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第19話 きっと大丈夫

皆さんこんばんは、星月夢夜です。

最近めっきり寒くなりました。

この時期は、洗濯物がまだ濡れているのか

ただ冷たいのかよく分かりません。


では、本編スタートです。

 レインがカイの部屋で歌詞作成に勤しんでいた頃、レンは1人、エルグレットの部屋の前にいた。少し緊張した面持ちを浮かべ、レンは目の前の扉をノックする。少しして、扉が開きエルグレットが出迎える。


「おやレンくん。どうかしましたか?」


エルグレットの呼びかけに、レンはいつもよりも少しだけ声を細めて答える。


「先生に、ご相談があるんです」


そんないつもと違ったレンの様子に何かを感じ取ったエルグレットは、レンを自室へと招き入れる。真剣な、でもどこか悲しそうなこの時のレンの表情を忘れることはないだろうと、エルグレットはそう思った。



 部屋にレンを招き入れた後、エルグレットはレンをソファに座らせてレンと自分の分のコーヒーを用意した。その間レンはずっと口を閉ざしたままで、何かを考え込むかのように一点を見つめていた。エルグレットはレンの前にコーヒーを入れたカップを置き、そして自身の前にも置いてからレンの向かいに座る。


「……」


エルグレットはレンが自ら話し出すまで待つ気でいた。こちらから何か行動を起こし、焦らすべきではないと直感的にそう思ったのだった。そして数分後、レンがようやく口を開く。


「アカデのことを、止めてくれませんか」


その言葉に、衝撃を受けるエルグレット。レンとアカデとの交流が深い彼にとってはなおさらだろう。


「……どういう意味だい?」


レンの様子がいつもと異なっていた時点で何かよくないことが起きていると、エルグレットは嫌な予感を感じていた。その予感が彼にとって最悪な方向で当たろうとしているのだった。


「昨日、レインに会ったんですよね? そこで、"欠点"に関わる話をしたと」


「えぇ。彼女が僕を訪ねてくれまして。それが……?」


「レインは今、"欠点"を無くす方法を探しています。そしてそれに俺とカナタ、アカデが協力していますが……」


レンはそこで一呼吸おく。


「……レインがこの館に来てからの2日間、アカデの言動がどうもおかしいんです」


そう言いながら、レンが表情を曇らせる。


「と、いうと?」


「アイツはレインに対して、何か尋常ではない思いを抱いている。それに、アイツから妙に嫌な気配がするんです。まるで、アカデではないような……」


それは昨日の夜、レインに話したレンが感じた違和感だった。今自分たちが接しているアカデは本物ではない。そんな気をレンはずっと抱えていた。


「だからかもしれませんが、アイツはレインや俺が"欠点"を無くす方法を見つけることを阻止しようとしている。そんな気までします」


「……」


レンの話を真剣に聞いているエルグレットはその時、昨日のレインからの問いを不意に思い出した。


(僕から見て、アカデくんはどのような人か……)


あの時レインもアカデのことを少なからず疑っていた。自分で見逃した蟠りだったと、今になって少し後悔するエルグレット。


(……これ以上、彼らに亀裂が入るのは)


そう考えたエルグレットは、今度はと迷わずに行動することにした。


「……分かりました。レンくん、ここで待っていてくれますか」


エルグレットの唐突な問いに、レンは少し首を傾げる。


「どちらへ?」


「アカデくんのところです」


今度は驚くレン。


「い、今からですか!?」


対してエルグレットは普段と変わらない笑みを浮かべていた。


「えぇ。アカデくんと、少し話をしてみます」


そう言ってソファから立ち上がり、自身の部屋を後にしようとするエルグレット。その姿を見て、レンも思わず立ち上がった。


「し、しかし先生……」


「僕は」


レンの方へと振り返ることなく、エルグレットはレンを静止する。


「僕は、この館に住む住民全員が"欠点"を無くしたいと思っていると、そう信じています。そして同様に」


エルグレットは覚悟を決めていた。


「僕は、アカデくんのことも信じています」


そして歩き出し、自室を後にするエルグレット。部屋に1人取り残されたレンはソファに座り直し、そのままエルグレットの帰りを待つしかなかったのだった。



 同じ頃、自室で目を覚ましたソウキは眠気まなこを擦りながら辺りを見渡す。


(カナタ、まだ帰ってきてないのか……?)


