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恋する乙女は大和とゆく  作者: 紅葉走史
3/3

出航:不沈戦艦「大和」下

潮の匂いが鼻を通り抜け爽やかな気分に、、、無れない

あぁ憂鬱(ゆううつ)だよ〜〜〜

どうしよう乗組員の確認が終わって和紗(かずさ)が帰ってくれば開会しちゃう

「艦長代理」

「ん」

「総員異常無し、出揃いました」

「副長、ご苦労

閣下、大和乗組員総員準備よし

定刻になりましたので開会致します」

「了解、開会を許可する」


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

寿命が縮む〜〜〜〜

でもやらなきゃ、だって、本当の意味でやられちゃう


「これより!呉海軍兵学校(くれかいぐんへいがっこう)

大和出航式(やまとしゅっこうしき)を開会する

総員敬礼!」

バサ

「直れ!」

バサ

「国歌斉唱!」

「きぃみぃがぁあよぉおぉわぁ、、、」


あがががががががががが

おおおおお落ち着け私

大丈夫、まだなにも間違ってない

大丈夫だ


「、、、ぅすぅうぅまぁあぁでぇ」

「祝電披露!

帝国海軍!海軍元帥!米内忠政閣下!

代弁、呉海軍兵学校、校長、水島茂閣下」

「ハッ」


これをあと2回も!

心臓がもたないよ〜


「、、、終わり、帝国海軍海軍元帥米内忠政

代弁、呉海軍兵学校校長、水島茂」

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「ありがとうございました!

続きまして、海軍大臣!鈴木信太郎閣下!

代弁、校長水島茂閣下!」

「ハッ」


よ、よし今回もなんとか耐えきったぞ

だけど最後は


「、、、終わり、帝国海軍海軍大臣鈴木信太郎

代弁、水島茂」

パチパチパチ パチパチパチ パチパチパチ

「ありがとうございました

続きまして、、連合艦隊司令長官!山本三六九!

代弁、校長水島茂閣下!」


マズい!マズい!マズい!

一瞬止まっちゃたったよ〜〜〜


「諸君まずは出航おめでとう

この出航式を迎えるまで多くの困難と対峙した事だろう、それを乗り越え多くのものを得ただろう

これからはその経験を活かし存分に活躍してもらう

帝国海軍に弱者は不要

これからは海を征く1人の軍人としての自覚をもち行動せよ

最後に諸君らの出航を直接祝えないことを非常に残念に思う、しかし、海は繋がっている諸君らと会えることも必ずあるだろうその時を心待ちにしている、終わり

連合艦隊司令長官山本三六九

代弁、水島茂」

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「ありがとうございました

これにて祝電披露を終了致します」


ふぅなんとか乗り切ったぞ

なにが多くの困難よ、父上が一番の困難だったわよ

っと、いけないいけない、続けなきゃ


「続きまして、呉海軍兵学校校長、水島茂閣下より祝辞

水島閣下、お願いします」

「ハッ」


あ〜〜〜〜〜〜〜〜

この次は私が喋らなきゃ〜〜〜〜〜〜

ちゃんと言える?大丈夫、大丈夫よ私

言うことは考えてきた

問題ないはず


「、、、終わり、呉海軍兵学校校長水島茂」

パチパチパチ パチパチパチ パチパチパチ

「ありがとうございました」

「続きまして在校生代表挨拶

大和艦長代理、山本一華(やまもとひとか)

「ハッ」


すぅ~ふぅ〜 すぅ~ふぅ〜 すぅ~ふぅ〜

大丈夫いける


「大和乗組員諸君まずはありがとう

自分がここまで来られたのは貴様らのお陰があったからに他ならない

これまで我々は多くのことを学んだ、同時に多くのことに失敗した

失敗によって得られたものも多かっただろう、しかし、これからは失敗許されない

海での失敗は死に直結する

我々の失敗は国民にしわ寄せされる

我々は国民を守る為御国を守る為たとえ不可能であっても可能にしなければならない

このことを肝に銘じ死力を尽くせ

総員一層奮励努力(そういんいっそうふんれいどりょく)せよ

以上、終わり、在校生代表、山本一華」

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「ありがとうございました」


終わった、終わったんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

やった、やった、やってやったぞ〜〜〜〜〜〜〜



「艦長代理、お疲れ様でした

素晴らしい挨拶でした、我々大和乗組員は必ず艦長代理の期待にお答えしてみせます!」

「お、おうそうか」


ま、まぁ、やる気があるのはいい事だよな


「よし、総員持ち場に着いたな

総員出航準備、錨を揚げろ」

「ヨーソロー」

抜錨(はつびょう)


うんうん、何度も練習したもんね

慣れてる慣れてる 問題な〜し

なにな忘れてる気がするけど


「あれ? う〜ん?」

「どうした?航海長」

「レーダーに機影らしきものが」

「?それがどうした」

「それが情報が来てなくて、もしかしたら」

「ここは日本本土、それも呉だよ」

「敵の可能性は低いですが南方よりこちらに向かっているのは確かです」


う〜ん?レーダーの故障?それとも碧衣ちゃんの勘違い?

どっちも有り得ない気がするけどな〜


「機体発見」

「! なに! 所属は」

「え、えっと」

「艦長代理あそこに」

「そ、総員対空戦闘用意」

「間に合いません」

「許可省略、適時撃ち方」

「まってください、味方です」

「!」

「あれは連合艦隊空母打撃群所属の六○式戦闘機

光風(こうふう)です」


!そう言えば手紙に南方の空を見ろって


「すごい」

「連合艦隊の曲芸飛行なんて」

「すごいすごいすごい」


ふふふ

父上らしくないですよ、職権の乱用なんて

でも、とても綺麗ですね



こうして準訓練用艦「大和」と我々呉海軍兵学校訓練生の私達の日々は始まった

私達の航路は決して楽なものでは無い、多くの荒波に揉まれ時には命を落とすかもしれない

それでも私達はこの大和と共に海を駆ける

永遠に思えるこの大海を

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