風待月の空に、星のホタルは瞬いて
青葉時雨の
あとの浮雲は白く
まるで季節を
せせらぐ川のように
ゆるやかに流れゆく
青水無月の空の下
道にたたずむ
鏡草の小さな花は
蛍の光のように
心の鏡を
やさしく照らして
歩む道のその先を
鮮やかに彩る
ブーゲンビリアは
情熱の色をして
心の水面に
太陽を反射しながら
紅鏡が染めゆく
コクリコ色の
地平線を見つめて
風待月の空に
星は情熱を宿して
春星たちを
追いかけるように
南の空に
浮かび上がる
スカーレットの星
真紅の光で
雲を貫くように
アンタレスは
宙と瞳を焦がして
風待月の空に
星のホタルは瞬いて
遥かな大地と
寄り添うように
天の川のほとりで
宙の風に舞う
蛍星は夏へと
ゆるやかに
導くように瞬いて
六百光年の彼方
果てしない銀河から
真っ直ぐに注がれる
まなざしのような
アンタレスが
届ける光がそこに
今日を流れゆく
日常という空の下で
あの紅き星のように
夢という光を
見つめられたら
そして
胸を焦がすもの
叶えたいと願うもの
その一つひとつを
大切にしながら
心にあたたかさを
心に煌めきを
感じるその瞬間に
一つでも多く
出逢えるように
信じて歩みながら
夜空に星々の
光があるように
時に風は凪いでも
また吹き始めて
雲を流していくように
青葉時雨の
あとを流れゆく
宙の風に舞う
ホタルのように
大地をやわらかに
照らす星々の
光を瞳に宿しながら
風待月の夜空に
星のホタルは、瞬いて
黄道十二星座の一つ、さそり座は、6月頃から南の低い夜空に浮かび、その中心に紅い一等星のアンタレス(「火星に対抗するもの」の意味)が輝きます。
さそりの尾の位置の星々は、「蛍星」とも呼ばれ、6月頃が見頃とされるホタルのように、天の川のほとりにあります。紅鏡は、太陽です。
青水無月、風待月は6月のことです。鏡草は、小さな黄色い花を咲かせるカタバミのことで、その葉は鏡を磨くために用いられ、花言葉は「輝く心」です。赤や紫の鮮やかな花が咲くブーゲンビリアの花言葉は「情熱」です。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。