ソウキとカナタの部屋とレインの部屋は隣同士であるため、何か用事があればすぐに済ませることができる。だが、にも関わらずカナタが戻ってきていないということはレインが部屋に居なかったのでは、と考えるソウキ。


(……)


ソウキはカナタがなぜレインのところへ行ったのかを知らない。大事なこと、とカナタは言っていたがそれがどういう意味を持つのかも分からない。


(けどカナタ、オレと一緒に行こうとしてたよな……)


ソウキは今朝のことを思い出す。珍しく少し慌てた様子で、カナタはソウキのことを起こした。そしてレインのところに行かなくちゃ、とそう言った。


(……なんか、だんだん気になってきた!)


考えるよりもまず行動。ソウキはすぐにベッドから下りると、カナタを探すために自室を出た。



 廊下へと出たソウキは、隣のレインの部屋を迷わずノックする。もしかしたら、居なかったのではなくまだ何かを話しているだけかも。そう考えたソウキだったが、少し待っても応答がない。


(うーん……)


この後のことをどうするか考えていなかったソウキは、レインの部屋の扉の前で頭を悩ます。そんな時、不意にさらに隣のアカデの部屋の扉が目に入った。


(アカデなら何か知ってるかな!)


ソウキは新たな希望を見出し、アカデの部屋の前に駆け寄るとまた迷わず扉をノックする。笑みを浮かべて待っていると、今度は扉が開き中からアカデが顔を見せた。


「おや、今度はソウキかい?」


そう言って少し笑うアカデ。ソウキが首を傾げると、アカデがまた少し笑う。


「少し前にカナタが来たんだよ。今みたいな感じでね」


その言葉にソウキは驚く。


「カナタが来たのか!?」


「来たよ。レインのことを探しているみたいだったけれど」


ソウキがアカデに少し詰め寄る。


「それで、カナタはどこ行ったんだ!?」


ソウキのいつもとは違う気迫に驚くアカデ。


「……食堂に行ったよ? 今もいるかは分からないけど」


「ありがとうアカデ!」


アカデから次なる目的地の情報を得たソウキは、気合いを入れ直し食堂へと向かう。そんなソウキの後ろ姿を見送るアカデは、少し呆気にとられたような表情を浮かべていた。



 食堂前へとやって来たソウキは、ここにカナタがいると信じて扉を開ける。だがしかし、ソウキの期待に反してカナタの姿はなく、代わりに朝食後の後片付けをしているターシャの姿があった。


「ソウキくん。お1人でご飯ですか?」


ターシャがそう優しく声をかけてくれるが、ソウキは大きく首を振る。


「カナタを探してるんだ。ここに来なかった?」


「いいえ。今日は、サミュさんとレインさんしか来ていませんよ」


その言葉にソウキが驚く。


「レインが来たのか!?」


笑みを浮かべるターシャ。


「えぇ。レインさんのことも探しているんですか?」


「うーん……探してる……と、思う。レインがどこ行ったか知ってるか?」


ソウキの問いにターシャが頷く。


「カイさんのところへ行くとおっしゃっていましたよ。行ってみてはいかがですか?」


ソウキは少し悩む。自分はあくまでもカナタのことを探しているのだが、かくいうカナタはレインのことを探している。それならば、レインを見つけることがカナタを見つけることに繋がるのでは。と、ソウキは結論づけた。


「うん! ありがとうターシャ」


ターシャがまた笑みを浮かべる。


「いいえ。お役に立てたのならよかったです」



 そうして、ソウキは食堂を後にする。次なる目的地はカイの部屋。カイの部屋ならばたまにカナタと一緒に行くことがあるため場所は分かる、と意気込んでいたソウキだったが、そんな時ソウキを突如不安が襲った。


(……もし、カナタがいなかったら)


家族であり、兄弟であるカナタの存在が、ソウキの中でどれほど大きなものなのかは言うまでもない。起きる時も、ご飯を食べる時も、本を読む時も、眠る時も一緒にいるカナタがいなくなれば、自分は一体どうすればいいのだろうか。ソウキはそんなことを考えずにはいられなかった。


(……カナタがいない。どこにも)


それはソウキが1番信じたくないこと。


(カナタが、いない!)


