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『カワイイ』は武器になる! 前世男が挑むお嬢様仕草アップデート

 翌朝、天蓋つきの寝台から起き出すと、わたしは昨日の余韻を振り払うように軽く伸びをした。昨日、ようやく少し楽な時間を過ごせたけれど、今日はそうはいかないらしい。メイドたちが告げたのは、より高度な礼儀作法、仕草の洗練を教える専門の家庭教師が来るということだった。まだベッドサイドでぼんやりしているうち、頭に「チッ、まじかよ……」という前世男らしい呟きが浮かぶが、もちろん声には出さない。多分。先日から少しは成長したわたしは、そのぐらいの言葉を喉元で飲み込む術を得ている。


 「お嬢様、おはようございます。」

 メイドのマリエとセシルが音もなく部屋に入り、朝の仕度を整える。カーテンを少し開け、朝の柔らかな光が差し込む。

 「おはよう、マリエ、セシル。」

 わたしは自然な口調で挨拶。もうこの程度は朝飯前だ。前回の侍女長とのレッスンでだいぶ慣れた。だが、今日はさらなる高みが求められるというから胃が痛い。


 「お嬢様、本日は特別なお方がご指導に参ります。礼儀作法のさらなる研鑽と、美しい立ち振る舞いの強化でございます。」

 セシルが告げる。マリエは微笑みながら「今回は、手袋や扇子など、小物の扱いにもご指導があるそうですわ。」と付け足す。

 わたしは「そ、そう……」と曖昧に返す。

 扇子?扇げばいいじゃん。というか、気温はいつも適温なんだから、いらないだろう?

 手袋?普通に付けていればいいじゃんか。何を習うっての?

 ティーカップの持ち方にしても、もうこれ以上何を直せと?

 既に上品な仕草には慣れつつあったが、まだ全部が自然にこなせるわけじゃない。足元がぶれたり、つい足を組みたくなったり、前世の男っぽい習慣が抜けきらないのだ。


 朝食を済ませると、メイドたちは「お嬢様、書斎横の小客間でお待ちを」と言い、わたしを案内する。小客間は昨日使った応接室よりも小ぶりな部屋で、家具もシンプルだが、調度品は洗練されている。ここで、家庭教師とマンツーマンでレッスンするのだろうか(助けて!)。


 ノック音がして、侍女長が「お嬢様、本日ご指導くださる家庭教師のマダム・リディアでございます」と紹介する。入ってきたのは、年配だが艶やかな雰囲気を漂わせる女性。背筋はピンと伸び、動作は静かで優雅だ。細やかな刺繍入りのドレスをまとい、その動きはまるで舞台で踊るように滑らか。

 「ごきげんよう、エリシア様。」

 マダム・リディアは透き通るような声で挨拶する。わたしは慌てず微笑み返し、「ごきげんよう、リディア様。お越しいただき恐縮ですわ。」と最初の挨拶をこなす。

 (よし、出だしは順調。男言葉出てない。)


 マダム・リディアは椅子にかけると、メイドたちが退出する。小客間にはわたしと彼女の二人きり、微かな香水の香りが漂う中、レッスンが始まる。

 「まずは基本的な姿勢から参りましょう。エリシア様、先日、回復後、初めて他の令嬢方とお会いになったとか。よくやり遂げられたそうで何よりです。」

 わたしは「ありがとうございます」と頭を下げる。彼女はにこりと微笑み、「けれど、今後はより洗練が求められます。たとえば、ティーカップを持ち上げる際、指先の角度や視線の置き方まで意識する必要がありますの。」

 (え、そこまでやるの!?儀式かよ。もう、これ決めた奴、そのうち見つけてとっちめてやる。正式に領主になったら、領内で賞金首にしてやる!)と思わず内心で悲鳴。でも表情は崩さない。「マ……、なるほど、存じませんでしたわ。」なんて上品に返す。前世なら「マジかよ、もういいだろ」とボヤいていた。少なくとも、今はそれを堪えられる。少し漏れたが。


 リディアは卓上にミニチュアサイズのティーカップとソーサー、扇子、手袋を並べる。道具立てが揃えられると、彼女は「ティータイムを想定してまいりましょう」と声をかける。

 「さ、エリシア様、まずは椅子におかけください。」

 わたしはドレスの裾を乱さず、スカートを軽く後方に流すように座る。背筋を伸ばし、顎を引く。基本はもう慣れたが、彼女は厳しい目つきで観察している。


 「ええ、姿勢は悪くありませんわ。ただ、足元に気をつけて。足を組んではいけませんし、膝と膝を軽く揃えて、品よく……。そう、そこから足を開かないように。」

 わたしは一瞬油断して足を少し開いてしまった。前世なら全く気にしなかった動作だが、今は「足を閉じる」「足を組まない」「足先まで美しく」という無理難題がある。心中で「そんな細かいことまで……」と舌打ちしそうになるが、表には出さない。


