三匹目 ~(俺 イン ザ あなざーわーるど C・>
いよいよ異世界へ!
《西暦※※※※年 八月 八日 AM10:15》
何やら困っていた彼女。
話を聞くところ、彼女はフランスから来たらしい。
なるほど、確かに美しい、黄金色の御髪を持っていらっしゃる。
「ありがとうございマース! このお礼は、いつかきっと、また会った時ニー!」
最後まで元気な人だった。
普段はあまり関わることの無いタイプの人種だが、悪い人ではなさそうだった。
出会いは、大切にしたい、な。
発車まで、残りはおよそ三十分。
現在は、ホームで記者とカメラマンがごった返してる。
その喧騒のさなかに、一人のビジネスマン然とした男が進んで、何やら話している。
男は、今回の試運転に関する情報を語っているようだ。
曰く、このリニアには最新型AIが搭載されており、事故を防ぐ。
曰く、このリニアのレールにも、五十メートル毎に監視カメラと同期したAIが搭載済み。
曰く、常に百人体制で乗組員が危険物チェックをする。
総合して、事故など、万が一にも起こりはしない、と。
なにそれフラグ?
俺はそう思いながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
※ ~( C・> ※
「ぉーぃ、ぉーぃ」
うっすらと声が聞こえ、俺は目を覚ました。
「うわっ、眩しっ!」
辺り一面、驚きの白さ。
目覚めにはもってこいかもだけれども。
「あ、起きた」
「え?」
誰かが、いる。
ってか、話しかけてきてる。
え?
何ここ?
俺、リニアのテスト運行に参加してたんだよね?
.........そっか、夢か。
「夢じゃないよ」
「あ、そうなの?」
そうなのか。
教えてくれた人に、色々と聞いてみよう。
「.........あの? こk」
「あ、今、『ここは何処か』って聞こうとした?」
「え、そうだけど? っていや、なぜ分かった!?」
さっきは寝起きだったけど!
二回もされればいくらなんでも気づくぞ!
「.........ボクらからすれば、当たり前なんだけど」
「いやいや、お前らの事情とか、何一つ知らんし」
「んー、ま、そっか」
ウロウロと歩き回りながら、人物は呟いている。
そしてふと、顔を上げた。
「こう言えばいいかな?」
少しだけ口角を上げ、人物は告げる。
「ようこそ。ここは『第一神族養成学校』。............キミは、今からはボクのモルモットさ」
中々にバイオレンスな現実らしい。
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