池を作ろう!
あれから、千客万来の時間は留まるところを知らないとばかりに続いていた。
他にも外から様子を窺う鳩だの、馬だの、あとまた果物じゃなくてキャベツっぽい別のクマだの、来訪こそしないけれどガーデンの外をうろつく影も増えてきた。おおう、渋滞している……。
ある程度は来訪条件で絞れているのだろうけど、こうも一気にいろいろ起こると、いよいよチュートリアルの終わり際を感じて感慨深くなってくるね。
【穴掘り犬が来訪しました】
「また……!」
今度は、草原で見かけた穴掘りをするゴボウっぽい胴長の犬だ。
ガーデンの中に一歩、二歩と踏み入れてすぐに光って卵になった。テンカウントがあって、卵が割れる。
ば、爆速〜!!
――――――
No.121
名称【バードッグ】
・ 分類:野菜
・ 原型食物:ごぼう
・ 原型生物:犬
・ 危険度:D
・ レア度:SR
・ 大きさ:1タイル
・ 生息地域:枯れ果てた草原
・ 好物:??? 、???
・ 来訪条件:
5タイル以上の汚染されていない草地がある。
枯れ果てた草原の探索に出たことがある。
・ 住民化条件:
ガーデンで畑を耕したことがある。
20タイル分の汚染されていない草地がある、
所属するバードッグが二匹に達していない。
・ 汚染タイル数: 陸上1
・ 能力:
草地タイルに滞在している間、一時間につき1タイル分の表層を自動で掘り起こす。掘り起こしたタイルは耕作済み状態として扱われると同時に中層浄化済みになる。
低確率で埋まっていた小石や根材を発見する。
・ 備考:
指示を出さなくても勝手に掘るため、配置には注意が必要。
・ 生態観察:
バードッグは、細長いごぼうの胴体を持つ小型の犬型モンスターである。
常に地面の匂いを嗅ぎ回り、気がつくと前脚で土を掘り始めている姿が観察される。
深く掘ることはできないが、表層をほぐす作業は非常に得意である。
掘り起こされた土は柔らかく、後から畑として利用しやすい状態になる。
作業中は無心で掘り続けるため、呼びかけても気づかないことが多い。
枯れ果てた草原における、最初期の土づくり役として重宝される存在だ。
――――――
「よろしくね」
「ばう!」
ダックスみたいな見た目の犬が仲間になったことで気になったのか、ワルフルたちがわいわい集まってきてお互いにお鼻同士をくっつけて挨拶をはじめる。一番の後輩がミニマムサイズなのもあって可愛いやりとりだった。
「わふー!」
「わっふ!」
「ばうう!」
【未発見のモンスターが現れました】
「わあ、本当に多いね」
シーちゃんに聞いてなにか行動を起こさなくても、この調子なら千客万来は変わらなかったかもしれない。
今度は……空だ。
オリウルたちのいる見張り台に舞い降りてきた丸っこいフクロウが、その場で光に包まれて卵に変化していく。
卵から孵ったのは、オリウルと比べると真っ白なミニマムサイズのフクロウだった。
――――――
No.119
名称【エッグロウ】
・ 分類:畜産物
・ 原型食物:卵
・ 原型生物:フクロウ
・ 危険度:D
・ レア度:SR
・ 大きさ:1タイル
・ 生息地域:枯れ果てた草原
・ 好物:卵料理、水
・ 来訪条件:
ガーデンにオリウルが所属している。
卵を使用した料理を一度以上調理したことがある。
・ 住民化条件:
ガーデン内に高所建造物(見張り台・塔・高木など)が設置されている。
卵料理を2種類制作したことがある。
表層浄化済みの草地タイルが50ある。
所属するエッグロウが二羽に満たない。
・ 汚染タイル数: 陸上1
・ 能力:
三時間ごとに卵を生産する。
高所建造物に滞在している間、ガーデン周辺のモンスターの来訪を事前に通知する。
・ 備考:
コストが非常に軽く、序盤から維持しやすい。
・ 生態観察:
エッグロウは卵の殻を思わせる柔らかな羽毛を持つ、小型のフクロウ型モンスターである。
オリウルの行動を遠目に観察している姿がよく確認されており、安全な環境かどうかを見極めてから姿を現す。
卵料理の匂いに強く反応し、調理が行われたガーデンにふらりと飛来することが多い。
地上よりも高所を好み、見晴らしの良い場所がなければ定住しないという特徴を持つ。
警戒心は強いが攻撃性は低く、周囲の異変を素早く伝える役割を担っている。
――――――
料理……!?
野菜とか果物とかの普通の食材じゃなくて、料理も住民化条件に関わるんだね!?
ならますます、夜に料理するのも頑張らないと。
さて、そんなこんなで千客万来だったんだけど、ガーデン自体の浄化もどんどん進んでいる。
もうすぐ深層浄化も終わるかもしれないところまで来ているんだけど……そういえば、このゲーム水辺は作れないのかな?
「シーちゃん、池とかは作れる?」
「そろそろ必要になってくる頃ですね」
「……ということは?」
「新しい腐食モンスターたちの来訪も落ち着いてきましたし、池を作ってみましょうか」
「そうこなくっちゃ!」
「水辺の作り方ですが、こちらの池掘り用のスコップを使用します」
「ありがとう」
シーちゃんから、ものすごく分かりやすい水色の大きなスコップを渡されて受け取る。
普通のスコップと見た目以外は全然変わらないけど、そこはまあゲームだ。機能の違いというやつだろう。
「このスコップで、同じ場所を三回掘ることで水場が湧き出てきます。これを利用し、自由に水辺の地形を整えてみてください」
こういうゲームの醍醐味のひとつとして、地形の変化がある。今までは草の種袋で草地を作ったりするだけだったけど、やっぱり地形を変えられるとなってくるとそこにプレイヤーそれぞれの個性とか趣味が出てくるようになるからいいよね。
このガーデンだと真ん中あたりに水飲み場として池でも作ろうかなあ。
人によっては池の形をハート型にしたり、いろいろするんだろうけど、私は普通に丸く作ろうと思う。もう少し自由が増えて、ガーデン変化用のアイテムも種類が豊富になってきたらいろいろ試してみたいな!
「よっ、と」
三回同じ場所! 三回同じ場所!
十タイル分くらいの池をとりあえずで作ってみたものの、私はそのフチで苦い顔をするしかなかった。
ガーデンは大体深層浄化まで済ませることができているはずなんだけど、できた水が黒く濁っていたからだ。
どう見ても浄化が必要そうな見た目である。でもワームースって土壌の浄化ができるモンスターなのであって、水辺には効果がないんだよね。
そもそも、ワームースでいいなら土壌が浄化済みなんだから、最初から水が綺麗でなくちゃおかしい。
これは明らかに「水」の専門家が必要になってくるよね?
顔を上げてシーちゃんの横顔を見る。
「ホウ、ホウ、ホウ」
「ホーウ、ホーウ」
頭上から二種のフクロウの声が重なって通知が送られてくる。
【未発見のモンスターが現れました】
ガーデンの外に目を向ければ、そこには待望のウーパールーパーの姿があった。
さあ、最後の初期配布モンスターのお出ましだ。




