もはや犬の楽園では?
ジャガイヌの教育は滞りなく終了したらしく、ワルフルは満足そうにドヤ顔をしている。ジャガイヌ本人は早くも舎弟の顔だ。キラキラとした瞳で先輩ワルフルを見て尻尾を振っていた。
ワルフルの監視の元にまた撫で撫でチャレンジをしたのだけど、今度はなんと成功! ちゃんと噛んだりせずに撫でさせてくれた。噛みついたときとは違い、ワルフルと一緒におしくらまんじゅうのように体を押し付け合ったり、私の手に体をぐいぐい押し付けてアピールをしてきたので、ワルフルからはこうした健全な甘えかたを教えてもらったらしい。優秀!
そして、一匹ジャガイヌが来たということはつまり……こちらが住民化したジャガイヌたちの群れたちです、なんてね。
あれから間を開けないうちにジャガイヌがどんどんやってきて、彼らはうちの最初の一匹のワルフルにより次々と舎弟になっていった。お見事すぎた。おかげさまで攻撃ができる子が一気に五匹増えたことになる。
能力には書いていないが、防衛ができるかどうかというと……。
「防衛に任命すれば、防衛能力がなくても大丈夫なもの?」
「不得手なことだとしても、防衛任務を請け負ったモンスターは仕事をこなします。もちろん、ワルフル以上に優秀な働きはできないという前提ですが」
ということだったので、ワルフルたちをもっと休ませてあげられるようになった。
ダックスみたいなバードッグも合わせて群れが実質十二匹になったようなものなので、お仕事の割り振りにはかなり余裕ができたと言えるだろう。もはや犬の楽園になったと言っても過言ではない。
群れが増えたおかげなのか、最初のワルフルは大体私の隣にいるようになった。群れのみんなに仕事を任せるのはボスの特権とばかりに甘えてくるので、正直可愛くてしょうがない。
「モンスターを飾りつけるアクセサリー店も空中都市にはございます」
「ほんと!? それなら今度行くときに案内してもらおうかな」
「かしこまりました」
やっぱり最初の相棒だもんね。ワルフルにはなにかプレゼントしてあげたいから、絶対に選びに行こう!
畑も増やし続けて、普通に買える種は五個ずつとか育てているし、そのおかげで収穫も結構できている。肥料とかを気にしなければ水さえ与えてれば自動で育って、売ればそこそこのお金になるし、畑を運営するサイクルに問題はない。
ガーデンアイテムとかで結構痛い出費がかさんでいるが、これは畑を増やし続けていることでなんとかしている。
果樹園とかも作ればもっと余裕出るかなあ。コアラが来ることを期待してユーカリは植えているし、景観を気にして可愛い木の柵を設置して観賞用の花畑みたいなのも作ってあるが、果樹を植えたほうが継続的に実を売ることができて良かったのかも。
……と、いけないいけない! こういうゲームでは金策が大事になってくるので、ついつい稼ぎについてを考え始めてしまう。
モンスターの住民化のためにアイテムを買い漁るのもいいが、あんまり急に増やしすぎても目が回る忙しさになるだけだし自重しないとね。
ひとまず、最後に水辺ができたからそこにサトウキビを植える。ガチャで出たやつだ。なんとなく植えといたほうがいいかなって。ほら、今日はフィッシュサトウも孵化することだし。
水辺の浄化はウーパイルーパーが二匹になってすっかり進んだ。もう少し水辺を増やしてみてもいいけど、そろそろガーデンもごちゃごちゃしてきたからどれくらい拡大するかは考えてやらないとダメそうだ。
最初はかなり大きいガーデンだと思っていたけれど、いつのまにかもうこんなにスペースを使ってたんだなあ。
「少し抑え気味にしないとダメかな」
「あまり気になさらなくても問題にはなりませんよ」
私の独り言に答えたシーちゃんを見る。
「え? でもこんなにスペース使ってるし……」
「条件を達成することで、次の探索地とガーデンの敷地が解放されます。ですので、お好きにガーデンを運営してください」
「……ちなみに、その条件って?」
予想できないことではなかった。
ワルフルだっていまだに生息地が分からないんだから、探索地はもっとたくさんあるのだろうと。
だけどまさかガーデンもセットでついてくるとは。
念のためと思ってシーちゃんに尋ねると、いつも持っている本を開いてなにやら確認してから私に向き直る。
「初回拡張の条件はこちらです」
そして、開いた本を私に見せてきた。
「なになに……?」
• 草原ガーデン表層浄化率100%
・枯れ果てた草原の表層探索率50%達成
・初期モンスター5体の住民化
・ガーデンの経過日数が四日目になる
「……って、明日にはもう達成してるー!?」
さすがに、これには驚くしかなかった。
これは今更気づいたのですが、私の理想を回収していくと8割くらいロボトミーコーポレーションが叶えてくれてることになりませんか?




