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愛なんていらねえよ

王立ランディス学園高等部。

ある日、エントランスホールの掲示板にこんなものが貼ってあった。



急募!!

契約結婚してくださる方!

当方貧乏子爵位の三女。

求める条件はただ一つ→養ってくれる方


好きな人がいるけど家の事情で結婚出来ないという方!

容姿に自信が無く結婚出来る気がしませんという方!

女性が苦手だけど結婚はしないといけないという方!

様々な事情を抱えるそこのあなた!

諦めないで!!

どうぞ当方にお任せください!

干渉しません!愛なんて望みません!

贅沢しません!生活費は最低限でOK!


あれ、俺養っちゃおっかなーって思ったそこのあなた!

形ばかりの婚約から始めてみませんか?


是非1-3サラサ・アルムまでお問い合わせください



な・・・なんっなんだこれは!

登校してきた生徒会長クリス・バーデンは掲示板を囲うガラスケースに張り付いた。鼻息で曇って前が見えない。

乱暴に鍵を開け、掲示物を引き剥がしその内容に目を剥いた。


なんだこの阿呆な内容は!

学園で契約結婚を募るとは一体どんな了見なんだ。

クリスは掲示物を握りしめ1-3の教室に向かった。


教室の横開きの扉を勢いよく開ける。


「サラサ・アルムはいるか!」


サラサどころか教室は無人だった。

クリスは忘れていた。

生徒会長に就任した時に会長であるうちは一番に登校しようと自分の中で誓ったことを。

そう、クリスはドがつくほどの真面目であった。

クリスは1-3の教室前廊下で待機することにした。

おはようございます、と挨拶が済めば皆そそくさと教室に入りヒソヒソした。


「なんで会長いるの?」

「てか、いつからいるの?」

「なんか握りしめてるけど手がプルプル震えてて怖い」


教室内がざわ・・・ざわ・・・し始め、そろそろ予鈴が鳴るか?という頃クリスはもう一度ドアを・・・は開いてたので、そのまま教壇まで歩き


「サラサ・アルムはいるか!」


と、教壇をバンと叩いた。なんか気持ちよかった。


「・・・会長、アルムさんは予鈴が鳴り終わる寸前に滑りこんできます。あ、いつもです」

「・・・・・・そ、そうか。では一限が終わったらまた来る」


せっかく気持ちよかったのに台無しである。



一限後---


「サラサ・アルムはいるか!」


ドアはバーンと勢いよく開けた。


「はーい」


と挙手したのは髪を耳の下で二つ結わえた眠そうな顔をした女だった。

クリスはズカズカと歩きサラサの前に『契約結婚』の掲示物を突きつけた。


「なんなんだ!これは!」

「あら、養ってくれますの?」

「違う!まず一つ目、生徒会の承認印が無いものは掲示物として認められない。二つ目掲示板のガラスケースには鍵がかかっていたのに何故貼ることが出来たのか。最後に、なんっなんだ!この阿呆な内容は!」

「ガラスケースは簡単にヘアピンで開きましたし、生徒会の承認がいるとは知りませんでした。あと、内容ですがどのへんが駄目でしょうか?絵でも描けば人目を引きますかね?」

と、サラサはふむふむと顎に手を当て自分で作った掲示物を見た。


「・・・~っ、放課後生徒会室に来い!」

「無理です。用事あるんで」

「おっ、お前は自分の立場がわかっているのか?」

「あ、承認印くれるんですか?昼休憩でもいいですか?」


ここで鐘が鳴りファーストバトルは圧倒的サラサの優勢で終わった。


生徒会長クリスの受難の幕開けであった。


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