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第1章 最初の食事

「フラグを乱立するのはよくないけど、こうして人に傷つけられてる精霊を見て見て見ぬふりは出来ないよな」

「うん。…ユリは出来ないの?」



 ふと僕がスキルを使って瘴気を払えたならユリも払えるんじゃないかと思って聞いてみると少し困ったような顔をした。


「いや、さっきやってみたんだけど、ルリほど綺麗に浄化は出来なかった。えっと、真っ黒だったのがルリなら白になるけど、俺は灰色程度にしかならない感じ。何度かスキルを使えば瘴気は払えるけど、一回使用しただけだと払えない感じだった」

「そうなんだ。…やっぱりこのスキルは出来るだけ人目に付くところでは使わない方がよさそうだね」

「そうだな。…それよりそろそろ食事にする?ほら大分暗くなってきたし」

「うん。…何食べる?色々『収納』に入れたから何でも食べれるよ」

「うーん、米は食べたいよな。でも焚けないし」

「そうだね、ご飯食べたいよね。…鍋とかあればいいんだけど」



 さっきみたいに想像すれば出てこないか少し期待をしながら想像してみる。

 キッチンのシンク下にしまってある小さめの鍋と蓋。それから食器棚に入れてあるお茶碗を2つ。それをここに取り出して、……。



ポンという軽快なポップ音とともに脳内に表示が出てきた。

――――――――――

以下のスキルを習得しました。

『収納(キッチン引き出し)』

『収納(食器棚)』

――――――――――



 スキルを獲得するとこうやって脳内に表示をされるため何のスキルが習得できたかが分かるようになっている。


 目を開けると家でいつも使っている持ち手が少しぐらつく鍋と蓋に僕たちがいつも使っているお茶碗が地面に出ていた。



「…ルリ、これ家のじゃない?!…またなんかスキル使った?」

「うん。家の鍋とお茶碗を取り出すイメージをしたら出てきた。スキルオープン。…こんな感じでスキルも新しく出来たんだ」

「…ほんとになんでもありだな…。チートってこんな感じだっけ?」

「あ、でも火がない」


 取り合えず『収納』から米を取り、鍋に入れて、鮭を上に乗せる。

 水は……泉って料理とかにも使っていいのかな?


 そう思うとポンと軽快な音とともに目の前に表示が出てきた。

――

場所:リューティ湖

別名:清浄の泉

一切の汚れがなく、美しい気に満ち溢れている泉。

この泉の水を使えばどんな病気や怪我も治せる。

但し、魔力濃度がかなり濃い為、常人は此処へ近づくとどんどん気分が悪くなり、気を失う。

料理にも使用できるが、魔力量が少ない者が飲むと気を失うこともある。


――


 …『鑑定』を使って泉を鑑定した形になった。…料理にも使えるなら…まぁ、いいか。



 火はどうしようかな。…ん?



 鍋に泉から水を入れて蓋を閉めて、火をどうしようかと思うとさっき浄化した赤い精霊が身振りで何かをしてくれようとしているのが分かった。


「…もしかして火をつけてくれます?」


 そうやって聞くと表情は変わらないけど何となく嬉しそうな感じで激しく首を頷くように振ってくれた。

 それなら燃えやすそうな小枝と太めの枝で鍋を置けるように土台を組んで、鍋を置いて…。


「…この枝に小さめの火をつけてくれます?」

 さっきよりテンションが上がったのか激しく体を震わせるとポンッという音と共にピンポン玉くらいの火の玉を出して枝に当てた。それだけだとあまり燃えなかったのを見てもう2つ同じくらいの火の玉を出して枝に当てるといい感じに枝が燃え始めた。


「…ありがとうございます。…お礼って何をしたらいいかな?」

「…ルリって無自覚にチートな感じになっていくな」

「…え?そう?…あ、分からないから無自覚なんだ。…こうやって精霊に手伝ってもらうのもそう言えばそうだね」

「うん。それでいうと精霊の好きなものというかお礼とかって自分の魔力とかじゃないか?」

「確かに、そうだね。…魔力ってどうやって出すんだろう。…ん?指?出せばいいですか?」


 魔力の出し方なんて分からないと思ったらさっきの赤い精霊がちょいちょいとこう手?指?を出す真似をしたから同じように出すと指先に精霊が来て……。


「…んん?……あ、もしかしてこれが魔力を吸われる感じ…?」


 多分指先から魔力?なのか、なんか変な感じの流れが出ていくような感じがして、多分この流れ的なものが出ていったのが分かって、少しすると精霊が離れて楽しそうにくるくると上を漂い始めた。



「…えっと、お礼はあれでよかったのかな?」

「…いいんじゃない?…俺達もご飯にする?」

「…うん。…あ、ちょうどいいかも。…シーバルさんも食べます?」

「【…いや、お主らだけでよい。お主らに会う前に食事は終えている】」

 

「分かりました。…はい。ユリ」

「ありがと!!じゃ、いただきます!!」

「…いただきます」



 調味料とかはないから本当にシンプルに鮭とご飯で作った雑炊。

 塩鮭だったから思ったより味がしっかりしていて、それでいてお腹に優しい風味になっている。



「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした。…ごちそうさまでした」

「ルリー、それ、貸して。これならスキルで綺麗に出来ると思うから。『清浄』」



 汚れた食器と鍋とかを渡すとそれにスキル『清浄』を使用して服と同じように使用前の綺麗な状態に戻してくれた。さっき『浄化』は他のスキルと比べて僕と同じように使えなかったのが少し悔しかったみたい。


 でも、こうやって双子でもスキルの使用に関して差が出てくるってそれこそテンプレかなと思ったのはユリがそう思うまでは内緒かな。きっとすぐにユリなら気が付きそうだし。



「ありがと、ユリ。…この後どうする?」

「んー、…ふぁああ。……やべ、急に眠くなってきた」

「…ふぁああ、……んん、ぼ、くも何だか眠く…」


 ご飯も食べ終わり、大分周りも暗くなってきたためどうするかユリに相談しようとすると、何故か急激に眠気が襲ってきた。強烈な眠気に抗えず、ぼんやりとシーバルが近くに来るのが見えたが、そのまま視界は暗くなっていった。




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