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三十八匹目 〜( その穴の先には C・〉

~( `ϖ´)<お待たせいたしましたー

 あぁ。

 たゆたう水の上にいるかのような不安定さに、体が本能で危機を感じたからだろうか、俺の意識は覚めた。

 あれからどれだけ経ったろう。

 こういう思考が出来るだけ、俺はまだ生きているのだろうか?

 いや、ソフィーさんの話にあったように、この世界には『死霊』が存在するらしい。

 だったら、俺が既に死んでいて、ソレになっている可能性もゼロじゃないのか。


「チュ………………(んっ………………)」


 ひっそりと目を開ける。

 開けているつもりだけども………………目の前が暗すぎて、開けているのか閉じているのか分からない。

 もしかして、俺の目はもう、使い物にならなくなったのか?

 ………………いや、多分それはない。

 眠る前に強い光を浴びた記憶は無いし、俺のくるまっている『樹球』がそれほどまでに大きな光を通すとは考えにくい。

 ………………あ、そうじゃん。

 目の前が真っ暗になったと思ってたが、よくよく考えたらまだ『樹球』展開中だったわ。

 あぁ、失敗失敗。


 《………………《擬態》解除》


 念じると同時に、目の前が少しづつ明るくなっていく。

 まず木の葉から消えていき、そして枝だけになり、その枝もやがて小さくなって、元の尻尾の長さになる。

 シュルシュルと音を出して尻尾が完全に元に戻ると、目の前がはっきりと見えるようになった。

 四つん這いのまま周りを見渡してみる。


 《………………暗いなぁ》

 《そうだねー。だって今は夜だからねー》

 《………………夜?》


 確かに、あたりは暗く、空には星が見えるし、月のようなものも三個位見える。

 ………………最後ので、一瞬自分がおかしくなったかと思うが、この世界には俺の常識は通用しないことを思い出し、もにょる。

 視線を上から下へ向けると、そこには重なりに重なった岩々が見えた。

 座っている地面がやけに不安定だと思ったら、そういうことだったのか。

 他の生物の遺体やその一部が、岩の間から見え隠れしていた。

 赤い血だけでなく、緑や青の液体も見える。

 ………………思わず合掌した。

 いつの時代、どこの世界でも、自然災害とは恐ろしいものだ。

 向こうにはそのつもりがまるでなくても、淡々と、事務的に、ある意味で機械的に命を奪っていく。

 罪のない命を奪っているのは、自然そのものか、或いは準備不足な生物の愚かさか。

 ………………いや、今更どうにもならないことを考えても、仕方ない。

 取り敢えずは、現状の確認だ。


 《えーっと、確か………………》


 以前もやっている様に、ステータスウィンドウを呼び出す。

 これでウィンドウを見るのは何回になっただろうか。

 こんな単純なことにもまだまだ不慣れな自分に少しだけため息を吐き、そしてウィンドウを眺めた。

 いの一番に確認するのは、状態異常を表すスペース。

 眠る前に言ったような気がするが、【骨折】やらなんやらの異常が出ていても、何ら不思議じゃない、ってかもう現に左の前足が痛い。

 ………………いわなだれ、もっと威力上げてもいいのでは?

 いや、確率で怯むのは本当に理解できるようになったけど。

 まぁ、何はともあれ状態異常を確認する。


 《………………ぁ、案外大丈夫そうだな………………?》


 状態異常を表示するスペースを見ても、そこにあるのは薄い黄色【左前足骨折】と、【打撲】程度。

 その【骨折】も、やがて黄色は薄くなって………………消えていった。

 恐る恐る左前足を動かしてみるも、さっきまで痛んでいたのに、嘘のように痛みが和らいでいる。

 もちろん全く痛くないわけじゃないけれど、歩くのに支障はないくらいに回復していて、さっきまで骨折していた体とはとても思えない。

 こ、れ、は………………流石に自己回復の速さが尋常じゃない。


 《まーキミもちょっと経験値もらったからねー。ちょっとレベル上がったんじゃない?》

 《あー、やっぱり経験値とか貰ったのか》


 ステータスウィンドウの別の画面を開き、レベルや各種身体ステータスを見る。

 確かにそこには、燦然と輝く、《Lv.6》の文字。

 色々と身体ステータスは上昇し、最初は100だったEND(防御)も、200少しまで上がっている。

 微々たる差かもだが、それでも、きちんと成長はしている。

 にしても、大してたくさんの生き物を倒した訳でもなし、一体何で経験値を貰ったのだろうか。


 《あー、うん、まー、あの【擬態樹】と【透単蝙】、実は【最下鼠(レッサーラット)】が単独で倒せるようなものじゃないんだよねー》

 《………………あ、え、そうなの? 割と普通に《超異能》使って倒しちゃったけど………………》

 《はぁー………………あのねー、普通の【最下鼠】は《超異能》なんて持ってないのさー。それにねー? あそこまで殺し特化の《超異能》、なかなかないんだよー?》

 《まぁ、そっか》

 《まったくー………………《伝説を紡ぎし者》の方もちゃんと使ってよ? あっちはあっちですっごく便利なんだから》


 どこか不貞腐れたような感じを漂わせながら、ドーナは呟いた。

 俺としては多分に活用させてもらってるつもりなんだけど、コイツからしたら、派手な所を持っていく《暗黒》の方がよく見えるのかもな。

 ………………『隣の芝生は青く見える』じゃないけど、俺は《伝説》の方が好きだぞ?

