いつも<<<<<今回(※ノリと適当さ)
スタイリッシュ縮んだセーターに身を包んだ、スタイリッシュな魔界の王子デスヘルムトは、その長いスタイリッシュなおみ足を活かした速足で、スタイリッシュに瑞穂を探した。
それはもう……スタイリッシュ!
何が言いたいかというと、滅茶苦茶目立つのだった。
王子ルック(+カラスブランコ)の時の方が当然目立つ訳だが、アレは間違いなく悪目立ちである。
今回はいい意味で目立っている。
ちなみに上はスタイリッシュ縮んだセーター(※大蔵の)だが、下は瑞穂と初めて出会った時に履いていた黒いパンツとブーツ(※自前)だ。
見た目だけはスタイリッシュなデスヘルムト殿下が、スタイリッシュに闊歩するその麗しきお姿に、誘蛾灯に誘われる虫が如く女子も男子も群がってきた。
カラスブランコ登場の件も尾を引いており、彼は何故か、群衆の間で『新進気鋭のシネマ・アクター』と化していた。
しかし彼を写真におさめることはままならない。彼の魔力がそうさせないのだ。
そして彼に声を掛けることは、それ以上にままならないのだった。
腐っても魔界の王子──放たれるそのオーラに、迂闊に声を掛けられる剛の者は……おらぬ。
少し距離を取ったり、物陰に隠れたりしながらそのお姿を眺めるのがやっとなのだ。
瑞穂や大蔵が気軽に話せるのは、彼等にオーラ耐性があるからではない。
デスヘルムトが『是』としているからである。(※無意識で)
そんな都合のいい後付け設定をひとしきり説明したところで、デスヘルムトは瑞穂を見つけ出した。
彼は瑞穂の気配を辿っていたのだ!
流石は魔界の王子!!
なにも考えなくても『魔界の王子』で全部済んじゃうぜ!
まさにチート de 無双!!
作者に優しいスタイリッシュ設定!!
そんな作者に優しいデスヘルムトだが、デスヘルムトに作者は優しくない。
──当然瑞穂もデスヘルムトに優しくない。
だがこれはデフォルトであり仕様……そもそもなにも考えずに書いたら勝手にこんなキャラになりやがったので、作者のせいではないことを付記しておこう。
「──瑞穂!」
「…………っ!!!? なになになに?!
う……っわぁぁあぁぁぁ!!」
瑞穂はエコバッグ片手にご機嫌だったが、デスヘルムトを見るなり背を向けてダッシュした。
それもそのはず。
謎の行軍──その筆頭が自分の名前を呼んでいるのだ。
瑞穂じゃなくても逃げると思われる。
「あっ?! 瑞穂!? ──どうして逃げるんだ!」
どうしてもこうしてもない。
だがデスヘルムトは後ろの人間等に興味はないので気付かない。しかも彼等は少し距離を取っているのだから。
「瑞穂ぉぉぉぉぉぉ!!!」
「うわ! 追いかけてくんなあぁぁっ!!」
逃げる瑞穂。
追いかけるデスヘルムト。
そしてそれを追いかける群衆。
追いかける群衆らは気付いた。
「あの女を捕まえたらいいのよ! ……多分!」
「そうね! 回り込むわ!!」
((よくわからないけれど!!))
よくわからないままに、群衆は瑞穂を捕まえる態勢に入る。
理由は『彼が追いかけてるから』。
それだけで充分だった。
突如商店街でスタートしたこの追いかけっこに、とんでもないゲストが参戦することを……この時の瑞穂はまだ──知らない。
作者もまだ──知らない。
……うん、考えとく。
メタ表現満載でお送りしました。




