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三十七匹目 〜( 紐無し岩有りセルフバンジーのようなもの C・〉

~( `ϖ´)<お久です


~( `ϖ´)<あ、天暦表示は、何か世界的に重要な出来事があったときに表示する感じです

 ………………その日、()()は目覚めた。

 世界から与えられる情報で、前の目覚めからの期間は至って正常な周期であることを、怪物は確認する。

 凡そ通常の生物では無いと一瞬でわかる巨駆、どの生物のソレとも似つかない各部位、世界に言語として登録されることのない鳴き声。

 何処をとっても、まさしく怪物。


『………………』


 地中の魔力の流れ――――――龍脈が、怪物の目覚めに合わせて進路を変える。

 莫大な、気が遠くなるような、下手をしたら無限に保有するのではないかと思われる程の、()桁違いの魔力。

 それらの存在感に押し潰されるように、龍脈が歪む。

 元々曲がりくねっているとは言え、怪物を中心に球場に歪んだ龍脈は、それだけで多くの生物に影響を与える。

 歪曲はその場所――――――怪物の体長だけで数十キロはあるのだが――――――だけに留まらず、乾いた粘土細工に罅が入る様に龍脈が曲がっていく。


『………………』


 しかし、当の怪物本人は、そのことを全く感知していない。

 否………………正確には、()()()()()()()()()()

 怪物は自身の魔力は自身で補える為、周囲の魔力の流れが変われど、さしたる問題もない。

 ――――――龍脈の乱れが原因で、彼の頭上にある土が落ちてきても、全く問題はない。


『………………』


 ガウラガウラ、物凄い音を立てて怪物の上に落ちる石、岩、土。

 怪物が居るのは、地上から数キロ下であり、落ちてくる土砂の量もまた、尋常ではない。

 それらの重圧、激しい落下音、体を封じられている感覚………………勿論怪物でさえ、そこから動くのは困難を極める。

 だが………………どうでも良かった。

 全ては怪物にとって些事であり、怪物の存在理由は『存在すること』なのだから。

 自分が数キロメートル分の土砂崩れで息絶える事はない、と確信しているから、どうだっていい。

 怪物の目的は、ただその世界に存在すること。

 だからこそ、一匹の小さな鼠に気が付くことなどなく。


『………………             』


 怪物は再び眠りに付いた。




 ~( ※ ※ ※ C・>




 崖という崖。

 火サスの犯人は、だいたいいつもこんなかんじなのだろうか。

 というのも、今の俺は………………


「ヂュウウゥゥゥウッ!?(落ちてるうぅぅぅうううっ!?)」


 そう、盛大に落ちている!

 元々居たのが洞窟の中、今は周りのがれきが落ちるままに、俺もその流れに巻き込まれている訳だ!

 体中を石や岩が殴っては何処かへ行き、殴っては何処かへ行き、正直冗談じゃないくらいに体中が痛ったい!

 痣だらけ、下手したら今俺は血だらけになっているだろうなぁ!

 【透単蝙】の体ぁ?

 そんなもん、開始一分くらいでボロッボロになって、使い物にならんくなったわ!

 くっそ、マズイまずい、このままじゃ、どう考えても死ぬ!

 ………………あ、そうだ。


「《擬態(チュウッ)》!」


 一つのスキルを宣言する。

 それは《擬態》のスキル。

 自分の体の一部を、他の生物や無生物の一部に変換できるこのスキル、実は結構判定はガバガバらしい。

 手に入れてからすぐにいろいろ試してみたのだが、このスキルの言う『一部』の判定は、体積的には大分甘いらしい。

 例えば、耳を【擬態樹】の葉の形に変えてみた時、俺の持つ耳の三倍ほどまでは長くする事が出来た。

 その時は普通に《擬態》する時よりも多くMPを消費していたので、多分、元の尻尾の体積を超える分はMPで補っているのだろう。

 それが、果たしてMPをそのまま物質化させて纏っているだけなのか、それとも俺自身の身体をMPで膨らませている仕組みなのかは分からないが、兎に角《擬態》で擬態前の形からはみ出た分は、通常の俺の体の一部ではない、というのは確実のはず!

