心のA〇フィールド<<<面の皮
「ああ~スランプだわぁ~」
唐突だが、瑞穂はスランプに陥っていた。
唐突な気がするのは、また更新に間が空いちゃったのもある。だが、二ヶ月程なのでセーフである。
この場では……作者がルールブックだ!(※言いたいだけ)
「どっかにいいネタ転がってないもんかねェ……」と続けようとして、瑞穂は口を塞いだ。
またなんか変なのが転がっていたら困る。
実際に困っているのは大蔵であり、瑞穂はむしろなにかとご馳走になったりしてはいるのだが、瑞穂の心のA〇フィールドは存外に厚いのだ。
言ってしまえば瑞穂は、『餌だけ食って卵を産まない雌鳥』である。
ハズレもいいところだ。
鶏と言えば、何故か学校で飼っていることの多い品種、アレは『白色レグホン』と言うらしい。
ウサギは兎も角(※『兎』だけにね!)、可愛くもなく気の荒い、白色レグホンを学校で飼育する意味がわからん……と思ったことはないだろうか。
かつて飼育委員だった作者は、ヤツに突っつかれた嫌な思い出がある。デニムの上からだったのに血が出た。チキショウ、許さん。でも割と好き。
話を戻すと、『餌だけ食って卵を産まない雌鳥』が如き瑞穂は、大蔵の家で菓子を食っていた。
当然、大蔵の家の菓子である。雌鳥より酷い。
瑞穂はスランプを脱出する為のネタを、大蔵と榊原ちゃんの恋愛に見出そうとしていた。
ついでに菓子も振る舞われ、一石二鳥……瑞穂だけに素晴らしいアイデアであった。
その素晴らしさは、日曜ゴールデンタイムアニメでお馴染みの、ま〇子かカ〇オ並と言えよう。
流石は腐っても主人公……国民的アニメキャラクター(※小学生)レベルの悪知恵だ。
そして、そんな我等が腐れ主人公瑞穂。
奴の心のA〇フィールドは厚くても、面ノ皮はそれ以上に厚いのである。
「つーかさぁ、アンタ達が邪魔で、大蔵くんもバラさんを家に連れ込むことすら出来なくない?」
「はっ……これは瑞穂様、ご冗談を。 私共がいてもいなくても、賢一様のヘタレに変わりはありません」
鼻で笑ったアモンに「せやな」と何故か似非関西弁で完全同意する瑞穂。
だが、『何しに来たんだよ?』というツッコミは間違っている。
すっかり忘れているかもしれないが、瑞穂は腐っても『少女漫画家』である。
例え瑞穂が『ド腐れ(※性根的な意味で)少女漫画家』であったとしても……『腐った(※BL的な意味で)少女漫画家』でもなければ、『少女漫画家という名のR18を描く人』でもないのだ。
ヘタレ度合いにもよるが、ふたりのもだもだはカムカムウエルカムだ!
むしろ、それを求めてやってきたのだから!!
「──しかし瑞穂様、賢一様が素直に進捗を吐くとお思いで?」
「そ れ な」
なんせ大蔵はヘタレなだけではなく、生粋のむっつりスケベ。その上なによりも、瑞穂を警戒している。
素直に吐くとは思えない。
「ふふふ、お困りのようだな瑞穂……!」
──バーンッ!!
「あっ! 貴方は……ッ!!」
奥の無駄に豪奢な観音開きの扉から出てきたのは──
「……デスヘルムト様ですが?」
「わかってるっつーの。 ノリよ、ノリ」
──勿論、我等が魔王子殿下、デスヘルムト様である。