 ティーカップを示され、「カップをお取りください」と促される。わたしは指をカップの持ち手に通しすぎないように気をつけつつ、軽く添えるように持ち上げる。リディアはわずかに首を振る。

 「もう少し、指先を揃えて。取っ手をつまむというより、優しく支える感じですわ。まるで小さな花びらを摘むように。」

 小さな花びら、ときたか。男の頃の自分は、コーヒーマグをがしっと握っていた。それとのギャップがすごい。

 わたしは「はい、こうでしょうか?」と問い、指を微調整する。リディアは「悪くありませんが、あと少し優雅さを……」とこだわりを見せる。

 (まじ勘弁してくれ……いや、まじ…じゃなくて、「おやまあ、なかなか難しいですわね」と。)


 この繰り返しで軽く30分は経った気がする。ティーカップ一つ持ち上げるのに、これほどの神経を使うとは思わなかった。鉄のダンベルを何個か持ち上げる方がまだ楽だと思う、絶対。

 次は扇子の開き方を教わる。「扇子は礼儀正しく開けば、殿方も思わず見とれるでしょう。」

 「殿方…」

 その言葉に、わたしは微かに顔を引きつらせそうになる。前世は男だったから、殿方を惹きつけるための所作なんて考えただけで気持ち悪い。だけど、ここで「うわ、無理!」なんて言えない。

 「あら、そうなのですね……」と流暢に返しながら、心は「気持ち悪い…」「勘弁して」「早く終われ!」と叫ぶ。


 扇子を開くにもルールがあり、「一気にバッと開くのではなく、指先で花びらをめくるように、少しずつ……」とリディアは細かく指導する。

 わたしは扇子を握り、ゆるやかに扇面を広げる。だが、つい力が入りすぎて、パタッと大きな音が出てしまう。「音を立てぬよう、軽やかに。殿方も、秘められた美しさを感じるものですわ。」

 (殿方殿方うるさいなあ……。男の何がそんなに偉いんだ。全然偉くないぞ。元男の私がいうんだから間違いない。いや、落ち着け。今は女言葉で「あら、すみませんわ」と言おう。)

 わたしは苦笑い混じりに「あら、ご指摘ありがとうございます。気をつけますわ。」と返す。


 続いて手袋。カクテルグローブのような薄手の手袋をスムーズにはめる所作、外す所作まで教わる。

 「手袋を外す際は、指先から少しずつ、中身の指が透けるように……殿方はそうした仕草に魅了されることも多いのです。」

 またも殿方か!わたしは内心でゲンナリしながら、「なるほど、勉強になりますわ」と言うしかない。この世界の貴族社会は、女性が美しい所作で男性を引きつけるのが当然の価値観らしい。今までより女らしい仕草が求められるほど、前世男の自分はギシギシと心が軋む。

 でも、もう少し慣れた。「…ですわ」程度の語尾は容易にこなせるし、足も必死に閉じておけば叱られない。前世で男言葉全開だったころを考えれば、頑張っている自分を褒めたい。でも、本音を言えば、一瞬ガニ股で足を開いて休みたいし、手袋なんて適当に外せばいいじゃないかと思う。


 そうはいかない。

 リディアは「エリシア様、もう少し笑顔を」と要求してくる。どんな時でも上品な微笑を絶やさず、まるで優雅な貴婦人であるかのような表情を保つことが肝要らしい。

 微笑みながら、わたしは「はい、笑顔……」と口の端を上げる。朝食や温室では自然に笑えたが、今は強制的な笑顔。過剰なまでの女らしさを演じなければならないと感じて微かなうんざりを覚える。


 (でも、この世界で生きていくには仕方ない。社会改善を目指すとか、みんなの意思を尊重される未来を作るとか言ったって、今すぐ何かできるわけではない。まずはこの場を生き抜かないと。)

 わたしは内心で自分を励ます。「慣れろ慣れろ、自分。今頑張れば、将来自分が舵を握るとき、もう少しマシな制度を作れるかもしれない。ガンバレ私。それに、他の貴族からの評価が高まれば、自由に動けるかもしれない。」