 だったら………………!


 《ぐうぅうううっ!》


 身体を精いっぱい縮ませてから、俺は尻尾を《擬態樹》の枝に擬態させ、バネの形のようにして自分の身体を包み込む。

 それだけでも、今の俺の少ないMPにはしんどいが、露骨に命の危険がありそうな場面でケチってはいられない。

 枝にした尻尾からさらに葉を生やし、バネ状に曲がった枝の隙間を埋めていく。

 MPをギリギリまで使ってなるべく葉を厚くする。

 残りMPが少なくなると同時に俺の体温が下がっていくのを自覚するが、兎に角このままだと圧殺されてしまう。

 それを避けるためには、兎に角この足掻きを成功させなきゃなぁ……………!


「チュウゥ(はぁあぁ)」


 既に開け続けるのもしんどくなった目で、内部に砂が入り込んでないことを見る。

 俺を囲む、葉生い茂る枝の球体を………………そうだな、『樹球』とでも名付けようか。

 ボスビス、と音を立てて『樹球』にぶつかっては去っていく岩石に土の流れ。

 精いっぱいのMPを込めたおかげか、この『樹球』はなかなか頑丈にできてるようで、しばらくしても壊れる気がしない。

 ひとまず安心、と、眉間にシワを寄せながら俺は一息ついた。


 《はぁ、取り敢えずはこれで………………──────》

 《!? キミ、どーした!? すっごく死にそうなんだけど!? 脳内バイタルやばいことになってるんだけど!?》

 《うるせぇばーか………………死ぬかっつぅの………………》


 俺の様子を察してくれたのか、ドーナが声を掛けてくれる。

 だが、もう返事は出来そうにない。

 ………………正直、もう、疲れてしまった。

 ………………よくよく考えたら、俺、こっちに来てから寝てたっけ?

 ソフィーさんの一件からこの方、慣れない一人暮らしにサバイバル生活、鼠の身体の扱い方だってまだ習熟中だし、食べ物は木の実しか摂っていない。

 ぶっちゃけて言うと、消耗がやばい………………自分でいうと何だか負けたようで癪だけど。

 ウィンドウを出す気にもなれないけども、まず間違いなく俺のMPは残り一桁程、【衰弱】【低体温】とかの状態異常が出ていても不思議じゃない。

 とまあ、色々と最後の抵抗として思考を巡らせたものの、もはやその抵抗も意味ないくらいに眠くなってきた。


 《あ"ぁ"〜、眠い。ちょっと寝る。いい時間になったら起こしてくれ………………》

 《え? ………………あ、ちょっと!? キミ、今寝たら………………! ………………!?》


 ドーナが何か言おうとしているらしいが、どうにもそれが頭に入ってこない。

 必死に何かを伝えようとしているのは分かるけど、もう疲れてどうしようもない。

 幸いにも、《擬態》は、一度擬態させたら、解除と念じなければ解除されない仕様だ。

 寝てもまぁ大丈夫だろうと思いつつ、最後にひっそりと目を開けて、もう一度だけちゃんと土砂を防げているか確認する。




 ――――――そこで俺の意識は消えた。

 地中深く、空気も食べ物もろくに無い場所で眠るのが、どれだけ危険なのかも分からないまま。

 一匹の鼠が地中に呑み込まれていく。

~( `ϖ´)<『怪物』の目覚めも世界的には重要ですが


~( `ϖ´)<感知してる人がいないのでノーカン


~( `ϖ´)<そう言えば、【透単蝙】の体も


~( `ϖ´)<衝撃吸収には優れてるんですよ?


~( `ϖ´)<ただ、とんでもない土砂崩れに耐えられる設計はしてなかったのです


~( `ϖ´)<等級がもっと高い魔物では、普通に耐えられるのもいるんですけどねー

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