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世の凡ゆる職業には必要なスキルがある

営業のコミュ力、スポーツ選手の身体能力、政治家の説得力etc..


では暴力団員に必要なスキルは何だろう

戦闘力?厳つい見た目?犯罪への抵抗力の低さ?


俺は 演技力 だと思う



組が経営する薄暗いラウンジの床に座った金髪にピアス塗れ(文字通り両耳だけでなく顔面にも穴を開けたくっている)のチンピラを恫喝している俺の舎弟を見ながらそんなことを考える


「てめぇが連れてきた受け子の始末をてめぇが付けるのは当たり前だろうがぁ!!!」  ドゴォ!

「すいません!すいません!勘弁してください!」


我々の業界で言う 詰める 行為を続ける舎弟

これは周りで見ているその他大勢のチンピラへの教育でもある。"詰める"は"追い詰める"から来てるのかなぁなんて思いつつも俺は機嫌の悪そうな顔を演じる。


「勘弁すんのは逃げたバカの持っていった金を手前が耳揃えて用意してからだろうがっ!!早くしろっ!」バキッ

「ゔぅっ、、すいまぜん!ずいまぜん!」

口や鼻から血を溢れさせながら謝るチンピラ


そんなに殴ってたら金策も何もないだろうに、と思いつつタバコに火をつけ周囲を軽く睨みつける。


こんなチンピラにもツレや慕っている後輩が居て、そいつらは一様に怯えた顔をしながら直立不動で立っている。

結局、不良になって何かに反抗した気になって偉そうにしていても更に悪どい人間や組織に搾取されるだけ

世の中はどこまで行っても不平等であり、楽な生き方など無いのだ。

立場の差、金力の差、力の差 全てをひっくり返す暴力などはこの世には存在せず どんなに腕っ節が強くても3人4人に囲まれたらヘビー級のボクサーや相撲取りくらいのフィジカルと努力をしなければ絶対に勝つことはない

よく3対1で勝った 等の武勇伝を聞くが9割の嘘を除く殆どは相手にやる気が無いことが主な理由で、それ以外は相手の不意をついたか、武器を持っていたか等だろう


お前たちは色々と選択を間違えたんだよ、認めないだけで


かくいう俺もこの道に入り、何度後悔したことか

示威行為の為だけの暴力や使い走り、酒や無茶振り、地元じゃ1番のヤンキーでも組に入れば小間使いからやり直し

だ。ここまでくるのに苦渋を舐めて吐いてそのゲロをまた飲み直した。


薬に女、流行りの犯罪を一通り齧った俺に運気が回ってきたのは、後に俺と五分の兄弟分(相棒)になった椎名と詐欺グループを作った辺りからか

資金が潤沢になり他のシノギに回せるようになり、頭が回り狡猾な椎名の立ち回りの巧さで兄貴連中達からの茶々も回避しながら金の力で座布団(ヤクザでいう役職)も貰えた。

兄貴連中の前では人懐っこそうな笑顔を見せ、下の連中といる時は残忍で凶悪な表情を浮かべる椎名を見て、俺も演じることの大切さを少し学んだ。



多少、頭が回る乱暴者の俺がここまで来られたのもあいつのおかげだろう。多少は人望がある俺が矢面に立ってあいつはその後ろで糸を引くそれで上手く行く これからもそうなんだろう。色白の細面に陰険さが滲み出た細い目オールバックの黒髪、銀縁のメガネの椎名の顔が浮かぶ

女にも容赦しない所と弱いものいじめが好き過ぎる所は戴けないが、治るものじゃ無いだろう。この後も会いたくも無いが打ち合わせがてらあいつと一杯やる予定だ。



「兄貴、こんくらいでよろしいでしょうか」



物思いに耽っていたら教育が終わったらしい舎弟が、興奮した顔で聞いてくる 金髪ピアスは半殺しになっている

やり過ぎだろ機嫌悪いのか?、まあ良いか後に引く怪我は無さそうだしな


「、、おう」


威厳を感じさせる様な雰囲気で返事をして席を立つ、周りのクソガキ共が一斉に並び俺を見送る



本当にくだらねえ、来世があるなら高校にちゃんと行って部活とか頑張って青春して大学行ってよくわかんねえけどスーツ着てそれなりの仕事して狭い部屋でそれなりの女とでけえ犬でも飼って生きていきてえなぁ


なんてほろ酔いの頭で考えながら、ゲロ臭い路地裏を歩く

「、、兄貴」

剣呑な舎弟の声に気をやると、前から風体の怪しいチンピラが5人ほどこちら目がけて歩いてくる

明らかに俺達に目掛けてきているのを感じ、一気に戦闘モードに脳みそを切り替える

「俺が先に行く、タイミング見て逃げ、グサッ、、おい、何でお前が」俺の脇腹に刺さるナイフ

それを握った舎弟の顔は歪んでいる

「すいまぜん!!!椎名さんには逆らえないです!!妹攫われちまって!!ずいまぜん兄ぎぃ」


そんなに泣くくらいならやるなよと思いつつ、舎弟の顔面に右フックを叩き込む

吹き飛んだ舎弟と後ろから聞こえる、先程のチンピラ達の駆け寄る音

「ぁあぁあああああああああああああああ!!痛っであああああああくたばれくそがあああああ」


なんで椎名が?邪魔になったのか?自分が上に立ちたかった?、、違う あいつはクズだ 俺が相棒なんて言ってる度に面白がってたのか?信用はしてなかった でもお互いに利用し合って上手く行ってたろなんでだ?いやわかんねえ取り敢えず腹が痛え!


脇腹から零れ落ちる血液の量を見てこれ死んだだろ、と思いつつもどうせならとチンピラ達をシコタマ殴る

右から左から鈍器で頭を殴られ、訳が分からないながらも「オラァ」目の前に不意に見える「バキッ」汚い顔面を取り敢えずドツく、ドツく「ドゴォ」ドツク、殴る叩く頭突き「ガンッ」蹴る転げる起き上がる殴る「バシィ」蹴られるどつく、にやつく椎名の顔が浮かぶ



あいつ絶対ぶっ殺してやる




バキッ、、ドゴォ、、、ガッ、、バキッバキッ


「おい!もう死んだだろ!いってえ、散々暴れやがって!!、、!?、、、消えた?おい!!死体が消えたぞ!訳わかんねえ!!」

「いでぇ、、なんだよこの変な模様」


「お前達っ!なにやってんだ!動くなっ」



...







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