 そう考えると、不思議と心が少し軽くなった。


 リディアは満足げに頷き、「ティーカップを再度持ってみましょう。今度は一層優雅に、見とれるほどの所作で。」と促す。

 わたしはカップに手を伸ばす。指先は花びらを摘むように、腕はやや肘を張らず、肩を力ませず、背筋は伸ばして顎を引く。

 「あら、とても良くなりましたわ。さすがエリシア様、のみこみが早い。」

 彼女の声にはわずかな賞賛。わたしは心中でガッツポーズ。「おーし!!やった!」……いや、ここは「ありがとうございますわ、まだ未熟ですけれど」と上品に返す。


 足を開く誘惑に打ち勝ち、足を組みたい衝動を抑え、男っぽい言葉遣いを呑み込み続けながら、レッスンは続く。

 「扇子の持ち方はもう一度……」

 「手袋の外し方、再度確認いたしましょう。」

 繰り返し、繰り返し、何度も同じ動作。まるでダンスの練習みたいに、身体と神経が擦り切れる。だけど、もう慣れだ。スポーツと同じ、反復して筋肉に記憶させるのだ。文句は男言葉で頭の中で言うだけで、口に出さなければいい。


 ふと、わたしは考える。もし将来、社会が改善され、女性が自由に意思を示せるようになれば、こんな苦労はいらないのかもしれない。お好みのスタイルでティーカップを持ち、堂々と足を組んだり解いたりしても批判されない日が来るかも。

 もちろん、こういうよそ行きの振る舞いを否定するつもりはない。ただ、いまだと、女性ばかりに制限があるような気がしてならない。前も思ったが、家族や友人の間では、もっと砕けたマナー、礼儀を別に作るべきだろう。

 そのためには、やはり社会を知り、影響力を持てる地位に上り詰める必要があるだろう。ここでの礼儀作法は、そのための武器と割り切れば、多少報われる気がする。


 リディアが微笑む。「エリシア様、今日のご様子はなかなか。今後、ご交際される殿方がいれば、きっとそのお心を掴むでしょう。」

 (殿方の心なんて掴みたくないけどな……。)

 わたしは心中で毒づき、外面は「まぁ、お優しいお言葉ありがとうございます」と微笑む。もうこれくらいはお手のものだ。


 扇子を畳み、手袋をスムーズに外し、ティーカップを軽く持ち上げ、微笑みを湛える。女の子らしさ全開の振る舞い……わたしはこんなにやれるようになったんだ。前世の自分が見たら「お前どうした!?」と突っ込むだろう。でも仕方ない。ここで脱落すれば、自由な生き方など夢のまた夢だ。


 ふと、少し休憩をもらえることになり、メイドたちがハーブティーを本当に注いでくれる。わたしは先ほど習った通りの優雅な所作でカップを持ち上げ、軽く一口飲む。

 「香りが良いですわね。」

 まったく違和感なく言えた。少しは楽しめるようになったかもしれない。とはいえ、内心は「やっと休める……」とボヤいている。が、顔には出さない。


 レッスンはまだ続くらしいが、ここまでで既に多くのエッセンスが詰まっている。

 また殿方の話が出れば、内心で「やめろ、サブイボが出る。」と苦笑するしかないけれど、今は耐える。成年したら、もっと自由にできるだろう。それまでに、いろいろ身につけておいて損はない。モチベーションはある。


 苦労しながら「美しい立ち振る舞い」を身につけるほど、わたしの前世の自我は軋むけれど、同時に抑え込むのも上手くなっている。それは必ずしも悪いことではない。必要な場面で必要な顔をできるのは、前世でもビジネススキルだったろう。この世界での武器にもなりうる。当然のことだ。


 さあ、今日のレッスンはまだ続く。

 わたしはより高度な礼儀と美しい所作を叩き込まれつつある。前世男の自我を軋ませながらも、女言葉で飾り、足を開く誘惑を抑え、殿方を意識した動作にうんざりしながらも、笑顔を崩さない。

 「いつか、これが役に立つ日がくる。自由を得て、好きな生き方をするために。」

 心中でそう呟いて、わたしは再び扇子を手に取る。漫画だったら吹き出しに「ひらり」と書かれるくらい、扇子が美しく開く日も、案外近いかもしれない。


 「では、エリシア様、休憩はここまでにいたしましょうか。」

 マダム・リディアはハーブティーを下げさせ、再び真剣な表情を浮かべる。小客間の静けさに、私の鼓動が微かに響くような気さえする。

 「はい、よろしくお願いいたしますわ。」

 言葉遣いもすっかり板についた。足元を正し、背筋を伸ばし、扇子や手袋、ティーカップなどの小物が整然と並ぶテーブルに向き直る。


 リディアは軽く指先で扇子を示した。

 「エリシア様、先ほどよりは確かに上達されました。けれど、いざという時には、手元を見ずとも扇子を扱えるようになるべきですわ。」

 手元を見ずに?何を言っているんだ。この扇子の細かな飾りと、優雅な開閉を視線なしでやれと?またしてもハードルが跳ね上がる。

 「あの、手元を見ずに、ですか?」

 思わず少し疑問を挟む。するとリディアは微笑んで、「ええ、殿方やご友人と対面中に、わざわざご自分の手元ばかり見ていたら優雅さに欠けますもの。視線はあくまで相手へ、あるいは適切な方向へ。手元は感覚で、美しく扱うのです。」

