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第1章 初めまして


 ふと目を覚ますと、さっきまでいた森と違い、何もない真っ白な空間に僕とユリは立っていた。 

 隣にいたユリと顔を見合わせ、首を傾げるとそのまま周りを見渡し、その場に座り込む。


「…え、さっきまでのって夢?」

「…いや、え?…全く同じ夢なら見た事あるけど、あそこまでリアルなのはないよ」


 さっきまで森にいて、異世界に行けたとワクワクしたと思ったら大きなヒヨコと狼に襲われかけ、シーバルに助けてもらい、精霊と出会い…、その全てが夢だとは思いたくなかった。




「そうだよ。あれは夢じゃなく、本当のことだよ」



 急に僕達以外の声がどこからか聞こえてきたと思ったら、いつの間にか真っ白な空間が変わっていた。


 上は鮮やかな晴れ渡る青い空に白い雲。下は瑞々しい草原にぽつぽつと小さな花が咲いている。床に座っていた僕達はいつの間にか白い椅子に座り、目の前には白い丸いテーブルの上に暖かそうな緑茶が置かれている。

 そして隣り合っている僕達の真正面にはこれまでの知識からすると多分神様であろう人?が座っていた。


 シーバルと似たような色合いの青銀色がかった白髪は頭頂部で緩い団子上にしてあるがそれでも地面に着くほど長く、丸くぱっちりした瞳もシーバルと同じ金色。

見た目は僕達よりも下、小学校の高学年くらいで、顔立ちもシンメトリーでそれこそ人外の美しさもあるのにどこか子供っぽいあどけなさと柔らかさが残る穏やかな表情。でも雰囲気はまるで老成しているような感じでなんともちぐはぐな感じ。



 そんな多分神様は急に真顔になったと思うと、勢いよく頭を下げてきた。



「裕璃人、瑠璃人。今回の件、本当に申し訳ない。…二人はもう察しているが、僕があのアーシラスの世界の神の一人、ビエールイだ。あちらに行ってもうすぐに説明できず、急遽僕の使いのシーバルを迎えに行かせたが魔獣に襲われかけていたと聞き、こうして直接こちらに呼ばせてもらったんだ」

「いやいやいや!!ちょ、神様が頭下げないでください?!」

「あ、あの、頭を上げてください!!神様の所為ではないですから!!」

「…いや、こればかりはあの阿呆を止められなかった僕達神の責任でもある。本当に申し訳ない」



 その後謝罪を受けとり、何とか頭を下げるのだけは辞めてもらった。

 そしていくつか説明をしてもらった。


 まず、本来何もなければあのまま地球で生きることも出来たが、今回の件で消滅しかかったこともあり、僕達の魂が傷つき、運命も変わってしまったため、地球の外で保護した僕達を地球に戻そうとするとその衝撃で魂が壊れてしまう可能性が高かった。魂が壊れるということは死ぬ、存在がいなくなると同じであって、永遠に消え去ってしまう。


 そのため今回僕達はあまりのとばっちりでもあり、本来なら役割を持った人しか出来ない転生を急遽魂の治癒目的という形でこの世界へ送り込んだということ。


 基本的には何もしなくても何十年、何百年と時間をかけることでゆっくりとこの世界で魂を癒していくことが出来る。


 でもこの世界に入ったことで新たな問題が発生した。

 それがこの家名と能力。本来ならある程度不自由のない身分でこの世界で生活している人で双子等の条件に当てはまった人に憑依という形を考えていたが、今回やらかした低級神の対応に追われ、その条件に当てはまった人の来歴を読み込むことなく入れてしまった。

 その結果この世界ではそこそこ大変な身分となってしまったらしい。



「そういう訳で阿呆によって消滅しかかっただけでなく、現在の二人の体の人も色々厄介で、そんな大変な人にしてしまったのも本当に申し訳ないんだ」

「んー、この元々の人の記憶とかって分からないのか?」


 ちなみに話しやすい話し方でいいと神様に言われたため、ユリは普通に話している。僕は家族以外には基本敬語を外すことはなく、慣れていないこともあってそのまま話させてもらっている。さらに言えば名前で呼んでほしいと言われたのでさん付けではあるけれど、名前で呼ばせてもらうこととなった。



「記憶は、…正直思い出すことも出来るけれど、あまりいいものではないんだ。だから消させてもらったよ。ただ簡単にこれまでどういう生き方をしていたかは、うん。知ってもいいかもね。


 まず二人はアオーリオという家に双子の兄弟として生まれた。ただアオーリオはこの世界で大昔に潰された幻の一族の国名であり、家名であり、特殊な力を持つとされている一族だったんだ。この世界の歴史とかはまた入れておいてあげるから今は説明は省くよ。そんな家だったから生きていることを悟らせないように生活をしていた。アオーリオの一族は見た目で言えば、闇のような暗い、濃い色の髪と瞳を持つだけの一見普通の一族だった。しかし生まれてきた双子はアオーリオの血を濃く受け継いだ、二人のいた世界でいう先祖返りの状態で産まれてきた。他の親族と同じような闇のような黒髪、黒目であったが、双子が生まれたのは満月の夜で月の光を浴びると闇のような黒髪は白銀色へ、黒目は金色と変わっていった。その一族に伝わっていた歴史では祖先は皆、夜になると月の光のような白銀色の髪に月のような金色の瞳を持つ神、セイアッドと同じ姿になると言われていた。そのため双子は生まれてすぐに毎日を家の中でしか暮らせないように閉じ込められた。万が一夜に外に出てその姿を見られてしまえば、一目でアオーリオの一族とバレてしまう恐れがあったからだ。」








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