第4話 初任務の内容と初体験の罠
久しぶりの投稿です。需要があれば続きも検討。。
「うん! もうオマエに教えることは何もないぞモモー太郎いや、桃太郎よ!」
あれから数日経ち英才教育を受けていた全裸太郎でしたが、ようやく赤鬼のAkaの知識のすべてを習得し、ついに一流の暗殺者となりました。まぁぶっちゃけ時間がないので、『後はこのマニュアルを読め!』っとAkaがまとめたノートを押し付けられただけなんですけどね。
「えっ? もも……たろう? それは何だ? モモー太郎がオレのコードネームじゃないのか?」
全裸太郎は呼び方が次々と変わるもので困惑を隠せませんでした。
「あっいや、モモー太郎ではちょっと構成上マズイんだ。人間達は漢字という淫靡な響きを好んでてな『モモー』とは『桃』と書くのが一般的なんだ。だから表向きお前のコードネームは『桃太郎』で、仲間内では『Momo』が良いと俺は思うんだ。それに『コードネーム』と直接言うと人間達にバレるかも可能性もあるからな! お前は今日から『桃太郎』または『Momo』と名乗るんだぞ!」
そこで尽かさずAkaは適当に誤魔化すことにしました。きっと『桃太郎』と呼ぶのも面倒になったのでしょう、『Momo』っと適当な略称まで考え付いたようです。
「Momo……それがオレの新しい名前なのか。うん、何だかその名前しっくりくるな!」
どうやらMomoは自分の新しい名前が気にいった様子です。
「そこで、だMomoよ。オマエはもう一流の暗殺者っとなったワケだが……オマエに初めての任務を与えたいと思う。いわゆる初体験ってやつなんだ!」
「任務!? 初体験!? いきなりオレに任せてくれるのかAka!?」
Momoは一流の暗殺者になりましたが、まだ生まれてから数日しか経っていないのです。それをいきなり任務を与えてくれた事に心底驚いてしまいました。そして『どんな内容はなんだ!? いつまでに任務を遂行すればいいんだ!!』などとMomoはちょっと興奮した様子でAkaへと詰め寄りました。
「(ううっMomoと顔が近いな……ぽっ)う、うむ。とりあえずMomo離れろ。顔が近いぞオマエ!」
照れを隠すようにツンツンながら、迫り来るMomoに自分から離れるよう言いました。
「あっごめん。つい興奮しちゃってさ……」
MomoはAkaから指摘されるとすぐに元の位置まで戻りました。
「(チクショー……可愛いなコイツ)」
Akaは思わず喉を鳴らしてしまいました。実は内心Akaもちょっとだけ興奮していたのです。
※何せAkaはショタコンなのでね(笑)
そして冷静さを取り繕うため息を整えるとさっそくMomoに任務の内容を話し始めました。
「んんっ! で、だ。オマエの任務なんだが……まずは人間達が住む都へと行ってもらう。そしてそこで可能な限り情報収集をしながら人間代表の『おばあさん』と呼ばれるヤツについて調べて欲しいのだ」
「都……情報収集……おばあさんについて調べる……そのおばあさんってヤツの何について調べるんだ?」
Momoは自分の最重要任務を確認するように呟くと更に細かい内容を質問しました。
「うん……実はな。その『おばあさん』とやらが、秘かに『きびだんご』なるモノを作っていると言う噂なのだ。それが何なのか調べて欲しいのだ。一般的には食べ物の事らしいのだが、恐らく……何かの暗号かコードネームだとは思うのだが、正直俺でもイマイチ確信がもてないのだ。だから人間に近しいオマエに調べて報告をして欲しいわけだ」
「『きびだんご』……どこか懐かしい響きだなぁ。何故だろう……その言葉を耳にするだけで旅に出たくなっちまうよ」
どうやら何かの兆候なのか、Momoはその『きびだんご』と言う単語に変な反応を示していました。
「うん? 知っているのかMomoよ? だが、食べ物ではないのだぞ。ここで生まれ育ったオマエが知るわけがなかろう……」
Akaは少しトリップ気味のMomoのことが心配になりました。まだ出逢ってから数日でしたが、Momoがここまで過剰な反応を示したのは初めてだったのです。
「あと普段お前が使っている一人称なのだが……一人前の男なら『オレ』ではなく、『俺』と漢字表記するのが物語の都合上もいいだろうな」
「そっか……人間達は漢字を好むって話だったもんな! 理解した」