 (なるほど、視線を相手に固定しながら、扇子を音もなく、花びらのように開閉……これはもう曲芸だろうか。前世の自分なら、目隠ししたままビールを適量注げたが、そういうものかも。)


 わたしは深呼吸して、「承知いたしましたわ。試してみます。」と返す。

 指先に全神経を集中させ、扇子をつまむ。目は相手リディアの方を見つめる。リディアは「わたくしを見てくださいね」と言う。相手の目を見て、しかし意識は手元……足を組まないように意識しつつ、背筋を伸ばし、顎を引いたまま、扇子を開く。

 最初の試みで、「パタッ」という鈍い音が出てしまう。リディアは軽く首を振る。

 「あら、力がこもりすぎておりますわ。もっと柔らかに、指先で扇面を感じとって。」

 柔らかく、だと?指先で感じろと言われても、前世ではこんな微妙な指の芸当をしたことはない。バトル物の漫画の修行シーンかよ!でもここで諦めたら、また延々と怒られる。

 もう一度試す。今度は音はやや小さくなったが、リディアは「まだカサつく感じがいたします」と難癖……いえ、的確な指導をくれる。何度か繰り返しているうちに、ほんの少しだけスムーズに開ける瞬間が出てきた。

 「今の瞬間、悪くありませんでしたわ。その感覚を覚えてください。」

 まるでプロスポーツのコーチみたいだ。わたしは心中で苦笑する。


 続いて手袋の扱いをまた練習する。「指先から少しずつ」というのは理解したが、今度は「相手の視線を意識して、手元ばかりではなく、軽い微笑を浮かべながら行う」などと要求が追加される。

 「手袋を脱ぐ所作には、いろいろな意味合いがあるのですよ。」とリディアは言う。

 (いろいろな意味合い?そこまで含みがあるものなのか……この社会、奥が深すぎる。)

 「例えば、ダンスパーティーの前などに手袋をゆっくり外す様は、ある種の特別感を示したり、親密さを仄めかしたりします。もちろん、時と場合で大きく異なりますが。」

 親密さを仄めかす?そんなことまで計算して行動しなきゃいけないのか。わたしは内心「なんという面倒くささ…」とぼやくが、口では「なるほど、勉強になりますわ。」とまたもや上品に受け答える。

 (投げつけたら決闘の申し込みになるのかな?いつか、むかつく奴がいたら試してみるか。)

 などと、冗談が頭に浮かぶくらいには、この空気になれてきた。


 ティーカップも再度練習。角度、取っ手の持ち方、カップを持ち上げるタイミング、ソーサーとの距離感。これほどティーカップ一杯に神経を使うとは驚きだ。

 「視線は常に前方、けれど決して睨むようにせず、柔らかな目つきで。まるで緩やかな川面を見るように。」

 「はい……」

 川面、ねぇ。前世なら「いや無理っしょ」と言いかけるところだが、今は黙って従う。手元と目線と表情筋を同時に制御するこの訓練、何らかの技能ポイントが溜まっている気がする。

 これが、例の大先生にもらった本の世界だったら、もうレベル30くらいになってそう。知らんけど。


 約1時間半ほど経っただろうか、正確な時間はわからないが、とにかく疲れてきた。練習は続く。リディアは突然、「今度は立ち上がる所作」を指定してきた。

 「エリシア様、椅子から立ち上がる時も美しく。両足を揃え、ドレスを乱さず、上体を先に前に傾けずにスッと立つのです。」

 実演してみせろと言わんばかりの視線が痛い。仕方なく実演。わたしは椅子から立ち上がろうとするが、つい前世の癖で少し前傾してしまう。

 「あら、少し重心が前に出ておりますわ。もっと静かに、羽が生えたかのように立ち上がって。」

 羽が生えたかのように?また難しい比喩を……。羽が生えてたら、とりあえずこの場から飛び去って、温室で果物を食べまくることにするが。

 2度、3度と繰り返し、ようやく無駄な動作を抑え、スッと立ち上がることに成功する。

 「ええ、とても良い感じになってきましたわ。ご自分でも軽さを感じたはず。」

 感じた……ような気もするが、精神的にはズシリと重いんですけど。


 ここで、扉がノックされメイドが小さな休息用の水を持ってくる。「お嬢様、喉を潤されては?」と勧められ、わたしは水を受け取る。水の飲み方も今はもう多少は上手いが、リディアが見ていると思うと、つい慎重になる。

