表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/43

二十九匹目 ~( 綺麗な時は何時までも C・>

 《天暦※※※※※※年 八月 八日 AM5:30》


「余は〈馬と自然の国(アロガント)〉統治の象徴たる【勇者】である! 余の命令に背くとは、神の意思に背くことであると知れ! 此度の遠征は、余の愚民への寛大な心の為すところである! ………………早くその汚れた面を現せェッ!」


 蝙蝠の翼を持つ馬の上、設けられた玉座の上で少年が喚く。

 その口からは、【勇者】との言葉が出て来た。

 しかし俺には、彼が所謂()()とは思えない。

 横暴な態度は、正しく傲慢。

 彼自身が言っていたその言葉に、彼のイメージはキッチリと合致する。

 草葉の陰で、俺は身を潜めつつ、《暗黒は刺客を覆い隠す》を継続させていた。

 ミーニャ達の一件で反省した俺は、二度目の間違いを犯すつもりは無い。

 どう見ても彼にはソフィーさんへのリスペクトが欠片も感じられないが、もしかすると彼女の甥や親類、又は息子である可能性もゼロではない。

 故に、俺はまだ隠れ続けているだけに留まる。


「貴様! まだ出て来ないというのなら、今度は揺らすだけでなくこの粗末な建物を崩壊させるが、構わんのだな!」


 彼が言うには、先程の地震は彼の仕業らしい。

 強行的な手段に出る辺り、彼は相当理性を失っているように見える。

 第一、包囲もせずに捕らえようとするのがまず間違っている。

 相手に逃げられる可能性があるのにそのまま正面から近付くのは、相手の自信の表れなのか、それとも馬鹿なだけか。


 《っ! ちょっと身を屈めてー!》

 《? お、追う?》


 ドーナの切迫した声が頭に響く。

 コイツの支持を聞いて間違った事はないので、訳がわからないままだが、取り敢えずさらに伏せる。

 俺がしばらくそうしていると、乱暴に破られた玄関の奥の影から鋭い眼光が見える。

 その光は次第に大きさと輝きを増し、遂には影から飛び出す。


「やあぁぁぁっっ!!」


 細身の剣を握り、自身の右側に大きく振りかぶりながら飛び出す一つの影。

 可憐なその人の影には、猫の耳が揺れており、俺は彼女がミーニャであると判断出来た。

 しかしその瞳は敵意に見開き、まるで獣そのものの様な、身の毛もよだつ気迫に満ちている。

 耳と尻尾の毛も逆立ち、完全に相手を警戒しているのが見て取れた。

 ミーニャと少年との距離は、目算二十メートル。

 飛び出した勢いそのままに、彼女は少年に向かっていく。

 残り十五メートル。

 微動だにしない少年の姿に、ミーニャの歪んでいた口がより一層角度を増す。

 ミーニャが、前の馬の頭諸共、少年を袈裟斬りにしようとしたその時にも、俺は魅入っていて動けなかった。


 しかし、少年の生意気ながら不敵な笑みが崩れる事はなく。


「………………何だ? 貴様と遊んでやる時間は余には無い。構って欲しくば、余の宮殿まで出向くことだな」


 ミーニャは、残す所十メートルの所で静止した。

 ………………いや、ジリジリとミーニャの剣は何かを斬り付けている。

 ミーニャの焦り汗がその証拠だ。

 彼女は、地面から浮いた状態で、不可視の何かと争いをしていた。

 少年の面倒そうな眼が真っ直ぐにミーニャの瞳を貫く。


「なぁ、貴様、ソフィーとか言う者の居場所を知らぬか? 余は奴を捜索しておる。居場所を知っておるのなら、只今の無礼は見逃す事を考えてやっても良い」


 にわかには信じ難いが………………彼はどうやらかなりの強者の様だ。

 華奢な体の何処からそんな力が、と思う程、全力で両腕、全身に力を込めているミーニャは、辛うじて答える。


「ふざけ、無いで………………貴方、何かに、ソフィーさんは、渡さ、無いっ!

 命に換えても、私、は、守り抜くのっ!」


 彼女の強い言葉。

 美しい決意の響きは、彼女達の間に何があったのかを物語っていた気がした。


「あの人、は、私達に生き場所を、くれた! 見棄てられて、野垂れ死ぬ所だった、私達を! 心優しいあの人は、私達の故郷をくれた! だから、私は!」


 ミーニャの頬に涙が光る。

 彼等の間には、俺には想像も付かない程の出来事が、思い出があったんだろう。

 それはとても綺麗で、第三者の俺ですらそれを守りたい、愛おしいと思えるものだったのだろう。

 ミーニャの言葉に応えるように、雷の小刀と炎の球が飛ぶ。


「俺だって、ソフィーさんには感謝してるんスよぉっ! 勝手に俺たちの前から、本人の意思なしに奪っていくのは止めて頂きたいッスねぇ!」

「俺も、彼女の暖かさには何度も、何度も救われた。陽だまりの様な彼女を、目の前で、手が届く距離でみすみす連れ去られたら、死んでも死にきれんのだッ!」


 痺れる記憶と、熱い想いの乗ったその魔法は、術者の手を離れてなお加速する。

 その勢いはなお止まらず、ミーニャを追越す。



「成程、貴様等が奴に情を移している事は重々承知した………………だが、しかし」



 雷と炎は、ミーニャの真横で霧散する。




()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




 少年の笑みが愉悦に歪み。

 彼等の顔が絶望に歪む。

~( `ϖ´)<話の流れの都合上書いておりませんが


~( `ϖ´)<ドーナから主人公は色々と解説されてます


~( `ϖ´)<本来なら訳分からん状況ですので、違和感を持たれた方がいたらごめんなさい



~( `ϖ´)<ご感想、その他お待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