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女勇者登場

『侵入者です』『侵入者です』『侵入者です』


 野太い男の声が繰り返される。

 どうやら誰かが来たようだ。


「誰だろうな? 意外に早いような……こことその人間の国との距離はどれくらい離れているんだ?」

「この世界の“足”では少なくとも、近い国の首都まで一週間はかかりますね。勇者はたいてい王命がすぐに聞けるような首都に居ますから。そうなるとたまたま遊びか別の用事で近くに勇者がいた、という事になりますが……」

「あれか? 空間転移能力でここの近くにって可能性は?」

「確かに勇者や魔王の中にはそういった能力を持つ者もいますが、そんな珍しい能力というよりは近くにいたと考えた方が無難でしょうね」


 そこまで話を聞いた俺はある可能性を思いついた。つまり、


「勇者じゃなくて盗賊かもしれないのか?」

「どこからどう見ても魔王の城としか思えないのに、入り込んでくるとは思えませんが」

「そうなのか?」

「そうですよ、普通、魔王の城の中は罠が一杯で凶悪な魔法使いや魔物がいたりして、入ったら“死”にます。普通だったらそんな事はしません」

「そういえば、デフォルトでスイッチが入っていたな、罠の」

「そうです、それが普通なのです。それをこの駄目魔王は……」


 小さく呟いてフィリは俺を睨み付けたが、俺は顔をそむけた。

 それからすぐに話を変えるために、


「その侵入者をここで見たりは出来ないのか? ほら、水晶玉みたいので遠方の姿を見たりとか」

「は? えっと、遠見の魔法を普通に使えばいいではありませんか」

「遠見の魔法って何だ? 光を屈折させて壁を突き抜けるレベルのものにしつつここで、増幅して映像を映し出す、とか?」

「……何を言っているのか分かりません」

「……意思で魔法が発動するならできるか? とりあえず発動しろ~」


 俺がそう呟き念じると、空中に透明な窓が出来る。

 魔法って便利だなと思っていた俺だが、そこに映し出された人物を見た俺は凍り付いた。


「まて、何でこんな所に桜がいるんだ?」


 そう俺が呟いた所で俺の部屋の入り口が開かれてそこで、


「罠が一つもないなんてついているわ! 貴方は逆ハーレム要員にしてあげてもいいわよ! って、ヒロ、何でここにいるの?」


 そう、突如現れた彼女はそういったのだった。









 三日月桜みかづきさくらは俺の幼馴染の異性である。

 しかも家も隣同士で幼稚園から小中高、すべて同じクラスという幼馴染だ。

 仲もそれほど悪くはないのだが、別に恋人同士という甘いものに発展する機会はほぼなかった。


 桜自身が性別は女性だが、とても活動的で男勝りな部分があったのも理由の一つかもしれない。

 だがまさかこんな場所で再会するとはと思っているとそこで、


「でもまさか、ヒロが魔王だなんて、驚いたわ」

「そっちこそ、桜、何でここにいるんだ」

「私?勇者としてこの世界に召喚されたの」

「そうなのか。俺は転生らしいぞ」

「え、そうなの? わー……本当に?」


 まじまじと観察する桜だがそこで、


「ふん、愚かな人間の勇者が、魔王様をじろじろ見るなど……許されません」

「あら、可愛い子。エルフ? うーん、これ、どういった状況なのか、説明よろしく」


 桜がフィリにそう言って、フィリが変な顔になったのだった。


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