 「水を飲む時も、顔をカップに近づけすぎないように、首を美しく……。」とリディアが口出ししてくる始末。思わず「全部かよ!」と突っ込みたくなるが、ぐっと我慢だ。


 水を飲み、深呼吸。まだレッスンは半分も終わっていないらしい。リディアは「次は歩き方に参りましょう」とにこやかに微笑む。歩き方!そうだ、歩く時も気を抜けない。

 「足音を立てず、裾が揺れすぎず、背筋を伸ばし、顎を引き、腕は大げさに振らず軽く添えるように……」

 わたしは廊下を歩くようなイメージで小客間の中を歩く。カーペットが敷かれているから足音はもともと小さいが、リディアは「足裏全体で床を踏まず、かかとからつま先へ滑らかに重心移動を」と細かく指示する。

 かかとからつま先……確かモデルの歩き方で似たようなこと聞いたことがある。モデルウォークか!前世でTVか何かで見た、モデルさんがキャットウォークを優雅に歩く感じに近いのかもしれない。ここまでくると、本当に何かのショーモデルになった気分だ。

 (いやーでも、今の私は、そんじょそこらのモデルさんよりきれいだよね、たぶん)

 などと、心の中で胸を張る。


 殿方の言及がまた出る。「そうすれば、殿方のみならず、他の令嬢方も貴女に魅了されるでしょう。上品な立ち居振る舞いは、人を惹きつける大きな要素なのです。」

 (人を惹きつけるとか、わたしはそんな注目されたいわけでもないんだけど……。男にモテても仕方が無いし、女にモテても……。う……、悲しくなるから考えないことにしよう。)と内心でぼやくが、「まあ、お優しいお言葉、励みになりますわ」と返す。ここまで来ると、もう反射で上品に返事ができる。進歩というべきか、諦観というべきか。


 何度も歩く練習を続ける中、ふとわたしは姿見を使って自分の立ち姿を確認する。確かに、初めてこの世界に来た頃に比べれば、すらりとした少女がそこにいる。背筋が伸び、無駄な動作が減り、ドレス姿も自然になっている。まるで誰か別人を見ているようだ。男だった頃の自分を思い出せば、笑ってしまうほど違う。

 だが、その裏で、「これが私の本来の姿なのか?」という疑問も湧く。こんなに女らしさを作り込む必要があるのか。もし社会が違っていれば、こんな努力は無用かもしれない。そう考えると、社会改善への思いが再度炎を灯す。可愛い仕草は嫌いじゃないが、それを強制されるのは納得いかない。いつか、この制約もほどけた世界になれば、好きな時は女らしく、時にはもっと気楽に振る舞えるんじゃないだろうか。


 「エリシア様、次はお茶会の場面を想定しましょう。」

 リディアが再びティーカップとソーサーを用意する。今度は既にお茶が注がれているが、半分程度で、冷めてるかもしれないが形は整っているという。

 「他の令嬢がいる場で、あなたがお勧めのお茶をサーブする設定で行います。」

 なんでそんなロールプレイみたいなことを……と思いつつ、「わかりましたわ」と笑顔で応じる。


 まるで演劇だ。「メリッサ様、ルシエラ様、ご機嫌よう。」と想定の相手に話しかけながら、ティーポットを持つ仕草も教わる。ティーポットを注ぐときの手首の返し方、ソーサーを差し出す角度、溢れないようにする位置など、驚くほど細やかな指導が続く。

 (ティーポットってただ注げばいいんじゃないの……と前世なら思うが、ここではマダム・リディアが「ティーポットの注ぎ口を相手側に向けすぎないよう」など、意味不明なほど微細なマナーを伝授してくる。)


 仕方ない、慣れるしかない。頭が痛くなる程のマナー。これをやらないと、いずれ他の貴族に「あら、この子は野暮ったいわね」などと言われ、結果的に影響力を失い、社会を変える力を得る機会も失うかもしれない。

 「はい、こうでしょうか?……失礼、少し角度がずれておりましたわ。」

 一回で完璧にこなせず、何度もやり直し。指先が震えそうになる。


 そろそろ疲労が溜まり、わたしの笑顔も引きつりかけているのを、リディアは察したようだ。

 「もう少しでひと区切りといたしましょう。エリシア様、本当に良く頑張っておられます。最初より確実に動きが滑らかですわ。」

 誉められると、やはり悪い気はしない。わたしは「ありがとうございます。まだまだ精進いたしますわ。」と頭を下げる。こんな台詞、前世の自分には絶対出なかっただろう。


 リディアは穏やかな笑顔で、「最後にもう一度、扇子を使っての軽い所作を確認しましょう。殿方が見ている前で、退場する際、扇子を閉じる動作で優雅に挨拶を示すという設定で。」

 また殿方か……でも仕方ない、ここは全シミュレーションだ。

 わたしは扇子を小さく揺らし、視線は目の前にいるはずの“想定の殿方”を見るように視線を前へ。足は揃えたまま、ドレスの裾を踏まぬように少し回転して、扇子を音もなく畳む。

