三十五匹目 〜( おひとりぐらし! C・〉
~( `ϖ´)<続きです
~( `ϖ´)<今回は六話まで更新します
~( `ϖ´)<あと一話ですね
《天暦※※※※※※年 八月 九日 AM9:00》
冷えた風が通る。
そこは完全な暗闇ではなく、苔の発する光が飛び交っていた。
よく見るとそれも、【群光虫】との名前があるので、魔獣の一種なのだろう。
ってか、よくよく見たらホタルのようなものが集合体を形成していた。
あ、ところで、魔獣と魔物の違いについてだが。
ドーナに聞くところ、一定以上の知性が確認できるか、要するに自我があるかどうかで区別しているらしい。
先程の【擬態樹】には自我がないので魔獣、現在の俺【最下鼠】も、種族上はこちらに分類されるようだ。
その他にも、自我を持った魔獣個体を《忌》と呼ぶこと、更には亜人と魔人のことなどについても教えられた。
教えられたのだが………………ぶっちゃけよく分からなかった。
分かったのは、俺も《忌》に分類されるだろうという事だけ。
なので、その時々で確認する方針で行こうと思う。
あ、今更だけど、俺は、これからは異能をスキルと呼ぶことにした。
固有名詞っぽいやつは抜くが、これからはそうしようと思う。
そっちの方が格好いいし、俺が親しみやすい。
これから一人暮らしも長くなるだろうし、意思疎通の心配はないしな。
………………うん、やっぱり異能、もいいけど、スキル、って響きがいいよな。
常時代償必須型パッシブスキル、攻性魔力防御アクティブスキル、その他諸々。
うん、格好いい。
さて、今俺が寝そべっている岩の上には、道すがら採取したり、ここに辿り着いてから探しに行ったりした、木の実が置いてある。
《女神は真実を看破する》で、食用になることは確認済み。
今からお味の方の確認を、していきたいと思います。
………………まぁ、幾つか味より薬効目当てで持ってきたものもあるけど、それはそれとする、いいね?
《正直、気乗りしねぇなぁ………………》
《しゃあないでしょー。食問題は避けては通れないよー》
《ぐむぅ》
そう言われては仕方ないが、俺の気持ちも考えてみてほしい。
一応、今から味覚の為に取ってきた木の実の紹介をしていくが、最早聞けばわかるほどの、中々のやる気なくさせ具合だ。
リリゴの実は見た目普通のリンゴだったが、これらは違う。
一つは見た目が完璧な立方体、香りも殆どなく、虫等に集られた痕跡は無かった。
名前は、リアスの実、リアスという樹木に成っているようだ。
試しに一口、食んでみる。
《お、美味い!》
《へー、そーなのかー》
《興味のなさがひしひしと伝わってくるコメントありがとう》
そう、意外と美味しかったのだ。
断面図はキウイフルーツに近く、種が多かったものの、爽やかな喉越しと少し酸味のある味のお陰で、難なく食べられた。
コレはアリだな。
さて、次は、見た目は普通の柑橘系に近いが、香りが独特で、大量の虫に集られていた。
アプという樹に成っていた、アプの実。
これも先ずは一口。
《………………美味く、は、ねぇな》
《あ、そうなのー》
《ああ。なんか香りだけは良さそうだったけど、味はイマイチ》
そう、正直美味しくなかったのだ。
香りに惹きつけられて採ってきたものの、口の上で果汁が飛び出ることもなく、何処か水分に欠けた印象を受ける。
一応食用にはなるだろうが、また別の目的で集めておくのも、案外面白そうだ。
………………さて。
果物フルコース、極めつけは、足が生えて動く果物である。
《これはないわー》
《ありえるんだなー、これが》
《いやさ、下手なB級映画でもあんなのないよ、ってくらいの恐怖具合だったじゃん? 正直お味の方も心配になるというかさ》
最後に紹介した果物――――――ペナツの実という――――――を取ろうとしたときのあの映像は、どうやったら伝わるだろう。
風が吹いているわけでもないのに、ザワザワと蠢く枝葉、そしてその合間から覗く無数の脚。
広葉樹から落ちたペナツの実は、樹本体から放射状に歩いていった、或いは走っていった。
《真実》で覗いたところ、《MP供給》なるスキルを本体が保持していたので、恐らくアレらはMPで動いているのだろう。
そう思って、試しに俺のMPを注入しようとした。
しかし、そもそもやり方が正しかったのか分からないが、なんの反応も示さなかった。
………………よく分からないことばかりだ。
ともかくとして。
生存戦略としては、まぁ分からなくもないが、見た目は非常に気持ち悪いので、やめてほしいこと山の如し、と言うのが俺の感想だ。
まぁいいや、ともかく食べないことには始まらない。
そう思って、食べてみたのだが。
《………………あれ、意外と、悪くは、ない?》
《あ、そうなの?》
《ああ。実の部分はともかく、昆虫みたいな脚は、案外悪くないぞ》
《うへぇ》
《ここに来て、食事への感情ある反応をありがとう》
いや、実際悪くない。
木の実と思って食べたら痛い目を見るかもしれないけど、こういう、ネタ系のお菓子と思って食べれば悪くない。
味は葡萄のもので、食感はグミみたいだ。
本体は、脚を食べる前に実食して、数分悶えていた味だと思ってもらって問題ないです、ハイ。
未知の食材を試食するときは、水が必須だと知った。
衣食住の食には、多分水分も含まれてると思う。
これなら、アリか?