 《暗黒を纏いし者》、普段使いするには、些かイタい名前だと思う。

 俺的には、シンプルな《伝説を紡ぎし者》の方がいいと思う。


 《ふーん………………ま、いいけどー――――――話を戻すけど、回復の速さは、多分身体ステータスの上昇だけが理由ってわけじゃないよ?》

 《はえー、となると何か別の要素が影響してるってことか?》


 あからさまに話をそらそうとしていたけど、まぁ別に深追いする意味もないので放っておく。

 身体ステータス以外にも何か別の要因がある………………となると、何だ?

 俺が考えても分からないし、ステータス表示画面を見ても、《治癒速度向上》みたいなスキルは持ってない。

 他に健康に役立ちそうなスキルも見えないから………………俺的には他になにかあるとは思えないんだけども。

 うんうんと唸っている間に、正解発表の時間が来たようだ。


 《キミ達魔物や魔獣のステータス画面には、そーゆーの載ってないよ?》

 《え、あれ、そうなの?》

 《何となく思い付かなかった?

 ()()()()()って》

 《いやー………………》


 正直、あんまりそういうの気にしないタイプだったから………………。

 クラス別相性はともかくとして、天地人相性とかクラススキルとか、ロクに考えてなかったです。

 某有名収集&育成RPGで言うところの三値、或いは性格とかみたいな感じだろうか。

 ………………昔の知り合いが、『シナリオパートはチュートリアル』と言っていたのを思い出した。

 シナリオ厨に怒られろ、と返したことまで。


 《で、隠しスキル?》

 《んー、まー、隠しスキルってよりー、キミ達魔物にしたら、種族スキル、ってのが近いかな?》

 《あー、なるほどぅ》

 《………………分かってるー?》

 《何となく》


 いや、うん、なんとなくはわかったよ、うん。

 要するに、三値で言うところの種族値みたいなもんだろ?

 もっと言えば、『フ○ンズによって得意なことちがうから!』とか、そういうことだろ?

 確かに、【透単蝙】は《飛翔》とかそういう系のスキルは持っていなかったけど飛べていたし、【擬態樹】にも枝部分を伸ばすとかのスキルは無かったけど、自由自在に体を伸ばしていた。

 まぁ後者は《擬態》スキルの影響かも知れないけど。

 要するに、スキルとして表示するまでもない特性、みたいなものか。


 《まー、そんな認識で大体おっけーだねー。キミの【最下鼠】の場合はー、繁殖力と傷の回復力がそれにあたるかなー》

 《なるほどな、弱い種が生きてくには、早く治ることと沢山増やすのが大事なんだな》

 《えぐざくとりぃー》


 一通り解説が終了したところで、改めてステータス画面を見る。

 ふと、保有スキル一覧、と書かれた場所が点滅しているのに気が付いた。

 ………………当初はスキルじゃなくて異能と書かれていたはずなのだけど、変更されているのはなにかの仕様だろうか?

 こういうことをされると、どことなく異世界感が無いのだけど。

 まぁ兎も角そこを開くと、NEWの表示と共に、何やら新しいスキルが出ていた。

 《刺ノ(ストロング)有段者(・スティング)》と、《毒ノ使ヒ(マジック・オ)手(野)(ブ・ポイズン)》と銘打たれたスキル。

 見たところ、前者は身体的スキル、後者は魔法系スキル。

 ………………なんでまた、こんなスキルを獲得したのだろう?


 《基本的に、スキルってのは、『その生き物に出来る事』かつ『相対的特徴じゃなくて絶対的技能』が相当するからねー。今キミは刺す事が出来るはずだよー?》

 《刺す、って言われても………………あ》

 《そう、あるよね? 一個、思い当たる節ー》


 今まで俺は、自分の攻撃手段として《暗黒》のスキルをメインで戦ってきた。

 そして同時に、発動条件の接触攻撃を達成するために、鼠としては最大の武器である前歯を使ってきた。

 確かにアレは刺していると言えなくもないから、《刺》と銘打たれたスキルが生えてくるのも頷ける。

 じゃあ一方で、《毒ノ使ヒ手(野)》ってなんだ?


 《わかんないかなー》

 《分かんねぇからこうしてるんだけども?》

 《まぁじゃあ教えちゃおっかなー? そーしよっかなー? どーしよっかなー?》


 久しぶりだなコイツのこの鬱陶しいノリ。

 今までは普通に命が危ない時だったから封印してくれていたのか知らんが、久しぶりに聞くとより一層鬱陶しさが増す希ガス。


 《じゃーまー、教えてあげるかなー》

 《おう、早くしてくれ》

 《うん、ちょっと説明が長くなってきたから、ここで一旦切ってからねー》


 ………………メタいなっ!?

~( `ϖ´)<そういえば、ハロウィンイベなんてなかったんですね


~( `ϖ´)<他のゲームじゃあ、ガチャがガチャガチャ回ってるのに、大丈夫ですかねー




~( `ϖ´)<《毒》ですけど、


~( `ϖ´)<主人公君に出来る事、そして(野)の表記からお察しの方もいると思いますが


~( `ϖ´)<まぁ詳しい話は次回ってことでシクヨロっ!

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