 「あら、よくできましたわ。音もずいぶん控えめになりました。」

 リディアが微笑む。わたしはほっと息をつく。少しずつ上達している実感があるのは救いだ。


 思えば、社会改善だ、女性の自由だと息巻いても、こうした基礎的なことができなければ、他の貴族や殿方、令嬢たちからまともに取り合ってもらえない可能性がある。この世界には、この世界なりの“信用構築”の仕組みがある。外面を整えるのは、その第一歩なのかもしれない。前世だって、そうだったろう。

 確かに面倒だし、押し付けられている感はあるけれど、今は我慢して技術を身に着けよう。将来のために。


 休憩を挟み、次の指導に入ることになるが、ここまでのプロセスで、わたしの頭は混乱と疲労でいっぱいだ。足を組みたい衝動は幾度となく湧くし、「殿方が~」と言われるたびに心中で「知らんがな」と叫びたくなる。だが、もう少しでレッスンの半分が終わると言うから踏ん張り所だ。


 外はまだ昼下がりには早く、朝の清々しさがわずかに残る時間帯だろう。廊下を通る使用人の足音がかすかに響く中、小客間ではこの小さな戦いが続く。大げさだけど、わたしにとっては文化的戦争のようなものだ。

 内心で「くそ…がんばれ、わたし」と呟くが、当然声には出さない。「くそ」なんて言語道断、言おうものならマダム・リディアは卒倒しかねない。


 再びティーポット、扇子、手袋……同じ動作を繰り返しながら、少しずつ精度を上げていく。指摘は徐々に減り、リディアも「よろしい」と頷く頻度が増えてくる。

 その度に、「なんだ、やればできるじゃん、わたし」と自分を褒める。確かにわたしは前世、仕事で必要な技術を身につけてきた。ここではビジネススキルが別の形で応用できるようだ。精神的には相当ストレスだが。


 こうして、マダム・リディアの厳しい指導の中、わたしは美しい所作を自分のものにしつつある。足を開く誘惑に打ち勝ち、足を組む衝動を封じ、男っぽい言葉を飲み込む技術は、前世にない新たなスキルになっている。

 奇妙なことに、段々それが当たり前になりつつある自分もいて、「ヤバい、女の子らしさが身についてる……」と戸惑う。けれど、将来社会を変えるには、今のところこの方法しかない。上に立つには、まずはこの社会で評価される必要がある。なればこそ、今は耐える。


 マダム・リディアは「次は、実際に軽く歩いてお辞儀をして、手袋を外して、ティーカップを持ち上げ、最後に扇子を閉じるまでを一連の流れで行ってみましょう」と言い出す。総合試験みたいだ。

 わたしは心で深呼吸。「分かりましたわ。」と笑みを浮かべ、チャレンジを開始する。


 椅子から立ち上がる(羽が生えたように静かに)、歩く(かかとからつま先へ重心移動、目線前方)、微笑みながら相手にお辞儀(顎を引きすぎず、膝を深く折らず軽く屈む)、手袋を外す(指先からゆっくり、殿方を幻視しつつ上品に)、ティーカップを取って軽く飲む(花びらを摘むような指先)、最後に扇子を取り、軽く揺らして閉じる(音を立てず、優雅に)。

 頭の中でプロセスを再生しながら実行する。隙なくこなすのは難しいが、もう何度も練習した。

 結果、ほんの一瞬ミスしそうになったが、何とか無難にこなせた。


 「まあ、素晴らしい。まだ完全ではございませんが、十分な進歩ですわ。」

 リディアがニコリと微笑む。

 わたしは内心でガッツポーズを決め、「ありがとうございますわ。少しでも上達できて嬉しいです。」と言う。もうセリフも自然。


 この調子で、わたしはさらに練習を続けることになるが、ここでレッスンの半分を終えて短い休憩を入れることになった。

 メイドが再度ハーブティーを注ぐ。この頃には、わたしはもうハーブティーを飲む動作すら自然にできる。恐ろしい順応力だ。前世で少し身につけた社交術が、異世界の礼儀作法に応用できるなんて想像もしなかった。


 休憩中、リディアは「エリシア様、将来が楽しみです。これほど若いうちからこんな洗練された所作を身につければ、素敵なご縁や社交界での好印象は間違いありません。」と朗らかに言う。

 「まあ、光栄ですわ。」と返すが、わたしは「別に殿方の心を掴みたいわけじゃないんだよ!」と叫びたい。それどころか、むしろ、みんなが好き勝手に生きられるような世界に変えてしまいたい気すらあるのに。

