表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

風待月の空に、星のホタルは瞬いて

作者: 逢乃 雫

青葉時雨の


あとの浮雲は白く



まるで季節を


せせらぐ川のように



ゆるやかに流れゆく


青水無月の空の下



道にたたずむ


鏡草(かがみぐさ)の小さな花は



蛍の光のように


心の鏡を


やさしく照らして


 


歩む道のその先を


鮮やかに彩る



ブーゲンビリアは


情熱の色をして



心の水面(みなも)


太陽を反射しながら



紅鏡が染めゆく


コクリコ色の


地平線を見つめて




風待月の空に


星は情熱を宿して



春星たちを


追いかけるように



南の空に


浮かび上がる


スカーレットの星



真紅の光で


雲を貫くように



アンタレスは


(そら)と瞳を焦がして




風待月の空に


星のホタルは瞬いて



遥かな大地と


寄り添うように



天の川のほとりで


宙の風に舞う



蛍星(ほたるぼし)は夏へと


ゆるやかに


導くように瞬いて




六百光年の彼方


果てしない銀河から



真っ直ぐに注がれる


まなざしのような



アンタレスが


届ける光がそこに



今日を流れゆく


日常という空の下で



あの紅き星のように


夢という光を


見つめられたら



そして


胸を焦がすもの


叶えたいと願うもの



その一つひとつを


大切にしながら



心にあたたかさを


心に煌めきを


感じるその瞬間に



一つでも多く


出逢えるように


信じて歩みながら



夜空に星々の


光があるように



時に風は凪いでも


また吹き始めて


雲を流していくように




青葉時雨の


あとを流れゆく



宙の風に舞う


ホタルのように



大地をやわらかに


照らす星々の


光を瞳に宿しながら




風待月の夜空に


星のホタルは、瞬いて


























黄道十二星座の一つ、さそり座は、6月頃から南の低い夜空に浮かび、その中心に紅い一等星のアンタレス(「火星に対抗するもの」の意味)が輝きます。


さそりの尾の位置の星々は、「蛍星ほたるぼし」とも呼ばれ、6月頃が見頃とされるホタルのように、天の川のほとりにあります。紅鏡こうきょうは、太陽です。


青水無月あおみなづき風待月かぜまちづきは6月のことです。鏡草かがみぐさは、小さな黄色い花を咲かせるカタバミのことで、その葉は鏡を磨くために用いられ、花言葉は「輝く心」です。赤や紫の鮮やかな花が咲くブーゲンビリアの花言葉は「情熱」です。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 青と紅の対照が綺麗だなと思いながら拝読しておりました。 もう蛍の季節がとうにやって来たのだと実感しました。
[良い点] 花と星とホタルの輝き、光を、心情で紡いだ美しい詩でありますね。 途中に出てくる「心の鏡」という言葉がありますが、私にとっては自分の詩が心を映す鏡となっております。 素敵な詩を有難うござい…
[一言] 胸に秘める夢は紅い星のように情熱的に輝いているのかも。 星と夢は確かに似ているのかも知れません。 そう考えると、行き交う人々の心にもそれぞれ星が輝いているのかも、そんな風に考えると素敵ですね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