二十七匹目 ~( 俺と彼女のはじめの朝 C・>
~( `ϖ´)<おまたせ致しました!
~( `ϖ´)<更新のお時間ですー
…… 《天暦※※※※※※年 八月 八日 AM4:30》
少しづつ明け始めたように感じる夜は、未だに俺の心を鈍らせている。
ソフィーさんの話は、俺にとっては理解の、想像の範疇を超えるもので、とてもじゃないが全てを理解出来たとは言えない。
人間は生きてきた道も、教えられた想いも、考え方も千差万別で、その全てを理解するなんてのは、端から不可能なことなのかも知れないが………………それでも、俺は。
彼女の在り方は、凄く………………美しいと感じた。
俺には分からなくても、彼女の心の中では、未だにやりきれない思いが渦を巻き、頭の何処かを縛り付けているだろう。
それでも前を向いて、自分に出来ることを増やそうとする姿は、本当に格好が良かった。
「私は私の周りの全てに感謝するべき、そう思ったの。そうしたらね、心の中のモヤモヤが少しだけ、スーッて晴れてね、それで初めて『これで良いんだ』って思えたんだ。………………まだまだ止まりたくなる時もあるけどね」
今の俺では、彼女に言葉返すことは出来ない。
「この森の子達の面倒を見るのは、本当に楽しいし、成長を見守るのは本当に嬉しいよ。傷付いた子を捨てた人の事は悲しく思うけど………………だったら、私が皆の家族になれば良いって事だと思うんだ」
でも、それでも、出来る事はある。
「あ、ちょっと………………危ないよ」
構わず俺は駆ける。
木製の柱一つ一つに必死に爪を立て、体を持ち上げていく。
ようやく分かった気がする。
俺はこの人に憧れている。
その在り方を尊敬し、彼女の意思を遥か遠くの地にまで伝える事。
それが、俺がするべきことだ。
だったら、ただ下で話を聴いているだけ、なんてのは許されない。
同じ目線で話をしなければ。
そしてようやく俺は手すりに辿り着き、真っ直ぐにソフィーさんを見つめた。
俺なりに、不器用なりに、ネズミなりのやり方で、俺の想いを伝えたい。
「チュウ、チュウーーーッ!(凄く、すごくカッコいい!)」
「え、え」
「チュ、チュ!(そのやり方は、本当に美しいと思う!)」
「あの………………」
「チュウ、チュ、チューーーッ!(だから、絶対に、恐れちゃダメだ!)」
「………………………………」
「チュ、チュウッ、チュ、チュウ、チュウウゥゥーーーッ!!!!(何があっても、貴女は貴女のやり方を、人生を、優しさを貫かなきゃ、絶対にダメだッ!!!!)」
全力で叫んで、喉のあたりが切れそうになる。
それでも構わない。
「チュ、チュチュ! チュウゥゥゥッッッ!(その優しさは、貴女の宝物だから! 絶対に曲げちゃダメだぁぁぁッッ!)」
「………………………………」
思いの丈を弾き出して、肩で息をする。
伝わったか、伝わらなかったは、今はどうでもいい。
俺の感動を、尊敬を、心震わされたその想いを、叫ばずには居られなかった。
ソフィーさんは何も言わない。
その眼は何処か悲しそうに見えた。
「………………ごめんね、貴方の言いたい事、私にはまだ分からないみたい………………」
「チュ………………(そっか………………)」
そりゃそうだ。
俺は矮小な、ちっぽけなネズミで、彼女は尊大な、大いなる人間。
最初から意思など通じる筈がない。
だからこれは、当たり前の結果だ。
「でもね………………」
そう言って、彼女は俺を抱き上げる。
「私の、胸の奥。今までずっと震えてた所が、少しだけ楽になったの。ありがとうね」
そして彼女は微笑んだ。
差し始めた陽射しのせいか、その眼の潤いはより一層輝き、淡い陽の光に浮かぶ姿は天使の様で………………俺は涙を流した。
森の木々の向こうでは、暗い夜が明け、朝が来て、全てのものが動き始める。
「チュ、チュ(あ、ちょっと)」
ソフィーさんは俺を胸の前に抱き、朝日の方へ体を向ける。
二人で並んで見たその暖かな光は優しく俺たちを包み込み、悩める者たちの道標となる。
「綺麗だね………………」
「チュウ………………(本当だ………………)」
俺はソフィーさんの生徒となり、彼女の理想を体現するために全力で叫ぶ。
ソフィーさんは自分の優しさを貫き、誰に邪魔されることもなく頑張り続ける。
二人の意思が通い合った様な、そんな気がした。
~( `ϖ´)<………余計な事は語りますまい
~( `ϖ´)<次回、大ボス登場予定