いやでも、ペナツの実を逃さないようにするのは、ちょっち面倒だなぁ。
うーん………………保留で。
と、そこで。
《ん?》
《? ドーナ、どうかしたか?》
《いや、今、木の実が消えなかった?》
《はぁ、そんなわけ――――――》
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ………………
………………? もう一回。
ひーぃ、ふーぅ、みーぃ、よーぉ………………
………………………………
………………
うん、これは、アレだ。
《減ってるなぁ!?》
《だよねぇー、なんでかなー》
《ナンデ!? 減ってるナンデ!?》
《うるさい》
《アッハイ》
いや、ちょっと取り乱してしまったが、確かに減っている。
岩から落ちたかと思って見渡してみるも、それらしきものは見えない。
せっかく苦心して探し出した木の実を横から何かに取られたか?
えー、だとしたら俺、悔しすぎてやばい、ぶちころがしちゃうかも。
取られたとしたら、誰にだろうか。
【群光虫】は、身の丈の十倍近くある木の実を、一瞬にして食べられる程大きくはない。
かと言って、その他に生き物は見当たらない。
………………取り敢えず、《暗黒は刺客を覆い隠す》を発動させておくか。
この世界に来てから、このスキルはすぐに使ったほうが良いと学んだ。
条件反射になるまでにはまだまだ時間が掛かりそうだけど、少しずつ意識していこう。
《………………で、だ。ドーナ、お前は誰が原因か、分かるか?》
《うーむ、分からね》
《まじかよぉ………………》
いやぁ、普通に怖くないか、それ?
何が原因か分からない、って、人間が一番嫌うやつだよ?
と、取り敢えず岩からちょっと離れて、観察してみっか。
《………………ん?》
ふと、気が付いた。
もう一つ、消えている。
薬効を目当てに採ってきた木の実が、一つ無くなっていた。
加えて言えば、もう一つは、欠けていた。
球状だった果物が、見事に三日月へと変貌している。
《………………何かの齧り跡?》
《ぽい………………あ、分かった》
《まじ?》
《うん。元々キミが知覚していた物質が対象に取り込まれたことによって、ボクが気配を感じることも可能になった訳ー》
《ほ、ほぉん? なるほどね、まぁ俺は? 最初から? オマエならできるって思ってたけどネ?》
《はいはい、お褒めの言葉ありがとー》
思いっきりの棒読みだった。
いつものドーナのコメントは置いておいて、重要なのは、何がわかったのか、だ。
そう思うと、早くも脳内………………いや、俺の中の何処かから声が届いた。
脳かもしれないし、心臓かもしれない、手足からのような気もするがまぁ今はいいや!
《えっとね、犯人の外形とかがわかったよー》
《おう、どんなだった?》
《んーとねー、球形》
《ほう、球形》
《まー、外形、っつっても、胃袋だけだから、あんま参考にはならないかもだけどー。でも、居場所はわかるよー? 消化されるまでは》
《ふーん………………で、今どこ? まさか、いきなり、『今貴方の後ろにいるの』しないよね? ねぇ!?》
姿もよぅ分からん見えない怪物が、いきなり後ろから出るとか、R幾つだそれ!?
今、『十くらいじゃね』って声が聞こえたが、待ってほしい。
俺、地味にホラゲとかめっちゃ苦手なんだけど!
声優さんとかの実況は見れるけど、自プレイは絶対無理なんですけど!
ちょっと、応答はよ、はよはよ!
《チッ》
《あッ! 舌打ちしたな! 酷い!》
《あーもうはいはい。今は、三日月状だった木の実のあった場所ー》
《ありがてぇ、ありがてぇ》
場所さえわかれば、後はいい感じに距離を取りつつ、何かあったらすぐに逃げられるようしつつ、更に脱出経路を思い出しつつ観察すれば良い!
さぁ来い、さぁ来い!
いつでも来やがれ………………って、おお?
なんか、薄っすらとモヤが晴れて、手が羽に変わったワゾウスキー君みたいのが見えたよ?
姿が分かったことが関係しているのかは分からないが、使えるようになっていた《真実》で見ると、【透単蝙】とある。
その大きな瞳は眠たげで、やや覇気のないような見た目である。
ドーナによれば、こいつが犯人で間違いないようだし、取り敢えず捕まえよう。
眠たげなやつを捕まえるのにも、そもそも単眼の蝙蝠を捕まえるのにも、忌避感はあるが、まぁそれも自然界では仕方ないこと。
そもそもの話、ワゾウスキー君に眼球以外で食べられる部位があるのかは知らないが、俺の場合は、《女神は伝説を語り継ぐ》がある。
この破格のスキルによって、俺は自身が故意に殺害した相手のスキルを、無理矢理でも剥ぎ取ることが可能なのだ!
自分で言ってて悲しくなったが、まぁ別にいいのだ!
《なんかテンション高いねー?》
《まぁ、一発目が一発目だったからな!》
そう、記念すべき俺の最初の《伝説》による獲得スキルは、【擬態樹】が持っていたスキル、《擬態》。
この《特殊異能》は、レベルも低く、体の一部を見知った魔物・魔獣の体の一部にするので手一杯だった。
その部位を満足に動かすこともできず、ハッキリ言って、アレはゴミスキル。
だからこそ、今度のは、絶対ほしい!
奴が持つ《光ノ使ヒ手》と、何より《透明化》。
見つかる前に透明になっておけば、強制的に見つかっていない状態になれるだろうから、俺の《刺客》との組み合わせも良さそうだ。
《………………よし、やるか!》
~( `ϖ´)<はい、ちょっとした植物でした
~( `ϖ´)<一章終くらいに紹介まとめやるので
~( `ϖ´)<そちらが出たらそちらで補完していただけると幸いです
~( `ϖ´)<ご感想、その他お待ちしております!




