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望み(最終回)

「はい?」


 タイジは、そう疑問の声を上げたが、ミシロはそれを肯定ととり、自らの着物を脱いで全裸になってしまう。

 ミシロはタイジに裸体をさらす。

 その白くきめ細やかな肌を、ふくよかな胸を、腰を。


 そして、ミシロは隣の寝室へのふすまを開け、寝室に移動すると、布団の中にもぐりこんだ。


「タイジさん。女に恥をかかせます?」


 ミシロは布団にもぐりこんだ状態で、目だけを出してタイジを誘う。


 ええい!


 タイジは心を決め立ち上がった。


 そして、布団脇に座ると、自らの服を脱ぎ、そして、布団にもぐりこんだ。




 布団にもぐりこんだタイジの全身を、ミシロの手が、腕が、腿がさすってくる。


 ミシロの手がタイジのソレを握り、刺激を与えてくる

 ミシロは布団の中に潜ったままだ。

 タイジからはミシロが見えていない。


 ミシロは、布団の中で、自分の細く長い舌を使って、タイジのソレを攻める。

 長い体でタイジの全身をなでる。

 タイジは、声を上げないようにと、目をつむり、歯を食いしばる。


 しかし、タイジのソレは正直だ。

 むくむくと大きくなっていった。


 ミシロが布団から顔を出す。

 タイジはまだ目をつむっている。

 そのため、タイジはミシロの頭が蛇の頭になっていることに気づいていない。


 タイジの体を、タイジのソレを刺激しているのがミシロの滑らかに動く長い胴体や尾であることに、タイジは気づいていない。


 ミシロは、蛇の体に存在するミシロのソレに、タイジのソレを自ら受け入れる。


 ミシロが体をくねらせるたびに、タイジは声を出さないようにと歯を食いしばる。


 だが、体は正直だ。


 タイジの体がビクンと跳ね、ミシロの体中にアレを放出した。


「はあはあはあ……」


 タイジは、息を荒く呼吸する。


「ミシロさん……」


 何とかタイジがミシロの名を口にする。

 ミシロは、布団から頭を出し、タイジの肩に頭をうずめる。


 タイジがミシロを抱きしめようとしたその時。

 ミシロは、


 カプリ


 と、タイジの首元にかみつき、その毒牙を差し込んだ。


「あ……」


 タイジの前身は痙攣しているが、驚きのあまり、その目は見開いている。

 その目に映ったのは、真っ白で大きな蛇。


「……」


 タイジが恐怖する。


 体が動かない。


 何をされたのか理解できる。


 この目の前の大蛇にかまれたのだ。


 そのせいで動けなくなった。


 毒。


 ああ、わかった。ゴヘイもゴロウもキョウスケもどこへ行ったのか。


 自分も同じところへ行くのだろう。


 ああ……




 ミシロは、蛇の姿のままタイジに言う。


「タイジさん。お約束通り、私はこの村を明日の朝に去ります。そして、またどこか別の村で、きっとあなたの子供を産みます。子供のことは心配しないでくださいね。そして、貴方は、どうか、私の血肉になってください」


 そう言って、ミシロはその大きな口を開いた。




 ミシロはタイジを飲み込んだ後、再び人の姿に戻る。


「お前達」


 そう声をかけると、ミシロの三人の子供が現れる。


「明日、この村を出るから、ネズミたちにこの村での最後の餌をあげないとね。長旅になるから、栄養を取るようにってね」


 ミシロは三匹の子供の頭をなでる。


「さあ、行っておいで」


 そういうと、ミシロの子供達は、村中の家へと向かった。

 そして、眠っているすべての村人にかみつき、動きを封じた。




 ミシロの子供達が、事を終えたことをミシロに報告すると、ミシロは、


「チチチ……」


 と、ネズミを呼んだ。

 ネズミたちは、各家に散らばって行き、動けなくなっていたすべての村人を食らいつくした。




 翌朝。

 ミシロは白い着物を着て、下駄を履いて家を出る。

 その背にはかごが背負われていた。


「さあ、次の村へ行かなくちゃ」


 ミシロは峰の街道をとりあえず街に向かって歩いて行く。


 この日、霧は街道まで上がってきていなかった。


「お前達、大丈夫かい?」


 そう語り掛けるミシロ。

 かごの中から鎌首をもたげてミシロのうなじに顔をこすりつける子供達。


 ミシロは子供達と触れ合いながら歩いていく。


 断崖からゴヘイとゴロウを落としたことなど、もう忘れたかのように前を向いて。




 しばらくすると、馬に乗った役人が向かいからやってきた。


 役人は馬をミシロの横に止める。


 ミシロもそれに合わせて足を止めた。


「行かれるのですか?」


 役人がミシロに声をかけた。


「はい。あの村にはもう、餌の餌がありませんから」

「そうですか。では餌は?」

「後からついてくると思います」

「ならよかった」

「貴方も、情報を隠してくれてありがとう」

「いえ、姫様のためですので」

「おかげでほら、こんなに元気な子供が育ちました」


 かごから三匹の白蛇が顔を出す。


「そうですか。それはよかった。ああ、立派な白蛇さまだ」

「ふふ。ありがとう」

「それで姫様、次はどこへ?」

「どこがいいかしら。できれば霧の出るところがいいんだけど」

「それでしたら、この大陸の東の方はいかがでしょう。この地と同じく、春から秋にかけてよく霧が出ます」

「そう。行ってみるわ」

「はい。お気をつけて」

「貴方はこれからどうするの?」

「とりあえず、この先の村の現状を報告しなければなりません。それが終わったらまた、姫様の支援をするため、追いかけますが、よろしいでしょうか」

「ええ。よろしくね」

「それでは私はこれで」

「では、また今度」


 役人は馬の腹を蹴り、八霧の村を目指した。

 その役人の目の瞳孔は、金色ではあったが、縦に割れていた。




 ミシロはつぶやく。


「この大陸を私達の国にするためには、子供をもっと増やさなきゃ」


わんも「夏のホラー2025に参加したくて、書いてみました。ですが、ホラー、やっぱり難しかったです。ここまで読んでくださった皆様には、本当に感謝しています。ありがとうございました」

ミシロ「ねえ、わんもさん」

わ「何でしょう」

ミ「夏のホラー2025のテーマって、水ですよね」

わ「……」

ミ「水、出てきました?」

わ「……霧とか、海とか……」

ミ「微妙な……」

わ「ま、いいことにしましょう、ね」

ミ「はいはい」

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