気が付くと、ソウキはカイの部屋まで走って向かっていた。何枚もの扉を開け、そしてカイの部屋の扉を勢いよく開けた。



 ソウキの言葉を聞いて、私とカイは反射的に立ち上がる。そしてそのまま、ソウキの元へと駆け寄った。


「カナタがいないって……朝から一緒じゃないのか?」


私がそう聞くと、ソウキが少し首を傾げる。


「朝は一緒だったよ。でも、カナタがレインのところへ行かなくちゃってって言って……」


「私のところに?」


ソウキは頷く。


「なんか、大事なことだって言ってた。会ってないの?」


今日は朝起きてからサミュ、ターシャ、カイ、そして今来たソウキにしか会っていない。カナタは会ったどころか姿すら見ていないな。


「あぁ」


「とりあえず、まずはカナタを探しに行こう。館の中にはいるはずだからな」


カイの提案に私とソウキは頷く。ここで話していてもカナタは見つからない。それならば、やはり行動を起こすべきだな。そうして私とカイは部屋を出て、ソウキと共にカナタを探すことになった。



 一方、自分がソウキたちに探されているとはつゆも知らないカナタは、食堂前で会ったフィーチェに連行されて武器庫の奥にある彼女の部屋へと来ていた。部屋の中は薄暗く、紙や物が散乱している。左奥にベッドがあり、その隣にはそこまで背の高くない棚が壁沿いに並んでいるが、どれも中身はほとんど入れられていない。反対側の壁には武器が飾られており、その下にまるでショーケースのようなタンスが置かれている。


「……」


そんな部屋の真ん中で、部屋の中に2脚あるうちの片方のイスに座っているカナタは、なぜか少し機嫌が良さそうに部屋の中をうろうろするフィーチェをぼーっと眺めていた。フィーチェが常軌を逸す言動ばかりしていることはカナタも承知しており、そのためどうすればこの状況を打開できるかをずっと考えていた。


(フィーチェ、話し相手を探してたみたいだったし、誰か見つけてあげればいいかな)


そう思ったカナタだったがすぐにそれを却下する。


(いや、見つけてあげたとしても、僕も一緒に、な気がする)


わざわざ自分のことを部屋まで連れて来たのだから、他の話し相手を見つけたとしても3人で、になる。そう考えたようだった。


(……あ、そうだ)


そこでカナタは、ある1つの案が浮かぶ。


「……フィーチェ」


相変わらず部屋の中を動き回っているフィーチェを呼ぶカナタ。


「はい! なんですか?」


一方、名前を呼ばれ動きを止めてカナタを見るフィーチェ。


「何か娯楽を探してるなら、ライクのところに行ってみたら?」


「……」


フィーチェが少し大袈裟に首を傾げる。


「この時間ならマジックの練習してるだろうし、見せてくれると思うよ」


「……」


フィーチェが今度は逆側に大袈裟気味に首を傾げた。そして数回目をパチパチとさせた後、急にパッと笑みを浮かべた。


「いいですねそれ! 確かに、久しぶりに見せていただくのも悪くありません!」


そう言って、また部屋の中をうろうろとし始めるフィーチェ。カナタはフィーチェが自分に興味を失ってくれたことに関して、ホッとした気持ちになっていた。


(これで、部屋から出してもらえるかな)


だがカナタがそう思ったのも束の間、ふと辺りを見てみるとすでに部屋の中にフィーチェの姿はなく、物音1つ聞こえなかった。


「……」


やっぱりよく分からない、と思いながらカナタはいつの間にか姿を消したフィーチェの後を追うようにして、フィーチェの部屋を1人出るのであった。フィーチェの言動は、いつも想像を超えてくる。

再度皆さんこんばんは、星月夢夜です。

今回は目まぐるしく場面が変わりましたが

皆さん、目は回っていませんか。


このそれぞれのところでそれぞれが、が好きで

一方その頃、一方その頃をずっと書きたい気持ちです。

館の住民全制覇するのを目標にしておきますね。


それでは、本日もお世話をしてくれている家族と

インスピレーション提供の友達に感謝しつつ

後書きとさせていただきます。

星月夢夜

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