて変な生態に変化した動物だなあ、と思ったら元からそういう生態の動物がモチーフとは事実は小説よりも奇なりだね。さすがにここまで万能じゃないみたいだけど。
コウィラが毒性植物を食べてくれるからって柵で囲わないでいると、他のモンスターが誤食してしまうことがあるのでしっかり柵で覆うことをしよう。でないといくら薬を買ってやってもキリがないからね。
柵さえあれば縄張りと認定して、侵入する他のモンスターを追い払ってくれるので管理も楽ちん。探索で入手した種を見せれば毒があるかどうかを見分けてもくれる。ただし、先に言っておかないと種が一個しかなくても毒があったら問答無用で食べてしまうので注意が必要だ。
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さて、今日最後の図鑑は……君に決めた! フィッシュサトウ……!
まだ不明な点も多いけど、こいつは一匹しか所属できないので生態観察を書くこと自体は可能だ。
突然、現在ではガチャ以外で入手できない謎のモンスターの図鑑をアップしてみんなを怖がらせよう!!
というわけで、書いていこうと思う。まず、こいつの公式の説明をおさらい。
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【公式生態観察】
フィッシュサトウは、植物と水棲生物の性質が極端な形で融合した特異個体である。
サトウキビの繊維構造を利用して遊泳する行動は、摂食・移動・生成を同時に行うための適応と考えられている。
体内で生成された糖分は完全には保持されず、周囲の水域に拡散することで環境へ影響を与える。
この糖分は汚染物質と反応しやすく、結果として水辺の汚染進行を抑制、あるいは浄化を促進する。
なお、この生態がどのような進化的必然によって成立したのかについては、現在も統一見解は得られていない。
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公式文章も困惑してておもしろい。
そんなことある!? って思うけどあるんだよなあ。
なので、私のほうで書く生態観察ももちろんネタ寄りにしておこう。
まだ詳しい条件が不明なので、むしろ好き勝手に書けるとも言える。
私の願望とかも交えて……こう!
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【フィッシュサトウの生態観察レポート】
【観測者:ユウ】
【ベスト・オブ・ナンダコイツ大賞】優勝はこいつで間違いないね!
まずツッコミどころが多すぎる。フィッシュサトウってなんだよ。フィッシュ佐藤さん? フィッシュガーとかで良くない?
こいつについてのプレイヤー学会(非公式)による見解は、デザイナーさんが大暴走して止めきれなかった説と、運営のお気に入り説の二大巨頭があり、日夜過激な架空議論を繰り広げている。
きっとモンスターの人気投票があっても謎に上位に食い込んでくるタイプである。フィッシュ佐藤さんを人気投票一位にするスレがあったら、ぜひご一報いただきたい。筆者も参加したい。
ここまで勢いで書いてなんだけど、彼はガチャ産のため生息地や条件類は不明だ。改めて生息地が判明したら書き加えたいところである。それはそれとしてあまりにも面白かったので、こうして一匹が上限であることを幸いに図鑑を書いている。
さて、その生態もとんでもなく奇特で、サトウキビのてっぺんに刺さるように口を開けて飛び込み、繊維を引っ張りながら泳いで砂糖を体内に生成する。見た目は完全に釣り竿にかかって泳ぎ回る魚だ。セルフ釣りされる魚なんて理解し難い生態だとしか言えない。どうしてこんなネタに走っちゃったの? ネタ切れ? それともなんかデザイナーに弱みでも握られてる?
ガチャでこいつが来たときの困惑と、実際にその生態を目の当たりにしたときの衝撃は計り知れない。
同僚の皆さんにもぜひこのなんとも言えない気持ちを味わってほしいところだ。
生息地はシーちゃんに今後の探索箇所を聞いたところ、『酸っぱい川べり』か『黒い塩とぬるいソーダの海』とやらが最有力候補だろうか?
続報を待たれよ!
(見つけたら記事の更新をするね)
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卵時代からのスケッチをこれでもかと載っけて……ヨシ!
これでみんなを困惑させることができるだろう。どれだけの人が私の図鑑なんて見ているか分からないけれども!
ふう、満足した。
「終わったし、私は寝るね」
「おやすみなさいませ」
「おやすみ、シーちゃん」
なお、シーちゃんに全ての探索地の名前を聞いているのは私だけだったらしく、フィッシュサトウ以上の衝撃を界隈にもたらしたと知ったのは随分と後のことだった。
変だな、シーちゃんって結構聞いたら教えてくれるのにね。
お待たせしました!
ちょっといろいろ忙しくて申し訳ない!!