っとAkaのいい様に騙されてしまうMomoでしたがいきなり大人に変貌を遂げたのか、『分かった』ではなく『理解した』っとちょい大人ぶっていました。
「それからな、都に行くのならばその……ぜ、全裸の格好ではマズイのだ」
「えっ? なんでだよ!? 全裸のナニがイケないって言うんだよ!!」
AkaはMomoの下半身に目を向けながら、『ダメ! 変態!!』っと全裸禁止令をMomoに命じました。Momoは一応全裸という文字描写でしたが、このままだとサイトを運営する輩から弾かれると思いAkaは安全のためにもそう命令したのでした。
ですが生まれてこの方、服などいう煩わしいものを着たことが無かったMomoは戸惑い反発しました。
『俺にはこの葉っぱがある! これで十分じゃないのか?』っと以前人間達が献上してきた笹団子を包んでいた葉で自らの宝物を包んでいたのです。
「(うむむ……一体どうしたものか。まさかMomoのヤツが服を着ることにこれほどまでに反発するとは思わなかったぞ。どうすればMomoのヤツを説得できるんだ? このままじゃ都に行く前にわいせつ物陳列罪で捕まっちまうよな?)」
Akaは腕を組み『どうやたらMomoに服を着せられのか?』っと考え込み、ある一つの結論に達しました。
「Momoよ。全裸のままではな、遠くにいる敵からもオマエの姿は丸見えとなり、発見されてしまう可能性があるのだぞ! この馬鹿者がっ! オマエはそんなことも理解できないのか!!」
「ふ、服を着るっていう意味にはそんな理由が隠されていたのか……俺、知らなかったよ。ごめんなAka」
強引なまでのAkaのその言い分に対しMomoは自分の非を認め、頭を下げて謝りました。そしてAkaはここぞとばかりにMomoのことを言葉で捲くし立てます。
「それに服を着ていれば多少なりとも防御力が上がり、もしもの時にその命を守る事もできるのだぞ。まぁ言っちまえば人間達が言う着物は防弾チョッキの役割も果たしてるって事なのだ。だからMomoよ、この迷彩服に加工した着物を着込んで早く都へと向かうのだ!」
そう言うとAkaは以前『舌切りスズメ』から献上された大きな葛篭を開き、中からピンク色の肌着と碧色の上着という派手派手な上着と共に紺色の袴も取り出してMomoに渡しました。またその上着には所々トレンドマークの桃が描かれており、そして何故かすべて割れていたのです。
「Akaこれに描かれている桃はもしかして……」
「ああ、トレンドマークというヤツだな。しかもだな、この桃の部分には蛍光塗料を塗っておいたから夜でも一目でオマエだと仲間に知らせることができるんだぞ」
などとAkaは矛盾の極みを披露しつつ、Momoに押し付けました。
「わ、分かったよ。今着てみるからさ……」
っとMomoは慌てて上着だけを着込みました。そしてAkaはこれもオマケだと言わんばかりに『日本一の桃太郎……何が?』っという不思議な文字が書かれた立て旗もMomoの背中へと装着してやりました。
「ふむ……見違えるようになったな。どうやら俺の見立ては間違っていなかったな」
Akaはうんうんっと頷きながらMomoの晴れ姿に見惚れていました。
「そ、そうかな。ありがとうAka! 俺頑張って都に行って見事任務を遂行してくるから!」
MomoはAkaに見送られると未だ不審者丸出しの格好なのに都へと向かうのでした。
えっ? 何でMomoが不審者丸出しなんだって? それは……
「ふぅ~。これでようやくMomoも旅立たせることが出来たか。うん? 何だこれは……っ!?」
Akaはその白いものを手に取りました。
一方その頃、Momoはというと……
「うーん。今日は良い陽気だなぁ~。やっぱり上着を着ていると暑く感じちまうなぁ~。でもまぁその分、下はスースーして気持ちいいんだけど……」
暢気にそんなことを言っているMomoの姿はしっかりと上着は着ていましたが、何故か下半身には何も穿いてなかったのです。そうMomoは上着だけを着て、肝心の下の袴を穿くのを忘れてしまっていたのです。
でもまぁこれでMomoも一応は全裸ではなくなったので一安心ですよね?(笑)
新たな不安を抱きつつ、次話へとつづく
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