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十九匹目 ~(初めての C・>

~( `ϖ´)<十分の二~

 《天暦※※※※※※年 八月 八日 AM2:30》


「─────ねぇ、あれからもう五分くらい経ったんじゃない? そろそろいいでしょ」

「─────そッスね。十分に時間は取ったッスもんねぇ」

「─────そうだな。これで、こちらの求める物が無かったとしたら、俺は何をしでかすか解らん」


 あれからおよそ五分。

 俺は、玄関入ってすぐの部屋に潜伏していた。

 流石鼠と言うだけあって、天井の梁にも、簡単に登れた。

 そして、《暗黒は刺客を覆い隠す》は発動中。

 抜かりはない。


 《いやいや、慢心はダメだよー》

 《分かってる。迂闊には動かないようにするさ》


 実際、もし戦闘になったとしたら、それは俺の初陣を意味する。

 その時に油断してやられては、今後の人生(と言っていいのかは分からない)の全てを失う。

 出来るだけの覚悟で臨もう。


「いい? じゃあ、開けるよー」


 そう言って、三人組の内の一人が、ゆっくりと扉を開けた。

 外から、少女、少年、青年が順番に入ってくる。

 その装いは、いかにもな駆け出し冒険者と言ったところ。

 革のブーツや、レザージャケット、軽装鎧など、様々な防具を着込んでいる。

 一人は小さめのナイフ、もう一人はサーベル、最後の一人は背中に大剣を背負っていた。

 この世界においては、一見何の変哲もないであろう見た目。

 しかし、その中で、俺の目に最も異質に映る物があった。

 ピコピコと動くソレ。

 人間にはない筈のソレ。

 彼らが歩く度にふわりふわりと揺れるソレ。


 彼ら三人は、例外なく、所謂()()()()を生やしていた。


「─────あれ、ここには居ないじゃん」

「え、でも、こんくらいの時間に来てくれって、言ってたッスよね」

「その通りだ。まさか、逃げ出したのか?」

「ま、だとしたら.........追いかけるだけだよ、どこまでもね」


 ヤバい、ヤバいヤバい。

 彼らが言っているのは、恐らくローブの女性の事だ。

 逃げ出す、追いかける、という事を聞く限り、女性は彼らに脅されていた、とか?

 かなり犯罪臭のする話をしていたし、きっとコイツらは悪人だ。

 なら、手加減の必要は無い。


 俺は、ひたすらに自分の前歯が奴らの体を貫くイメージトレーニングをする。

 十全なトレーニングのおかげで、多少は気が軽くなったので、今度は相手に合わせるべく、じっくりと観察する。

 決して存在を匂わせず、それでいて動きは余す所なく目で追い続ける。

 昔、父さんが見ていた時代劇の、忍者に代官がやられるシーンを思い出していた。

 .........チッ、嫌な事を思い出した。


 そうする内に、三人組の先頭にいた少女が、俺のいる梁の真下にのこのこと歩いてくる。


 チャンスだ。


 そう考えた俺は体を支えていた後脚の力を抜き、口を開いて、侵入者に死を与えるべく、自由落下していった。

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