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想いを手紙に乗せて

作者: 蒼青葵

初投稿です。

見苦しい部分もあるかとはありますが最後までお読み戴けますと幸いです。

放課後の図書館の入り口。すれ違う一組の男女。それは意図したものであったのか、女子生徒の手から一切れの紙が落ちる。男子生徒はそれを予期していたかの如く流れるような動作でそれを拾い、女子生徒に返す事なくそのままポケットに入れる。


決して男子生徒が盗みを働いたわけではない。男子生徒と女子生徒の立場が入れ替わることはあるが、この光景は恐らく他の誰も知らないであろう日常であった。



この日の夜。男子生徒の自室。彼の机に向かい、その日使った教科書やノート等を広げる。その中には今日の放課後彼が拾ったそれが含まれていた。


女子生徒が落とし、男子生徒が拾った紙。それは一通の手紙であった。丁寧に折られたその手紙を彼は破かないようゆっくりと開ける。


お洒落なメモ帳に、丸みのある綺麗な字で「この週末で海行ってきた!」「宿題が全然終わらない!」等、女子生徒の他愛もない日常がそこには書かれていた。


彼らは学校では決して話さない。放課後の図書館は密会場所であったのだ。だからといって彼らは付き合っている訳ではない。


こんなことを一年も続けているのである。少なくとも互いに憎からずは思っているであろう。しかし彼らは「ただの友達」として接しているのだ。


手紙を一通り読み終え、机の引出しに入っていた、手の拳程の大きさで、これまでの手紙で一杯になったケースに押し込み、他の誰にも見られないように、再びその引出しに鍵を掛ける。


そして彼は筆箱から柄の入ったメモ帳を取り出す。筆を取ってから5分程経っただろうか。彼はシャーペンを静かに置くとそのメモ帳を一枚切り離し丁寧に織り込む。そうして出来た新たな手紙を筆箱の中にシャーペンや消しゴムと一緒に入れ、部屋の電気を消す。



翌日。隣のクラスである二人は休み時間に偶然すれ違う。人の溢れる休み時間の廊下。少しぐらい話していても誰も気に止めないであろう。しかし互いに相手には一瞥さえもくれない。しかしまたこれも彼らの日常なのである。



そして放課後の図書館。一組の男女がすれ違う──


拙い文章ではありましたが、最後までお読み下さりありがとうございました。

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