 しかし、今は笑顔で対応するしかない。


 もし社会が変われば、こうした“殿方を喜ばせる”こと前提の礼儀作法は、もう少し緩くなってもいいのに。わたしはティーカップ越しにリディアを見つめ、「いつか、自分が自由になるためには、こういうスキルも使える」と自分に言い聞かせる。

 嘘はついていない。礼儀作法は何にでも応用できる。敵や競合がいたら、この所作で相手を油断させつつ、裏で計画を練ることだってできる。考え方次第で、この鬱陶しいマナーが武器になるのだ。


 さて、休憩が終われば、残りのレッスンがまだある。あと半分だ。

 わたしはすでに足が軽く疲労しているが、顔には出さない。足を開いて休みたいと思っても、ぐっと堪える。

 「よし、やるぞ!」と男言葉で心中で気合を入れ、表面は微笑みを湛えたまま、次の指示を待つことにする。


 再びレッスンが始まる。後半戦は、これまで練習した動作を組み合わせ、より複雑な状況を想定する。「来客への別れの挨拶」や「ダンスパーティーでの軽い会話シミュレーション」など、舞台設定が細かい。そのたびに殿方の話や、ほかの令嬢への印象づけがチラチラと口にされる。わたしは内心「またかよ」と呆れながらも、笑顔を絶やさず演じ続ける。


 「では、エリシア様、ダンスパーティー終わりの情景を想定いたしましょう。踊り終えた殿方へ、扇子で軽くご挨拶を示し、その後は手袋をスムーズに付け直します。」

 ダンスパーティーなんて参加したこともないが、ここはロールプレイングを続けるしかない。扇子を軽く揺らし、視線は想定の相手へ、口元は上品な笑みを描く。そして手袋を指先からはめ直し、ティーカップを取って一口――と、もはや連続アクションのようだ。


 不思議なことに、始めた頃と比べれば大分マシになっている。まだ完璧じゃないが、リディアは「最初に比べて格段に洗練されてまいりましたわ」と誉めてくれる。

 誉められると、やはり少し嬉しい。苦労が実っている証拠だ。

 (よし、もうひと踏ん張りだ!)


 それでも、足を開きたい衝動や、がに股で休みたい欲求は何度も湧く。「足を組んだらどんなに楽だろう」「男言葉で一気にまくし立てたら気分晴れるのに」と思うが、頑張って堪える。ここで崩れたら、今までの努力が台無しだ。


 やがて、長いレッスンの終盤、マダム・リディアは深く頷き、

 「エリシア様、これで本日の指導はひとまず終了といたしましょう。お疲れさまでございました。」

 と言ってくれる。その声は、よくできた生徒を讃える教師のように柔らかく、満足げだ。


 わたしは、「ありがとうございますわ、マダム・リディア。本日はいろいろと教えていただき感謝いたします。」と礼儀正しくお辞儀する。

 この一連の動作も、もう自然にこなせるのが怖いくらいだ。マダム・リディアは微笑み、「エリシア様は本当に素直で勘がよろしい。近いうちに、さらなる高度な技術にも挑戦できますわ。またお目にかかる日を楽しみにしております」と言い残す。

 (もっと高度?空でも飛ぶ方法でも教えてくれるのか?冗談は止めてくれ。)


 彼女が退出すると、メイドたちが部屋に戻ってきて、軽く微笑んでくれる。

 「お嬢様、大変お疲れでございました。素晴らしいご様子でしたわ。」

 マリエとセシルはうれしそうだ。二人の温かい視線を受けて、わたしは疲れた足を少し動かしながら深く息を吐く。

 「ありがとう……頑張った……ですわ。」

 最後に語尾を整える余裕すらある。もうだいぶ染みついている。


 部屋には清涼なハーブ水が用意される。わたしは指先でカップをつまむように持ち上げ(もはや自然だ)、一口含む。さっきまでの苦労が嘘のように、今は少し解放感がある。

 「はぁ…ようやく終わりましたわね。」

 誰もいなければ「終わったぜ!」と叫びたいが、メイドたちがいるし、もう男言葉を出す気もしない。癖で上品にまとめる自分に苦笑する。


 頭の中で振り返る。

 ・扇子を静かに開閉する極意

 ・手袋を優雅に外してはめ直す技術

 ・ティーカップの持ち方や注ぎ方の精密なマナー

 ・椅子から立ち上がる時、歩く時、視線の置き方、全てが計算づく


 これらをこなす自分がいる。嫌だ嫌だと思っていたが、すこし楽しくなってきた部分もある。前世の社会では、礼儀作法はそこまで厳しくなかったが、ここでは必須のスキル。そして将来、社会を改善して自由を手に入れたとき、このスキルは何かしら役立つはずだ。

