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第一章 新たな狼との遭遇

攻撃されると思い、目を瞑ったが急に違う音、いや轟音が森中に響き渡った。それとともに


「ギャウン!!」   


という生物のうめき声が聞こえた。

 

「「……え?」」



 ゆっくり目を開けるとそこにはまた別の種類らしき狼と遠くの方で倒れている先ほどまで僕たちに襲い掛かろうとしていた狼がいた。


 目の前の狼はさっきの狼とは違う白に薄っすら煌く毛並みで何より大きさがさっきの狼の一回り大きな狼だった。


 狼は倒した僕たちを襲おうとしていた狼に見向きもせず、僕たちに向き合い、その鋭い双眸を向けてきた。


「【……お主らがアレの言っていたテンセイシャとやらか】」


「…へ」

「…しゃべ、った?」


「【その様子ではアレから何も聞いてない様子だな。まったく何を考えているのだ。…取り合えず付いてこい。何も分からぬのだろう】」


 鋭い双眸を向けてくる狼からそこそこ渋めのいい声で話し(こう、脳内に直接入ってくるような感じ?)かけられ、正直もう頭もお腹もいっぱいいっぱいだ。

 でもこの狼は先ほどの狼と違って殺意はなさそうだし、何より何か僕らのことを知っている感じだ。

 隣にいるユリは先ほどと打って変わって目をキラキラさせながら近づいている。



「え?言葉が分かる?!すげぇ!!異世界っぽい!!」

「【…元気な童よな。…そっちの童は静かすぎる。…早く付いてこい。置いていくぞ】」

「っ、行きます。行きますよ」


 喋る狼に着いて行くこと体感時間で十分ほど。

 狼がやってきたのは底が見えるほど透き通った大きな湖の畔だった。

 湖の中心にはこの森で一番繁って数多の光が周りに漂っている大樹が堂々と生えている。



「うわぁ!!何あの木!!めっちゃデカいし、何より綺麗!!」

「…うん。凄い綺麗。……あれ?そう言えばさっきの狼が前足を振った時にもあのキラキラみたいなのがなかった?」

「…あ、そう言えばなんかキラキラしてたな」



「【お主たちにはあれがきらきらして見えているのか?】」

「え、あ、うん。え、キラキラ以外に何て言えばいいんだ?」

「…キラキラとしか言いようがないです」


 目の前の大樹に群がる光の粒。昔テレビで見た蛍の光のよう。

 だけどその光はうっすらと赤や青、黄色に紫等色んな光が交じり合ったような虹色っぽい感じでもあり、この世界に無い蛍で表現をするのも難しい。後思いつくのはイルミネーションのLEDの光だけど、それよりも温かみもあり、自由自在に動いている。

 それをどう説明すればいいかよく分からずユリと顔を見合わせ、首を捻る。


「【いや、そもそもアレを見れる人間が数少ない。アレは精霊や精霊の成りかけだ。お主らが見たのはアイスウルフが攻撃をしたときであろう。その時であればアイスウルフが固有魔法を操っていただろうからな】」


 精霊?……固有魔法、魔法?!


「精霊?!うわっ!!魔法だって、ルリ!!」

「っ、っ!!え、あれ、精霊?!キラキラにしか見えない!!」


 狼からの精霊と魔法という言葉にユリだけでなく僕もテンションが上がってきた。


 二人で何度もキラキラ光る精霊と呼ばれるものを見ては手を取り合ってはしゃいで、また見てを繰り返している僕らに狼が呆れた声を出してきた。


「【静かだと思っておったが、そっちの童も元気になったの。…イセカイとやらはそんなに気分があがるのか?…ほれ、色々説明をするから静かにするんじゃ】」

「「は、はい!!」」


 慌てて僕とユリが狼の前に座り直した。

 改めて座って狼を見る。

 大きさは僕らよりも大きく、元の世界でいうライオンよりも一回り程大きそう。そのしなやかな体を覆う白い毛並みはさっきより近くで見たからか薄っすら青銀色がかっていてそれがきらきらと光を浴びて輝いている。鋭い双眸は金色で大きな口は僕らをすぐにでも噛み殺せそうだけど、その瞳がしっかり知性が宿っていると分かるから最初に遭った時からあまり怖くはないのだと気づいた。


「あ、そう言えば、名前聞いてなかったよな?」

「【あぁ、名前か。我はシルヴァスウルフのシーバル。お主らは何という?】」

「俺は御影裕璃人、あ、逆でユリト・ミカゲだな。こっちのステータスではユエリア・アオーリオってなってる」

「僕はルリト・ミカゲです。こっちではルナリア・アオーリオといいます」

「【ふむ、あのアオーリオ家の血族となっておるのか。…しかもその名前か。…まぁ、よい。まずは何も知らないということはここがどのような世界かも知らぬのだな】」



 シーバルさんの言葉に僕らは同時に頷くと説明を始めてくれた。


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