デスヘルムト<<<<<『炭水化物ブロガー』ミカちんさん(※アモンの敬愛)
※この物語はフィクションです。
誰も疑わないと思いますが。
その頃、アモンはサッポロ一番塩味を見事に作り終え、そして美味しく食べ終えていた。
ブログに写真と感想を素早くUPすると、フォロワーの一人から早くも『イイネ!』。
その後、メッセージが来た。
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アモン氏、袋麺デビューおめです!
♡☆(´▽`)☆♡
ちょっと近くまで来たんで、良かったら一緒にラーメン食いに行きませんか?
いい店教えてください☆
それとも、もう腹いっぱいっスか?(´•ω•`)
☆ミカちん☆
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「おお、ミカちんさん!」
ミカちんはアモンの心の師匠である。
勿論ブログの。
ミカちんはラーメンブロガーではないが、炭水化物を『心の友』としており、その守備範囲は広い。米もパンも麺も、彼のブログには炭水化物への深い愛情が感じられる。
ブロガーがやりがちな『写真撮ってねぇで、はよ食え』状態を彼は許さない。
予め角度を決め、フォーカスを合わせておき、丼がきたらすかさず連射モードで一発撮り。
『確認・選別は後! 先ずは食え!!』は彼の名言。アモンはそれをブロガーの心得として、胸に深く刻んでいる。
料理は撮るものでは無い、食うものなのだ。
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ミカちんさんのお誘いとあらば、このアモン……地獄の底までもお付き合い致す所存!
まあ自分悪魔なんで、なんならご案内しますけど(笑)
今どちらっすか?
♪アモン♪
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wwwww
今アモン氏の家の近くの商店街です。
なにやらイベントが行われてる様子なので、ちょっと見てみます~。
ゆっくりどうぞ!
☆ミカちん☆
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「こうしてはいられん……! はっ! これは、アレの出番……!!」
アモンは徐にエコバッグからアイテムを取り出した。
それは魔界の道具……!
──などではなく、
自 撮 り 棒 。
サッポロ一番をスーパーで購入する前に寄った、ディスカウントストア『サンチョ・パンサ』。
──そこで彼は購入していたのだ。
こ の 自 撮 り 棒 を …… !!(倒置法)
「なんというタイミングだ! これは神の啓示としか思えぬ……!」
『いやお前悪魔だろ』というツッコミをする者は居らず、本来数少ないツッコミである(ような気もしないでもないという微妙な立ち位置の)アモンは嬉々として封を開けた。
最早彼を止める者などいない!
最初からいない気もするが……まあ、とにかくいないんだ!
『炭水化物ブロガー』にして、アモンが『師』と崇めるミカちんは、アモンにメッセージを送ったとおり、商店街にいた。
勿論、今瑞穂が何故か皆から追いかけられている商店街である。
ミカちんはその様子を見て、某かのイベントだと思ったようだ。
アモンが来るまで暇なミカちんは、これが少し気になったので、参加している様子の女の子に声を掛けてみることにした。
「こっちから回れば追い込めるわ!」
「君達……」
「「なによ! 今忙し……」」
ミカちんに声を掛けられた女子らはそこまで言うと、続く言葉を失ってその場に立ち尽くした。
シャラララ~ン♪という鈴の音の様に軽く爽やかな謎の擬音がピッタリの長く美しい金髪。
深い霧に包まれた湖の様な、憂いを秘めた美しく紗のかかった瞳。
そんな女性の如き麗しき顔の乗った身体は……均整のとれた長い手脚。
そして細マッチョ。デスヘルムトに負けず劣らずのユアッショバデー。
彼の名はミカエル。
地上に舞い降りた天使──
…………っていうか、大天使である。