 たとえば、意に沿わない殿方が近づいてきても、上品な所作でやんわり追い払えるかもしれない。交渉相手を上手く誘導できるかもしれない。戦わずして勝つ、みたいな感じか。


 ただし、疲れは本物だ。足に力が入らないし、表情筋もピクピクする気がする。できればこのまま部屋でゆっくり横になりたい。メイドたちは「本日はもうご用事はございませんので、お部屋でお休みなさいませ。」と優しく告げてくれる。さすがわかってる。


 「ありがとう、そうさせていただくわ。」と上品に返し、わたしは立ち上がる。あ、立ち上がる時も羽のような軽やかさを忘れずに……。もう癖になってしまいそうだ。気を抜くと「よっこらしょ」と言いそうになるが、ぐっと堪える。


 その後、お風呂にも入ってから、ベッドに戻り、ふかふかのシーツに沈み込むと、安堵のため息が漏れそうになる。が、もうメイドたちは気配を消して退出してくれたようだ。室内は静寂に包まれ、薄いカーテンから柔らかな光が差し込んでいる。

 「ふう……終わった。」

 ここでようやく、男言葉ではないが、何も飾らずに一言漏らす。もう誰もいない。このくらいなら許されるだろう。


 今日も疲れたけれど、この疲労は昨日よりも「手応え」がある。わたしは間違いなく上手くなっているし、必要ならさらなる高度なマナーも習得できると確信できた。この体も、頭も人より優秀なのだろうか。前世の自分よりも賢いと感じる。

 前世で男として生きていた頃、自分は仕事やスキルアップに苦労した。でもここでは別の形でスキルアップしているわけだ。実際、社交のルールを覚えれば、自分が他者から無下に扱われることは減るはず。名家の娘としての影響力も増す。

 そして、影響力があれば、みんな(特に私)が少し自由になれるような制度改革に力を注げるかもしれない。いまは夢物語だが、希望は消えていない。


 軽く足を組みたい衝動が、もうあまり強くないことに気づく。慣れって怖いなと思いながらも、「まあ、習慣を身につけたところで、捨てるのも自由」と心でつぶやく。将来、自由を手にすれば、今身につけた女らしい所作を使おうが使うまいが私次第だ。

 そこまで辿り着くまで、あと何年かかるかわからない。でも、こうした日々が積み重なれば、必ず何かの形で結果が出るはず。


 「今日も頑張ったわたし、偉い。」

 自分を褒めながら、わたしは目を閉じる。レッスンは終わったばかりだが、あとでまた何か別の課題があるかもしれないし、油断はできない。

 でも、今はほんの少し休んでいいだろう。ふわりとした布団に包まれ、薄暗い部屋で静かに思いを巡らせる。ティーカップ、扇子、手袋、殿方の話、一つ一つが重かったが、乗り越えた分、自分も強くなっている。


 この世界で羽ばたくために必要なことは多い。社会改善の芽は、心の中でまだ眠っているだけでなく、少しずつ成長している。優雅な仕草は、単なる我慢の産物ではなく、将来への布石だ。

 「いつか本当に自由になって、こんな難儀なレッスンに頼らずとも、人が生きやすい仕組みを作れたら……」

 そんな夢を抱きつつ、わたしはもう一度深呼吸する。


 窓の外では、小鳥が軽くさえずっている。昨日と同じような平和な音色だけれど、わたしは違う景色を見ている。変わるのは、わたし自身だ。礼儀作法を極めて、内心でどれだけ「まじかよ」と嘆こうと、今は微笑みをたたえて美しく振る舞う。その先にある自由を信じて。


 そんな決意を胸に、わたしはほんの一瞬だけ、口元に微笑を浮かべ、天蓋の向こう側の天井を見上げる。未来がどう転がるかわからないが、少なくとも、わたしは準備を始めている。


 こうして、苦行のような礼儀作法レッスンを終え、わたしは新たなスキルと僅かな自信、そして滲む決意を胸に、また一歩前へ進む。

 次の日々はどうなるか、わからない。それでもこの日の終わりには、わたしは心の中で小さくガッツポーズを決めていた。

 「よし、やってやる!」

 そう、声には出さず、こっそり男言葉で自分を鼓舞して、静かに目を閉じるのだった。


厳しい特訓を経て、異世界貴族令嬢としての「レベル」を上げたエリシア。もうこれで、どんな敵(?)も怖くない!

そんなエリシアに、早速、修行の成果を発揮するチャンスが訪れた。この家で、小さな庭園パーティーを催すらしい。

もう大丈夫、女の子同士の会話もなんとかなったし、今では、所作もバッチリだ。しかし、今回は、なんと男性も来るという。

エリシアに、ちょっと遅め(概ね1人生ほど)のモテ期が到来する!


次回、第9話「外面バッチリ、内心ゲンナリ…うれしくないモテ期に苦笑い」

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