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米≦蕎麦<<<<<<<<<ラーメン(※アモンの価値観)

 

『馬鹿と煙はなんとやら』──瑞穂には当てはまらなかったそれも、デスヘルムトには通用するようである。



 あのあとデスヘルムトは、瑞穂に尽く無視されまくっていた。


 魔王という謎の存在への興味や恐怖よりも、怒りの方が勝った瑞穂。


 毎日の様に打ち立て蕎麦を持って隣へ通うも、瑞穂は蕎麦だけ受け取り、デスヘルムトを入れようとはしなかった。



 何故彼女が怒っているのかサッパリわからないデスヘルムトは、人間らしいデートでご機嫌をとろうと画策していた。

 非常に涙ぐましいその努力であるが、なにぶん高いところが大好きなデスヘルムト……夜景を見下ろす観覧車のパンフを持っていって、瑞穂に投げ返された。


「何の嫌がらせだぁぁぁぁ!!!

 貴様はもう蕎麦だけ持ってこいやー!!

 つーかもう蕎麦も飽きたわー!!」

「きっ……貴様だと!?」



『貴様』……その見下した響き。

 今まで与えられたことのない屈辱──それは新鮮な胸のトキメキ。



 どういう原理かよくわからないが、瑞穂の言動はとにかくデスヘルムトに刺さる。大変に刺激的である。



 とはいえ、もうかれこれ3日。

 最初のうちは「ふっ、あんなに強く余に抱きついたことを、照れているのだな……」等と、相変わらずの勘違いっプリを遺憾無く発揮していたデスヘルムトではあったが…… 流石に3日続くとイタイ。



 瑞穂はデスヘルムトに大観覧車の写ったパンフを投げつけると、扉を乱暴に閉める。

 デスヘルムトはその場に膝から崩れ落ちた。




 ──しかし瑞穂は蕎麦も飽きたらしい。

 キッチリ蕎麦だけは取ったくせに。


 精魂込めて自らが打った蕎麦も否定され……デスヘルムトの胸は痛んだ。


「そりゃ、毎日は飽きるんじゃないですかね~、いくらなんでも」

「なんだとアモン?!貴様は毎日ラーメンばかり食っているではないか!!」

「ラーメンは、バリエーションが豊かですから……それに、その御召し物も些か前時代的かと」

「なん……だと!?」


 大変に今更な事実を、今更ながら突き付けるアモン。



 今の彼にラーメンを侮辱することは、例え主といえども許されないのだ!!



 ──つまり、軽い仕返しである。

 そしてあとは大蔵に押し付ける気だ。


 案の定「だったら何を着ればいい」と聞いてきたデスヘルムトに対し、アモンは「こちらのことは、私よりも詳しい者がおりましょう」と部屋に視線を投げる。

 そしてZ(※大蔵のチャリ)で颯爽と走り去った。


 Zをすっかり私物化しているアモン。

 勿論行き先はラーメン屋だ。


 何気にアモンはラーメンブログもUPしている。


『アモンが()く!ラーメン探訪記☆丼に、輝く小宇宙(コスモ)☆』

 という題名で。




「うーん……デスヘルムト様にお似合いの服……ですか……」


 デスヘルムトの身長はそこそこ高いが、大蔵程ではない。

 そして筋肉はバリバリについているが、とにかく細い。完全に細マッチョである。

 ──つまり、大蔵の服だと少しサイズが合わず、だぼっとしてしまう。


 それはそれでこう、一部の性癖の方には刺さるかもしれないが……彼が求めているのはおそらく格好よさであろう。

 そう感じた大蔵は、少し縮んでしまったセーターを渡してみた。

 ピッタリしてる方が似合う気がして。


 しかして、その姿は……



 スタイリッシュ!!!


 縮んだセーターなのに、スタイリッシュ!!!!



「これが美形の威力か……!」


 大蔵は負けた気がして膝をついた。

 自分がこれだけ美形だったならば、榊原には自信をもって告白しているだろう、と。



 ──5分後瑞穂に追い返されて、トボトボ戻ってくるデスヘルムトを見るまでは、の話だが。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ちょっと待てぇ!  あの後、進展なかったんかい!?
[良い点] おお、ムト様がついにダメージを受けている……! その辺の感覚、一応あったのか……!(暴言) そしてセンスねえなアモン! なにそのどこにでもありそうなタイトル(笑)!
[一言] >『貴様』……その見下した響き。 >今まで与えられたことのない屈辱──それは新鮮な胸のトキメキ。 なるほど。「まおうじ」ではなく、「まぞうじ」なんですね。
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